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【雑談】タイプが彩る/規定する個性

シルバーウィークって存在感ないなあ…と独りごちる雑談🥈

ポケマスEXでは5周年アニバーサリーの本祭を終え、そろそろ後夜祭に入る頃合い。9月12日からサブイベントとして「タイプバディーズの集い」が開催されている。

同じタイプのポケモンをバディとするトレーナー達がポケモンセンターでとりとめのない会話をするだけ…といえばそれまでだがこれが中々楽しい。本来出会うはずもなかったトレーナーが「タイプ」によって引き合わせられるのはポケマスの持つお祭り感を演出している。

トレーナーとポケモンという別個のキャラを一つの単位としてパーソナリティを描く…というのはポケマスを始めとする近年のポケモンコンテンツが得意とする手法だ。「タイプ」もポケモンを構成する要素の一つであり、似たような個性の描き方といえるかもしれない。

ただし、一個の具体的なキャラクターとして確立している「ポケモン」と抽象的な属性である「タイプ」は位相が異なる概念だ。「タイプ」には「ポケモン」とは違ったトレーナーの個性を彩る役割が期待されている。本記事ではタイプの役割に注目してみよう。


タイプが彩る個性

ポケモンとタイプは切っても切り離せない関係にあるが、ことトレーナーに関連づけるとなるとタイプエキスパートのジムリーダー・四天王の存在が頭に浮かぶ。

ジムリーダー達はそれぞれ専門のタイプを受け持ち、主人公の前に立ちはだかる。そして彼らのパーソナリティはタイプに紐づけられていることが多い。

『ポケットモンスター Let’s Go! ピカチュウ』『ポケットモンスター Let’s Go! イーブイ』
公式HPより

特に初期作品では、ほのおタイプは熱血、エスパータイプは超能力者、どくタイプは忍者…のような分かりやすいキャラづけがされている。これはタイプによる特徴づけというだけでなく、タイプの特性をトレーナーの個性によって覚えてもらうという目的もあっただろう。

時代が下り、タイプという概念が人口に膾炙するようになってくると「このタイプといえばこんなキャラ」という固定観念が崩されてくる。でんきタイプのストリーマー、むしタイプのパティシエ、ゴーストタイプのラッパー…捻ったバックボーンのトレーナーが増えてきた(こおりタイプのスノーボーダーのような直球ももちろんいる)。

一つのタイプが持つ意味が多様になっていくからこそ、「タイプバディーズの集い」のような企画が成立する。例えばレッド、ヒビキ、セレナの三人の主人公が集っている「ほのおバディーズの集い」について。

ここでの会話には「ほのおタイプの主人公感」や「ゲームの都合上、主人公は無口になる瞬間がある」などの要素がネタとして盛り込まれている。もし、レッドとカツラしかパシオに来ていなかったら企画は成立しないだろう。

ほのおバディーズの集い

個人的には「ノーマル」「あく」のようなファジーな概念がトレーナーにどうやって紐づけられるかに興味がある。

トレーナーがタイプのイメージを決定づけるのか、あるいはその逆になるのか…キャラによっても時代性によってもうつろっていくと思われるのでここは注視したいところだ。


タイプが規定する個性

最近のポケモンコンテンツの中で特に「タイプ」に焦点があてられた企画といえば「ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs(以下ポケミク)」が挙げられる。

ポケミクは「18タイプの初音ミク&相棒ポケモンのイラスト・設定資料」と「18名のボカロPによる、ゲームBGM・SEをサンプリングした楽曲・MV」の二部構成の企画となっており、いずれも「タイプ」を中心的なテーマとしている。

1996年に、ゲームソフトとして始まった、ポケモン。
2007年に、歌声合成ソフトとして始まった、初音ミク。

現実世界と仮想世界の両方をつなぎ、豊かにしてきた2つのコンテンツがコラボし、個性あふれるクリエイターたちとともに、新たな表現に挑戦します。

まるで18種類の「タイプ」のように、 かっこいい、かわいい、ふしぎ、おもしろい……さまざまな音楽やイラストが、あなたを待っています。

夢と冒険、未来と音が交わる初めての世界。
ボルテージを高めて、お楽しみください。

「ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 18 Types/Songs」
スタートです!

ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 公式(https://www.project-voltage.jp/)

初音ミクといえば基本的なデザインはありつつも、二次創作によって多種多様な姿に変化してきた歴史を持つキャラクター。「タイプ」は多様に変幻する初音ミクの拡張性を表現する要素として組み込まれたのかもしれない。

ポケモン feat. 初音ミク Project VOLTAGE 公式

一方で、初音ミクの何にでもなれる可能性に"軸"を与えたのが「タイプ」だと考えることもできる。ポケミクの立案・制作リーダーである的場昴樹氏はファミ通のインタビューで次のように語っている。

的場:振り返ってみれば、18というタイプの数が、すごく綺麗にはまってくれましたね。ポケモンと言えばの数字のひとつで、かつ楽曲制作として見ても、決して少なくなく、ただ多すぎるというほどでもなく。ほかに、ポケモンや初音ミクさんの象徴的な数字といえばなんでしょうね。01、6、8、16、39……151……1025?(笑)。まぁ、たくさん数を作ることを目的にすべきではないのですが

【ポケミク】企画陣インタビュー。ポケミクの軌跡を振り返り&創作への熱と未来へつなぐ想い。追加の新曲&CD発売など今後の展開にも迫る/2024.03.13 18:30 更新

「タイプ」は「個性」を表現するための要素だったはずだが、それだけでなくポケミクという企画の「軸・枠」として機能した。タイプには混沌たる個性を秩序づける役割があるのだろう。

逆説的にJNのコハルは「タイプ」による一方的な規定に対するアンチテーゼのキャラだったのかもしれない。特にイーブイの場合進化先を選ぶということは何らかのタイプを選ぶことと同義だ。その規律に対する反発がコハルというキャラを生み出した…と考えることもできる。


タイプはポケモンのような具体的な実在性がない代わりに、混沌たる個性を包み込む抽象性によって成立している。新たなポケモンが生まれ、新たなトレーナーが生まれ、そして新たなタイプが生まれるごとにその様相は千変万化することだろう。

今はタイプの権化たるテラパゴスの冒険を見守ることとしたい。To Be Continued.





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