ローグライクデッキ構築ゲーム、紹介と整理

2024年は過去一ゲームを遊んだ年になりました。その中でも特に「ローグライクデッキ構築」と呼ばれるジャンルに積極的に触れたので、備忘と整理と紹介を兼ねて書き記しておきます。
それぞれのゲームについて、「ゲーム説明」「良いところ」「not for meポイント」の3つに分けて記載します。


ゲーム紹介の前に「そもそもローグライクってなんぞや」って部分だけ説明しておきます。一応調べながら書いてはいますが間違ってたらすんません。

ローグライクとは

原義としては「1980年に公表されたコンピュータRPG『Rogue』と同じ特徴を持ったゲーム」です。具体的には
・ダンジョンの形が決まっておらず、突入する度に形が変わる
・ゲームオーバーになったらゼロからやり直し
・ターン制バトル
等の特徴があります。
日本で一般的なもので言うと、ドラクエ・FF・ポケモンの外伝作品「不思議のダンジョン」系統や『風来のシレン』シリーズがこのジャンルです。

「ローグライク」の原義としてはそんな感じなのですが、最近ではその意味も拡張されており、「強化要素がランダム」「死んだらやり直し」ぐらいの特徴があればローグライクと呼ばれるイメージです。『Noita』とか『Vampire Survivors』とか。以降は本記事でもこちらの意味で使用します。

ちなみに、こういった「『Rogue』の特徴を一部だけ受け継いだもの」については、「ローグライク」ではなく「ローグライ」と呼び分けようとする流れもあります。ただ、現時点では主流ではないようです(各種サイトやブログの表記を見る限り)。

参考:Steamニュース-ローグ:紛らわしい(サブ)ジャンル早わかりガイド-Steamニュース

ローグライクデッキ構築ゲームとは

名前の通り、ローグライクにデッキ構築要素を加えたジャンルです。呼び方は人によってまちまちですが、本記事ではSteamの表記に倣って「ローグライクデッキ構築」とします。

明確な定義はないですが、特長として以下が挙げられます。
・ダンジョン突入時に初期デッキを渡される。
・ダンジョンの道中でデッキを強化できる。(新カードをデッキに入れたり、カード自体を強化したり。)
・基本的にカードの入手はランダム。
・デッキを使用して敵を倒しながらダンジョン最奥を目指す。
・クリアしても報酬は特になく、再突入時にはまた初期デッキからスタートする。
(例外もたくさんあります。)

一般的なカードゲームと異なりカードの入手がランダムであるため、あらかじめ「こういうデッキを組もう」と予定を立てることはできません。その場その場の臨機応変な対応が求められます。
また、カード入手以外にも各種イベント等ランダム要素が多く配置されており、周回しても飽きにくい造りになっています。

先ほども書きましたが明確な定義は無いです。私の感覚も多分に混ざっていますのであしからずご了承ください。世間とかけ離れてはいないと思いますが……。


言葉の話はここまでにして、ここからは実際のゲームの紹介をしていきます。


Slay the Spire

ゲーム説明

このジャンルの金字塔。正直、このジャンルの祖すぎて逆に説明が難しいです。上記のローグライクデッキ構築の特徴がこのゲームの特徴だと思ってください。

初期デッキや入手できるカードなどが異なる4人のキャラクターがおり、その中から1人を選んでゲームスタート。ランダムに生成されるマップを進む。

マップの例。上へ上へと進んでいく。未知(イベントマス)、敵(バトルマス)などがある。

カードは毎バトル後にランダムで入手できるほか、商人マスでの購入や、未知マスで起きるランダムイベントでも入手可能。
また、道中ではカードの他にレリックと呼ばれるアイテムも入手できる。いわゆるパッシブスキルのようなもので、持っているだけで勝手に効果を発動し、バトルを大きく有利にしてくれる。


良いところ

■難易度調整
難易度のバランス調整が絶妙です。このゲームの一番優れている点はここだと思います。
他のゲームに比べると難しめだとは思いますが、「どうやっても無理」みたいな回はほとんどなく、振り返ると改善点が結構見つかります。
また「このデッキタイプだとこの敵が来た時に詰む」が無いです。勿論相性の悪い組み合わせはあるのですが、大抵の場合はそれまでに対策を取れます。

■ルート選択要素
シンプルなマップながら、取れる選択肢が多いです。そのおかげで
「現状デッキが弱いから、勝利報酬目当てでバトルマスを多めに踏もう」
「想定以上にダメージを受けたから、予定を変更して回復マスに向かおう」
といった臨機応変なプレイが可能です。ランダム要素に振り回されながら柔軟に対応するという、ローグライクの醍醐味を味わえます。

■使い道のないカードがない
各キャラいくつかのコンセプトを持っているので、当然デッキタイプによっては不要になるカードも多いですし、シンプルに使いにくいカードもあります。ただ「どんな状況でも絶対に不要」なカードは無いです。少なくとも私は使ったことがないカードはない、はず。

not for meポイント

正直難癖をつけるようなポイントが思い付かないですが、強いて挙げるなら

■難易度が高い
初クリアまで何度も失敗したのはこのゲームぐらいですし、適当プレイしてたら未だに普通に負けます。私が下手なだけの可能性も多分にある。



Balatro

ゲーム説明

52枚のトランプのデッキ(原義)を渡されてスタート。毎ターン8枚引いたトランプからポーカーの役を作り、規定回数以内に決められた得点を取得することで次のバトルに進める。

デッキ構築ゲームらしく、デッキ内のトランプの変更や削除も可能。例えばデッキをスペードだらけにして、フラッシュを狙いまくるといった戦略も立てられる。

スペードに寄せた例。

また、バトル後には「ジョーカー」というカードを入手できる。デッキに入れるのではなく、持っているだけで常に効果を付与してくれる装備のようなもの。得点を上げる効果などがあり、バトルを有利にしてくれる。

打点を上げるものやルールを書き換えるものなど様々なジョーカーがある。

これらの要素を駆使して、徐々に高くなるノルマをクリアし続けるのが目的のゲームである。

良いところ

■覚えることが少ない
通常、このジャンルはカードの効果を覚えるところから始める必要があり、スタート地点に立つまでが長いです。その点Balatroは基本がポーカーなので、役さえ知っていればすぐに始められます。このジャンルが初めての人もとっつきやすいんじゃないでしょうか。

■1プレイが短い
他のゲームより1プレイが短いです。私の場合、他のゲームが1~2時間ぐらいかかるのに対し、Balatroは30分程度。周回数の嵩むジャンルなのでこのメリットは大きいです。
基本的にどの敵に対してもやることが変わらないこと、そもそものバトル数が3バトル×8階層 と少なめであること等が要因だと思います。

■爽快感がある
バトルのテンポや効果音が心地よく、また倍々ゲームで増えていく得点のおかげで、プレイしていてかなり気持ち良くなれます。まあノルマも倍々で増えていくんですけど。

not for meポイント

■運要素強め
特に高難易度になると、偶にではあるが「どうやったって無理な回」が起きることがある、と思います。単純に私の能力が足りていないだけかも。
逆に高難易度で労せず勝てることもあります。ローグライクらしいっちゃらしいのかな?

■解放要素がかなり面倒
ジョーカーの中には、プレイ初期はそもそもゲームに登場せず、特定の条件を満たすことで初めてゲーム内に出現するものがあります。この 所謂「解放システム」自体は他のゲームにもあるのですが、Balatroにおいては解放条件が面倒なものが多いです。
例えば「クラブの7を4枚同時に出す」とか「ロイヤルストレートフラッシュをチェンジする」とか。
普通にプレイしているだけではまず達成できないものもあり、「解放するためだけのプレイ」が必要になります。これが作業感が強くて面倒でした。



クロノアーク

ゲーム説明

全部で20いる個性的なキャラクターたちから4人を選び、パーティを組んで攻略するのが特徴。

パーティメンバーはダンジョン突入時に2人選択し、序盤に1人、中盤にもう1人加入する。追加加入は「ランダムに提示される4人から1人を選択する」という形のため運が絡むが、その時点でパーティにいない役割のキャラが1人は出るようになっているため、「ヒーラーなど特定の役割がいなくて詰む」といったことは起きない。

また、ストーリーにも力を入れている。ゲーム性を取り込んだメインストーリーに加えて、キャラクター毎の親愛度イベントなどサブストーリーも豊富。

良いところ

■組みたいデッキを組みやすい
例に漏れずこのゲームのカードもランダム取得ですが、カード取得の機会が多いこと、緩い条件でカードの選択肢を増やせること、そもそも1キャラ当たりのカードの種類が少ないこと などから、狙ったカードの取得はさほど難しくありません。

なのでこのジャンルとしては珍しく、あらかじめ「こういうデッキを組もう」と決めてプレイができます。(勿論それがうまくいかないこともありますが)
その上で3、4人目の加入や装備などの上振れ要素もあるので、ローグライクの楽しさも失っていません。

■ギミックエネミーが多い
適当に殴っているだけでは倒せない敵が多いです。例えば「ダメージを与えるとそのターンダメージ9割カット & ダメージを与えるたびに攻撃力が上がる」とか「味方に攻撃をしてからじゃないとダメージを与えられない」とか。これらのパッシブに加えて、攻撃もいやらしいものが多いです。
そのためデッキ構築の時点で対策を考えておく必要がある上、対戦中もwikiとにらめっこになります。
これは人によって評価が分かれる部分だと思います。プレイ時間も長くなるし。私は大好き。

■ゲーム部分以外のクオリティも高い
ストーリーも凝ってますし、ビジュアルもアニメ調で可愛い・かっこいいです。
そしてBGMもかなり良い。公式が上げているので音楽だけでも是非。


not for meポイント

ゲーム内容については特にないです。が、

■UI、UXが悪い。
これに尽きます。例を挙げると、
・ストーリーのスキップがワンボタンでできない。
・メニューなどからダンジョンに出発できない。毎回マップの端にある入口までキャラクターを移動させる必要がある。
・マップ移動の際、画面端ギリッギリまでキャラクターを移動させる必要がある。
・①ダンジョン内で特定の行動をすると、ステージの何処かにドアが現れる。②そのドアを探して開けると、特別なアイテムが手に入る。
という機能があるが、ドアを探す時間が本当に虚無なので①の時点で直接アイテムを付与してほしい。
などなど……。

ストーリーや世界観を重視しているのはわかりますが、周回前提のゲーム性なので不便な点は極力排除して欲しい……。



Astrea Six Sided Oracles

ゲーム説明

カードではなく、6面ダイスでデッキを組むのが特徴。毎ターンデッキから5個のダイスを振って発動する。
ダイスの各面は「メリット効果を持つ青い面」と「デメリット効果の赤い面」に大別される。ダイスには、全面が青面だが数値の低い「セーフ」、赤面が多い代わりに効果が強い「リスキー」、中間の「バランス」、そして入手手段は限られるが全面が強力な青面になっている「エピック」の4種がある。

左がセーフダイス、右がリスキーダイス。

また、体力が減ると「徳技」という能力を使用できる。これは条件を満たしていれば好きな時に発動できるため、ダイスの出目やドロー等、どうしても運が絡む部分のリカバリーとしても使用できる。

キャラクターは全6キャラ。さらに各キャラ複数のコンセプトを持っており、同じキャラでもデッキ構築によって使用感が全く異なるため、様々なプレイを楽しむことができる。

良いところ

■バトル時の選択肢が多い
基本的には青面赤面どちらも、自分にも敵にも使えます。ざっくり傾向としては、
・青面
自分に使うとHPを回復する。敵に使うとダメージを与える。
・赤面
自分に使うとダメージを受ける。敵に使うとその敵が回復し、敵の行動が強化される。
といった感じです。
さらに前述の徳技の存在もあり、同じ手札でも取れる選択肢が多いです。

not for meポイント

■外れ札が多い
出現ダイスの種類が約120と多く(キャラ固有ダイスが60+全キャラ共通が60)、その中で複数のコンセプトがあるため、「今のデッキだと使えないダイス」がかなり多いです。
そのため他のゲームに比べると「提示されたダイスが弱いのでスキップする」ということが多いです。カードゲーム好きとしてはここが少し残念でした。



学園アイドルマスター

ゲーム説明

アイドルマスターシリーズの最新作。いわゆるソーシャルゲームであるため他のゲームとの違いは多いが、中でも「メモリー」のシステムが特徴的。
メモリーはプロデュース(他ゲームで言うダンジョン)のクリア時に取得できる。取得したメモリーは次回以降のプロデュースで使用でき、ステータスの強化やスキルカードの取得など、プロデュースで役立つ効果を発揮する。

メモリーの例(プロデュース支援部分)


また、メモリーはコンテスト(対人戦)等でも使用する。バトルの際のステータスやデッキは、編成したメモリーの内容をもとに決まる。

メモリーの例(バトルで使用する部分)

メモリーが所持する能力やスキルカードは、プロデュースクリア時のスコアや取得スキル等をもとにランダムに決定する。そのため基本的な流れとしては「プロデュースを周回してメモリーを集める→取得したメモリーでコンテストなどに挑む」を繰り返すことになる。

ちょこまかと書きましたが、ビッグタイトルなので正直説明は不要だったかもしれないですね。
公式の説明によるとジャンルは「歌とダンスが上手くなるアイドル育成シミュレーション」だそうですが、実際のところはほとんどローグライクデッキ構築です。

注意事項として、私がプレイしていたのはリリースから3ヶ月弱です。当時とは状況が変わっている部分も多いと思います。

良いところ

■複数のゲームモード
学園アイドルマスターには、「プロデュース」の他に、特殊な条件で高スコアを目指す「アイドルへの道」、他プレイヤーと競い合う「コンテスト」といった、いくつかのコンテンツがあります。
アイドルへの道やコンテストではプロデュースで取得したメモリーを使ってバトルしますが、面白いのは「プロデュースで優秀なスキル」と「コンテストやアイドルへの道で求められるスキル」が異なる点です。このおかげでスキルに多様性が生まれますし、プロデュースの際も「クリアには必要ないスキルを取る」という他ゲーでは起きないプレイが発生します。

■ソシャゲとローグライクとの相性が良い
ソシャゲの多くは周回を求めるゲームデザインをしており、どうしても飽きや作業感からは逃れられません。学園アイドルマスターも例外ではないです。ただ、このジャンルであれば全く同じプレイは存在しないため、退屈さを紛らわすことができます。

また、「死んだらやり直し」というローグライクの特徴は、「何時間プレイしても残るものはない」という欠点でもあります。これを補うために解放要素や育成要素を取り込んだゲームも多いですが、買い切りゲームだとどうしても限界があります。
ですがコンテンツの逐次追加が可能なソシャゲであれば話は別です。特に学マスの場合他プレイヤーとの競争要素に加え、理論値を求めれば永久に終わらない「メモリー」というシステムもあるため、どれだけプレイしても「残るものはない」という状況にはならないです。

■基本プレイ無料
基本プレイ無料。

not for meポイント

■スタミナ制
スタミナ制そのものと言うより、定期的なプレイを求められるのが自分には合いませんでした。確かに周回しても飽きにくいジャンルではあるんですけど、さすがに毎日周回はしたくない……。スタドリ配布しまくって「時間あるときに周回してね」形式なら多分続けてたんですけど。



おわりに

とりあえず現時点でプレイ済みのものは一通り書きました。プレイ済で書かなかったものとしてはまず『Inscryption』がありますが、これはどちらかというとストーリーがメインのゲームかと思うので、ここでは語りません。あとドマイナーなやつ2、3触ったんですけどまあ……察してください。
また、買ったは良いもののまだ触れていないものが沢山あります。『バックパック・バトル』とか『幸運の大家様』とか『Dicey Dungeons』とか『One Step From Eden』とか。このへんはプレイしたらまた追記します。
あとこれはボードゲームですが、デッキ構築ゲームの嚆矢である『ドミニオン』もやってみたいですね。これは買ってはいないです。一緒にやる人もいないです。

以上です。
書きたいこと書いてたら7000字にまでなってました、すみません。長々と読んでいただきありがとうございました。

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