日本人の無邪気
行ってまいりました、川崎浮世絵ギャラリー 〜斎藤文夫コレクション〜 (ukiyo-e.gallery)。ごく小規模で駅からのアクセスも良いので、もののついでに立ち寄れます。そして、今回も想像より面白かったです。スタッフさんも安定して感じが良い。そのギャップが、わたくしの中で不思議な印象のギャラリーです。拝観料500円。
我が家には広重の 名所江戸百景 大はしあたけの夕立 文化遺産オンライン (nii.ac.jp) や、地方の美術館で求めた復刻製造の浮世絵などを飾ってありまして、もともと浮世絵は好きなのだと思います。しかし、今回は思っていたのとチガウ。きっとみなさまも、ご覧になればそう仰るでしょう。
1840年代には贅沢禁止令の発令により、歌舞伎役者や芸者などのモチーフが禁止され、なんと、道徳的な内容で刷られた時期があったようです。孝行な子供が報われたり、善行が賞賛される国外の物語をなぞる作品も展示されていました。今まで観たことがないものばかり。
その後横浜が開港し60年代になると、外国人や海外の動物、言葉が大っぴらになります。と、その珍しさからか事実に想像・妄想が合わさって、まるで子供の絵本のような浮世絵になっていきます。それまで見たことも考えたことも無いようなものばかりが、一度に日常にやってきて、きっと夢中で作品にしていたんだろうなと想像されました。当時はアナログで物事が伝わりましたから、盛りに盛って、もはやワクワクしていたのではないでしょうか。そのファンタジーに高慢さや得意感はなく、むしろ無邪気さから来る好奇心が漂っているのが、何とも島国日本人らしいところです。
こんな面白い資料もありました。
富士山とちょんまげと裃と天体観測機(?)のようなものが一つにまとまって描かれています。驚きです。
そこで思い出したのですが、確か近年、アメリカ海軍やら国防総省が未確認航空現象を公式に認めていましたね。浮世絵の時代の「異国」は、現在の「地球外」に相当するのかな、と想像しました。
本日は代官山から渋谷に出て、カードにチャージしていたら隣の列の異国人マダムに話しかけられました。見れば、ご主人が新宿行きの切符を買うのに難渋していらっしゃる。金額を伝えてチケットを買ってもらいホームまでご案内しましたが、いつか日本にも、宇宙人に道を尋ねられる時がやってくるかもしれませんね。その時には、どんなアートが生まれるんだろう。