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燃えながら暮らす

日々、こなす事に追われて生きていると、忙しいように勘違いしてしまいます。自ら充実しているのとは違う、とは、うすうす気付きながら時間が経過している。
養老孟司氏の本には「世間というのは勝手に動きます。自分と関係なしに動いていく。多くの方は、案外、そういった外側の変化からものを考えたり、それに対処するということで一生が過ぎているのではないか、という気がします。」 (『自分は死なないと思っているヒトへ』大和書房、2023年、P214。) という箇所が出てきますが、そうなんですよ。
うっかりつまらない、と感じるのは外に何もない時で、自分の内に何もないからだ、とは思わない。

こちらの本を読んだのは2020年。その後読み返すのに躊躇するほど、自身の中のものをちゃんと燃やしているお話しがこちらです。

大竹英洋『そして、ぼくは旅に出た。』あすなろ書房、2017年。

ゴウゴウという炎ではなく、自身という燃料に対し素直に従っているような燃え方で、その透明感と上品さに吸い込まれるように読了してしまう体験記です。とても魅力的な方だな、と伝わってまいります。
世間からどうだとかこうだとかの視点ではなく、だって燃えてしまっている、僕の燃料は、だから行動する、という自然な姿勢が揺るぎないところが本当に清々しい。出発点が、自分でもつかみきれない自分の中にあるものからなのです。自律した生き方です。こんなに素直に生活してしまったらどうなってしまうんだろう、と不安を覚えるくらい、美しい体験をされています。

そういえば、人生で「ちょっとコワい」と感じることは、進めのサインだそうですね。思い返せばそうかもな、と感じます。
いわゆる責任世代には素直が許されない場合がほとんどなのも経験しましたが、わたくしが病気をきっかけにその生活から舵切りをして、年齢を重ねることを幸せだと感じるのは、自律して自分に素直になる、そこにあります。あらためて、大竹氏の本を読んでみようと思います。
くれぐれも、自身の燃料を残してタイムアップにならないように今から気を付けています。




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