辞めますって言った日
野球選手が結婚発表をした日、上司に辞めますって言った。
転職活動を始めて2ヶ月ほど経った。
全然うまく行ってないのがリアルだ。
書類は6社くらい通ったし、最終面接も経験した。たが、業務と並行して行う転職活動は思ったよりも困難だ。
リモートワークの日に、オンライン面接を入れ、その分押した業務を夜中まで。残業はかさむばかりだ。
企業研究も浅く、面接は通らない。疲労から業務の質も低下し、上司から叱責を食らう。共倒れ状態だ。
このままだと良くないと思い、先に退職日を決めることを決意した。
ものすごくこわい。組織は今から組織変更。最近少しずつ任せてもらえる仕事も増えてきた。そんな中で退職をする。
会社の人は私には合わなかったが、いい人達だ。その人たちを裏切る様な形になるのに、何も思わないと言えば嘘になる。
当日の朝いち。
「本日18時以降お時間もらえますか?」
リーダーに聞いてみた。すんなり受け入れられたが、私がOutlookに会議室を予約すると個別チャットに「重い話?」とメッセージが個人チャットに飛んできた。
リーダーには、以前からこの会社はすぐに辞めますと言っていたのでこの時点でおそらく察しはついていたと思う。
ー18時ー
会議室に入ると私は前置きなし、単刀直入に退職したい旨を伝えた。
退職理由はこちらから話しすぎる必要はないと思っていたので返答をまった。
3秒沈黙があった。
理由を尋ねられた。私は、失礼になら内容なるべくポジティブな理由で返した。
「他には?」
ネガな理由を聞きたいらしい。
会社や業務について疑問に思った点を素直に並べた。
当然だが、「もっと頑張らないとみえない部分がある」「一年目嫌でも、2年目からわかってくる」などの言葉が返ってくる。
未来の話をされると経験してないんだから、反論はできない。若くて人生経験もない23歳の言葉に説得力なんてあった試しがない。「そうですね、でも決めたんです。」とだけ応えた。
27歳のリーダーは、テンプレのような受け答えをしてしまったことに少しハッとして、「私は決めたんなら頑張れよって思うけどね。」と付け加えた。
若い時、上司に言われたくなかった言葉を言ってしまったという顔に見えた。
リーダーはとても優しい人だ。視野も広いし、自分の考えを持っていて、頭もいい。
あと1ヶ月早く行って欲しかったとは言われつつ、私の意見を否定するようなことは言われなかった。
本音を押し殺してるのが伝わってくる。
優しい人だ。こういう人のおかげで、若い私は若さゆえの愚かな行動が取れる。そして、身をもって体験し、大人に近づくことができる。
ー帰り道ー
少し気持ちが軽くなった。不安もすごい。
自分の決めた道だが、自信がとてもあるわけじゃない。
でも確実に進み始めている。自分に従った結果の失敗なら受け入れられる。
急いでポジティブに変換できる言葉を探す。
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