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骨盤のゆがみは 重心の偏りにより 起こる

体のゆがみと痛みに向き合って臨床
を重ねる事40年

都市伝説が多い 体のゆがみの真実を
伝えることは もちろん

そこで発見した【重心の魔法】
セルフケアとして紹介する記事を
 書いていきます

1 骨盤のゆがみとは


〇 足の長さの差は 誰にもある現象

骨盤のゆがみというと、
前後 左右への傾き骨盤の左右差
骨盤を形成する骨とのズレ 
ーなどが言われますね。

整体で骨盤のゆがみを見る検査で、
よく使われるのが
仰向きやうつ伏せで 
足を揃えて足の長さを診るものです。

足の長さの差の
意味するものは?

    検査により 足の長さの
    左右差を確認して

「骨盤が歪んでいますね」
「整えないと、体に支障を
      きたしますよ」
      という流れで、
    施術が始まるようです。

ところが、ほとんどの方に
足の長さの左右差が見られます。

骨盤は左右対称ではないからです。
利き足軸足があるのも
その証拠ですね。

骨盤は左右で
傾き方が逆になる

腸骨という大きく羽を広げたよう
に見える骨が前傾することで、
足は長く見え、
後傾すると短く見えるのです。

腸骨が前傾する場合、
股関節の位置は下がり、
後傾する場合には上がるためです。

前傾側の、ズボンのすそは
短くなります。

この足の長さの差は、立った時には
逆になります。
腸骨が後傾して
短くなっている側に
荷重が掛かるため、
前傾側が短く見えます。

つまり、後傾側が軸足と
なるのです。


〇 骨盤後傾の人だけが                      歪んでいるのではない

姿勢が悪い人というと、
骨盤が後ろに傾いてお尻が下がり、
背中が曲がったイメージがあります。

「骨盤を立てるように!」と
よく言われますが、
後ろに傾いた骨盤を
まっすぐ立てると思いがちです。

それは間違いはないのですが、
骨盤は前に傾いても異常で、
ぎっくり腰を頻繁に引き起こすのは、
実はこのタイプなのです。

保育士の先生と、
子供の姿勢の話をする機会が
あったのですが、
「5歳くらいの子でも
ダラーとした座りをする子と
シャキッとした感じに座る子と 
半々に分かれるのですよ!」
と言われていました。

たしかに、骨盤後傾の若者がよく行う、電車の背もたれに深くもたれて
足を開いて前に投げ出すのは 
確かに姿勢が悪い代表のように
思いがちです。

しかし、椅子に前のめりに腰掛けて、
つま先だけ突く形で座っていると、
腰や背中の筋肉は絶えず
緊張状態を強いられ、
床のモノを拾うなどの
ちょっとした動作で、
ぎっくり腰に至ってしまうのです。


2 重心の偏りとは


〇 重心は 前後左右にズレている

体のつり合いがとれる場所を
                 重心といい、
ほぼ第2仙椎の高さにあります。
ちょうどおへその下あたりです。

重心の位置は、ど真ん中にある人は
いません。
前後、左右それぞれにズレています。

この重心の位置の前後のズレですが、
前方にある人もいれば後方にある人も
います。

前方にある人を前重心タイプといい、
後方にある人を後ろ重心タイプ
いいます。

また、左右のズレも、
右にズレる人は右重心タイプ、
左にズレる人は左重心タイプとなります。

重心のズレる方に
体は移動しやすくなります。
つまり、右重心の人は、
右に体勢を崩しやすく、
左重心の人は、左に体勢を崩しやすくなるのです。

前重心の人は前に動きやすく
後ろ重心の人は後ろに動きやすいー

つまり、前重心の人は、
スタートダッシュがしやすく、
スピード系の協議に向いており、

後ろ重心の人は、後ろに体勢を引き、
タメを作ってパワーを出す格闘技や
回転系の競技が得意となります。

前重心の人と後ろ重心の人、
あるいは、右重心の人と左重心の
人とでは、筋肉の緊張バランスが
異なってきます。

前重心の人や左右の重心側は、
伸筋が緊張して屈筋が緩みます。
後ろ重心の人は、屈筋が緊張します。

前重心タイプに多い 
足が速くスポーツマンの人が
安定感に欠く事が多いのは、
このためです。

〇 前に重心が掛かる人と                      後ろに掛かる人

電車の長椅子の座り方を見ていると、
背中を伸ばして前のめりで スマホをする子に交じって、
背もたれにもたれかかって、
股を開いて両脚を前に出している子が、結構多く目につきます。

この座り方ひとつ見ても、
骨盤前傾の前重心タイプと、
骨盤後傾の後ろ重心タイプとの違いが見て取れます。

仕事柄、電車に乗っても、
電車やバスをを待っている人の姿勢を、つい見てしまう癖があります。
若い女の子を見つめると、
ストーカーと間違われるのでやめて
ーと家人に注意されることも。

そんな中気付けいたのは、
前重心の座り方の子は
目と目の間の間隔が狭く

後ろ重心の座り方の子は、
目と目の間が離れている
ことです。

前に重心が偏ると 
骨盤が閉まるのと同様に 
眼も真ん中に寄り、
後ろに重心が偏ると 
骨盤が広がるのと同様に 
眼も外に寄る

昔は、女優・男優さんは
目と目の間が狭い
美男美女が多かったけど、

最近は、ファニーフェイスといって、
目と目の離れた愛嬌のある
かわいらしい子が増えてきていますね。

〇 前重心と後ろ重心の動きの癖


重心の前後の掛かり方は、
姿勢にも表れますが、
動きの癖にも表れます。

前重心の人は前屈がやり易く、
後ろ重心の人は反らす動作
し易いという特徴があります。

以前、競艇の選手を目指しているのだけど、「伏臥上体反らしが苦手で、競艇選手になる試験を2度落ちている」という青年が来院されたことがあります。

いくら背筋を鍛えても全く効果がなく、年齢的に最終チャレンジとなる3回目の試験の前に藁をもすがる形で来られたのです。

この方は、目と目の間隔が狭い 典型的な前重心タイプで、骨盤は前傾し、
脊柱は過剰前弯しています。

骨盤が前傾しすぎているので、
骨盤を後ろに動かして
反らす動作ができないのです。

ずいぶん前になりますが、
バラエティー番組で、
お笑いタレントのサバンナの八木さんが、アイドルやモデルの女の子と
並んで伏臥状態反らしの成績を競い、
別の回答者が一番成績の良い人を当てるという趣旨の企画でした。

筋トレをしていることで有名な
ムキムキタレント 体前屈の成績もよい
八木さんに人気が集中しましたが、
結果は散々。

何も運動していないアイドルの女子にも負けるという結果。

「前屈は得意だけど、反らすのは苦手なので、背筋のトレーニングを
かなり頑張りましたが、全くダメなのです」という言葉が印象的でした。

この様に、前方への重心の偏りによる
骨盤前傾の歪みは、
筋トレによっては解決しません。
ということは、
筋力とは関係ないことになります。

実は、立位体前屈は、後方重心の者に
とっては苦手なことが多く、
後ろに重心が偏るほど、
伏臥上体反らしは良い数字が
表れるのです。

ところで、かの競艇選手を目指した
青年ですが、伸筋を緩めるストレッチをしてもらい重心を後方に移動させるようにしてもらったものの、
試験まで一ヶ月を切っていた
こともあり、試験は失敗でした。

その頃は、このサイトに書く予定の
重心ケアもまだ確立していなかったこともありますが、生まれ持ったものを変えていくことは大変です。

競艇はスピード系スポーツなので、前重心の選手が有利となりそうです。
そんな中、後ろ重心のタイプが
圧倒的有利となる伏臥上体反らしを、
運動能力の指標とすることも問題となると思います。


そのほかにも、立ち座り動作には、前後の重心の掛かり方の
特徴的な動きが見られます。

私の施術所の患者さんが、
「スクワットをするには
私の腰には良くないですか?」
と聞かれましたが、スクワットは、
やり方によりますね。

実際にこの方のスクワットを
見てみましたが、
前屈して腕を
前で組んで、お尻を後ろに出して行う
スクワット。
つまり骨盤を前傾させて行う
前重心タイプの人の典型的なやり方

骨盤前傾の人のスクワット

ちなみに
後ろ重心の私が行うスクワットは、
頭の後ろに手を組んで、
骨盤を動かさずに、膝を曲げていく
スクワット

壁を背に行うと、私は楽々できるのに
対して、前重心タイプの患者さんは、
お尻がつかえてできないのです。

骨盤後傾の人のスクワット

〇〇さんは、骨盤を前傾させて行う スクワットは、無理なく自然に行えるので、行ってもらって大丈夫です。
私のようなやり方をすると、
腰を痛めますよ。
ただし、前重心の筋肉を使うので、
あまりやり過ぎないように」と伝えて、後ろ重心に切り替わる
魔法のストレッチを伝授しました。 

「70年生きてきたけど初めて知った!
目からウロコ。壁を背にすると、
スクワットができないことにびっくりしたけど、骨盤前傾の意味が
よく解った!」と、
感激してもらえました。

また、後ろ重心の私には
理解できないこともあります。 

私の院は35年近く前に建てたため、
和式トイレだったのですが、
膝の悪い方に不便なため、
遅ればせながら洋式トイレに
リフォームしました。

その場合、便器に座った人とドアとの間が狭くなりがちです。しかし、トイレのタンクを壁際ギリギリまで寄せていただいたことで、私としては、思ったより
ゆとりがあると満足していました。

ところが、「トイレにしゃがむ時に、
ドアで頭を打ちそうな気がして
やりづらいね」といわれ不思議な
気がしましたが、
その理由を後で気づきました。

 この方は骨盤前傾がひどく、
しゃがむ時に上体が大きく前に
出る癖があると思われるのです。
骨盤後傾の私には、
まさに想定外のことでした。

治療家はもちろん、
スポーツやストレッチ、
筋トレなどの指導者は、
自分の体を基準にしがちですので、
注意したいものです。


〇 左右の重心の掛かり方により              動きの癖がきまる


右重心の人と左重心の人では、
左右で動きのやりやすい側と
やりにくい側があります。
体操やストレッチなどで行う
次のような運動は、
左右で動きやすさが違ってきます。
重心の掛かる側と非重心側では、
可動範囲が変わってくるのです。

・手を腰に当てて骨盤を左右に
     スライドする

    ―非重心側に動かしやすく、
      重心側に動かしにくい

・立位で手を横に広げて 
      骨盤を左右にねじる

    ―重心側にねじりやすく、
     非重心側に動かしにくい

・片手で反対側の手首をつかみ、
上体を横に倒す(側屈)

      ―非重心側に動かしやすく、
       重心側に動かしにくい

右重心は右側に倒しやすい
右重心は右側に倒しやすい
右重心は左側に倒しづらい
左重心は右側に倒しづらい


・腕を振って、左右に上体をねじる

     ―非重心側にねじりやすく、
         重心側にねじりにくい

右重心は左にねじりやすく
左重心はみぎにねじりやすい


ラジオ体操やストレッチをする時、
やり易い側とやりにくい側があることに気づかれたことがある方も多いはず。

これは、片側の筋力がないわけでも なく、関節が硬いというせいでもなく、
重心の偏りが動きの差となって
現れたもののです。

したがって、やりづらい動きを
頑張れば頑張るほど、体は壊れ、
痛みが出たり、動けなくなったり
するのです。

私の施術所にも、ラジオ体操で
肩が動かなくなった、
ぎっくり腰になった、
膝を痛めて歩きにくくなった
という方が、開院当初から
多く来院されました。

ラジオ体操は皆が同じ動かし方をする、左右で同じ動きをする
弊害だと思うのです。

そのことが、私が重心と体の動きとの関係に興味を持つようになった、
きっかけであることは事実です。

立った状態で両腕を組んで、
片脚を90度に引き上げると、
重心側の足を引き上げやすくなります。

立ったままズボンや靴下をはくと
無意識に先に足を上げた方が重心側で、もう一方の足に荷重が掛かります。

右重心の人は右足からズボンや靴下をはき
左重心の人は左足からはく


あぐらや座った状態から
立ち上がる時も、
ほとんどの人は最初に
非重心側の足で片膝をつきます。

そして、足を伸ばして立ち上がる時に、重心側の足がついてくる形になります。

片膝をついて座った時、
膝が床についている足が重心側で、
膝が立っている方が
荷重側の足となります。

また、片膝を立てて座っても
立てているほうの足が荷重側の足で、
重心側の足は無意識に床につけて
いた側の足になります。

さて、柔道整復師の資格を持つ私は、
初段しか持たないとはいえ
柔道経験者です。

柔道では、正座から立ち上がるときには、右膝から立ち上がり、
左足を揃えて直立姿勢になり、
左足から座るのが基本。

柔道に限らず、武道では
「左座右起」が基本となっています。

武士は、左に差した刀を抜きながら
立つため、左足が邪魔になり、
右足から立つ必要がありました。
しかし、皆が、同じ立ち方座り方を すると、やりにくい人ができます。

武道の立ち座りの所作は 歳を重ねると、右重心の人には、少々つらいものと
なります。

日本においては、武道や軍隊でみられる皆が同じ動きをするシチュエーションが多くみられます。
 
それぞれの体の個性にあった動きに、
変えていく時代が来ているのでは ないでしょうか?

3 姿勢の癖で解る 重心の掛かり方


普段 何気なくとる癖で、重心の掛かり方が解ります。

〇 椅子に座って 足を上に組む癖

椅子に座った時には、
重心が移動する側に骨盤が傾きます。

重心側の足を上に組むことで骨盤が整い、重心が安定します。

右足を上に組む人は左重心
左足を上に組む人は右重心

〇 ショルダーバッグを                           片側に掛ける癖

ショルダーバッグを 
いつも掛ける側は、重心側になります。

斜めに掛ける場合は、
バック本体がくる側が
重心側になります。

重心側に骨盤がスライドして 
重心が偏っているのが、
骨盤のあたりに荷物がくることにより、重心が中央に寄ります。

ショルダーバッグの荷物が
右にくるのが右重心
荷物が左にくるのが左重心


〇 立て膝をする癖


立て膝をする癖がある場合、
膝を立てる側は
腸骨後傾の荷重側
膝が正座やあぐらの形になる側は、
重心側

左立て膝をする癖の人は 右重心
右立て膝をする癖の人は 左重心


〇  椅子の背もたれに                            もたれ掛かる癖


椅子の背もたれにもたれかかる人は 
骨盤後傾の後ろ重心タイプ

背もたれを使わずに椅子の
前方にお尻を置き
つま先を床に着ける座り癖は 
骨盤前傾の前重心タイプ


後ろ重心の座り方が姿勢悪く見えますが、
一見 姿勢よく見える前重心も
腰背部の筋肉に負担が掛かり 
ぎっくり腰をおこしやすくなっています


〇 あぐらを掻く癖


あぐらは、重心側の足を上に組みます。
正座では、重心側の足を下に足を
重ねます。
どちらも重心の負担を軽減する
行為です。


あぐらで右足を上に組むのが右重心
左足を上に組むのが左重心

正座で右足を下に重ねるのが右重心
左足を下に重ねるのが左重心


〇 自転車の信号待ちで 足を着く側


自転車に乗って信号待ちする時も、
重心の癖が出ます。
重心側の足を着地して 
信号が変わるのを待ちます。


信号待ちで右足を着くのが右重心
左足を着くのが左重心


骨盤は左右非対称で、
足の長さや骨盤の位置や
形の左右差は誰にもあります。

この左右差は、重心の前後左右の
ズレにより起こります。

その左右差が、許容範囲を超えると
骨盤のゆがみとなるのです。


➡ 次の記事に続きます


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