お金のはなし
予定していた場所にどうも気が向かず、気の向くところへ行こうと見つけたのがこちら。日本銀行金融研究所 貨幣博物館|公益財団法人日本博物館協会 (j-muse.or.jp)
無料で、お金に親しめるところです。
そもそもお金って?
結論として面白かったのは、ワンフロアの展示にもかかわらず、ひとびとの滞在時間が長いこと。ふふふ。
アート美術展の何倍か、というくらい、各ショーケースの前に佇む時間のたっぷりなこと、真剣なこと。覗き込んでいる方も多かったです。
お連れの方と楽しそうに会話している姿もありまして、なんと充実して健康的な観覧だろう、とむしろそちらに感動ですよ。
感性、知識や想像というよりも、実感として共有できるテーマだからでしょうか。
表題の画像は子供向けの資料ですが(そちらの方がよっぽど面白いので持ち帰りました)、お子様も(大人もやっていた)楽しめる体験展示もありまして、わたくしも何とか一瞬持ち上げてみた千両箱の重いこと、重いこと。昔の泥棒はすごかったんだなぁ。。。
銭差し1貫文も、持ち歩けたものではありませんでしたよ。
現代のお札1億円の重さも体験できます。
金属から始まったお金は、その完成度の問題から一瞬廃れた時代があったようです。それよりも、米や布の方が確かだと。
状態の悪いお金を避けたり排除した(撰銭 / えりぜに)時もあったと言いますから、お金がお金たる所以には、古人の営みの中の知恵が蓄積されているのですね。
そのうち、江戸時代には素材である金属の含有量を調整して世のお金の流れを操作するまでになりました。
その後、様々な権威から保証された印が記載されて紙のお金ができました。
明治になり全国統一の「円」が導入された際は、洋式製法で貨幣がつくられたそうですが、このときコイン細工を担当した日本の金属工芸職人の高度な技に、外国の専門機関が驚嘆したというところも心に残っています。
西洋では、お金は打刻して細工をしていたそうですが、アジアは鋳造(金属を溶かして鋳型で形づくる)して製作していた、というのも興味深かったです。表題の画像右端のツリーのようなものは、この鋳造製の典型ですね。
お金は、生まれた時から長い年月をかけてにんげんが工夫を凝らしてつくりあげ、世の中へ広がっていったのです。
様々なにんげんがいるから、色々な細工をして信用を保ってきた。
それで
この「細工」のところで、最新技術も確認できました。
スゴイと素直に感じました。体験型でご確認いただけますが、具体的には「触って」(←これはご自身のお札で)「透かして」「傾けて」「道具で」の多方面で技巧が凝らされています。
そもそも、その完成度が重視されたり、エライところの保証がついていたり、偽物が出ないように、出たとしても判別ができるように、というのは、お金と信用は切っても切れないものだからですね。信用を実物で現したものがお金ということです。
現代は電子マネーやポイントという目に見えないものがお金になったりしていますが、それだとていくら便利でも信用が薄まれば無用になってしまう。
とんでもない重さの千両箱も、その信用の方がず~っと重いということですね。
近代でも、ハイパーインフレとか〇〇ショックとかありますからね。
こう考えてくると、お金の価値とは、その在り高ではなく信用という、ごくごく基本に戻ってまいります。
それは、簡単には出来上がらない、長い時間の中で様々なことがあって、その中で揉まれて練れて積みあがっていくのです。
そんなことを思い出させてくれる展示でございました。
・・・
ハテ、まてよ
にんげんも同じでは、、、。
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