1996年11月27日(水)《BN》
【道:前田 法重・富田 剛・富田 さやか・本田 仁】
「こんな感じでお願いしたいです」
「了解。いいんじゃないの」
持参した書類をテーブルに並べた富田 剛が発した言葉を聞いて、その書類をしばらく眺めた後で前田 法重が返事を返した。ここは居酒屋『道』。本日は平日ではあるが、ある程度の客が訪れて美味しいお酒と料理を楽しんでいる。本日午前中は鍛錬を行い、昼食を『南食レストラン』で食べた前田と本田 仁であるが、食事が終わった後、一緒にパチンコ屋『子飼娯楽センター』に移動してスロットを打つことにした。そしてスロット自体は18時ぐらいに切り上げて『道』で飲む事にした。今日は他の知り合いは来店していないので、2人で飲む事にし、パチスロや漫画、アニメ、小説の話で盛り上がる。そして19時を少し過ぎた時間に富田と富田 さやかがやって来たので、一緒に飲む事にしたのである。実は富田は別に酒を飲みに来たわけではなく、先日話をしていた富田ビル1階に開店予定の喫茶部のレイアウトについて前田に相談しようと考えており、おそらく今の時間は『道』で飲んでいると予測できたので、書類を持ってやって来たのだ。
「一応、建設会社に話をしたら、これぐらいの規模であればそんなに時間はかからないって言われたから、ちょっと打ち合わせをして工事自体は12月頭から始めて、1週間もあれば終わると思う。その後、準備やら何やらで12月16日に開店できるようであれば、今の『道』は12月14日に閉店して、次の日から解体作業に入ろうかと考えてる。」
今後のスケジュール予定について前田が説明し、それを富田とさやか、本田は真剣が聞いている。正直本田には関係のない話であるが、同席している以上興味を持っているふりをしながらきちんと聞いているのだ。
「ところで富田さん。これで喫茶店の開店は来年の4月以降になったかと思うんですが、ゲーセンはどうするんですか?」
疑問に思ったことを本田が口にする。『道』に場所を貸す喫茶店エリアは『道』として利用する間は開店できないが、ゲーセン部分はそれとは別で開店することは可能なのである。
「うん。一応先に開店しようとは考えてる。コンセプトとかレイアウトとか考えて入るけどなかなか固まらないんだよね。まあ早くて1月中旬かな」
喫茶部エリアの隣に出店予定のゲーセン部について富田が質問に答える。いろいろ考えてはいるが、なかなか決めるのは難しいのである。
「なので、ゲーセン詳しい本田くんにも意見を聞こうと思ってるのでよろしく」
「まあお役に立てば」
ビールを一気に開けた富田が、もしゲーセンを開店すれば1番の客になるであろう本田に声をかけ、それに軽く返事をしながら追加のビールを注文する本田であった。