【極涙】コーダ あいのうた【映画レビュー】
※ネタバレあり。
気圧のせいか、昨日から胸郭出口の痛みを再発。
えぐいほど痛い。
今日は雷鳴轟く中、お久びに映画を初見鑑賞。
結果からいうと、二度泣く。
あらすじ(公式より)
豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聴こえる。陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意をし・・・。
感想
コーダ(CODA)とはChildren of Deaf Adultsのことで、耳の聞こえない、あるいは聞こえにくい、両親、または片親を持つ子供のことだそう。
お下品でユニークな父、子供離れできない母、妹に頼らない未来を描く兄。
聾唖であることで絆を感じていた家族と、一人健常者である主人公。
ヤングケアラーの実情も含ませながら、ティーンゆえの悩みもみずみずしく描写されていた。
そのすれ違いは、障害なくしても普通の家庭のぶつかり合いと同じ。
それは、根底に深い愛情が流れているからであり。
この映画は、聾唖である役者を、本当に聴覚障害のある俳優が演じている。
アメリカ・フランス・カナダの共同制作のフィクション(コメディ)ドラマで、監督・脚本は「エール!」のシアン・へダー。
「エール!」の内容を引き継いでいる作品らしいので、そちらも気になった。
家族との会話は全て、ASLという手話で織りなされていく。この映画を観るまで、私は手話が200種類もあるということを知らなかった。
家族以外の人(ルビーの親友と、音楽教師)が揃ってヤバい間違え手話を披露したり、ラストでルビーが"本当に"愛してるという意味の手話を見せるなど、幅広い使われ方をしていて、無音とそうでない人の隔たり、リアルな日常から愛情表現に至るまで勉強になった。
発表会で敢えて無音の時間を演出しているのも、とても良かった。
発表会の終わった夜、父親が娘の喉に手を当てて美声を聴くシーンで号泣。
手話を交えながら歌うシーンも見たいなー、見たいなーと思っていたら、受験の時に意外な形で見れてまた号泣。
やっぱり、映画としてある程度は持ってく場面というのは必要だけど、この塩梅が妙というか、こざっぱりしている方が涙腺にくる。
私の知らない世界にいる人たち
聾唖の世界、というのがあると聞いたことがあるけど、必要最低限しか筆談せずに、ジェスチャーや表情、口の動きで、社会とのコミュニケーションを行いつつ、身内(同じ境遇)である者同士では独特の共有世界があるのだなと、考えさせられた。
家族なら、この子だけは耳が聞こえますように、と願うのかと思っていたら、全くの逆だったのがとても意外だった。
私は音楽をこよなく愛しているので、心で、脳内で、よく再生しているけれど、
それは今まで耳を通して聴けていたから。
生まれつき聞こえなかったら、そういうものと受け入れて生きていくしかないのだろうけど、それでも平気な振りをして、強くいかなければならないんだろうと思う。
けれど、たとえば難聴とかになって、一度味わった感覚を失うのは辛いどころか地獄だ。
生きていかれないかもしれない。
DJ時代にだいぶ鼓膜をやってしまっていて、後になってから専用の耳栓を使うようになったけれど、今だに一定の周波数だと左側だけ雑音が聞こえるし、ある種の反響音に対しては過敏になってしまった。
MP3の曲を、爆音で長時間イヤホンしてる人はマジでやめた方がいい。
良質なヘッドフォンで、音量調節、時間を区切って聴くというのは、本当に本当に大切です。
鼓膜って、結構再生されない人多いっぽいので。
ともあれ、今日はとても勉強になった良い休日でした。