スクールカーストの一軍ってこう言っていいかもーーBlood Sisters by Jane Corry:今日もaudible 第3回(改題)
2011年から audible uk の会員です。audible uk については下記の記事をご参照ください。
今日もaudible: ところで audible UKって何?
今回は Blood Sisters からの表現についてのメモですが、この本はNETFLIX のドラマの原作ではありません。同じタイトルの他の作品でもありません。Jane Corry 著の Blood Sisters です。
「あれ、思っていたのと何かが違う」とがっかりしたあなた、いまなら引き返せますよ。
(上記をクリックすると初めは日本版のサイトにいきますが、ページ左上部の「お探しのページへはここをクリック⇒audible.co.uk へ」をクリックするとukのサイトにたどりつきます。)
正直、共感できる登場人物はひとりもいません。ただ、結局どうなるのかが気になって、けっこうな速さで最後まで聴いてしまいました。
引用はあくまでも私の耳で聴き取ったものです。表現の後の( )内はその表現が出てきたChapterを表します。
make for (Chapter 21)
make というと、まず他動詞の定義が圧倒的に多いですね。
今回は自動詞として使われています。念のため改めて辞書を引いて驚きました。
ジーニアスの場合、自動詞の定義の中でこの使い方「(・・・の方へ)向かう」が最初に出てくるのです。
Collins の辞書サイトで make for を検索すると、この形で使用されてきたのがどの時代からかわかります。300年前はかなり使用されていたようですが、100年ほどで下火になり、過去50年で見るとほぼ横ばいです。
in-crowd (Chapter 27)
クラス、学年、学校の中でイケてる方のグループということです。「イケてる」って、もしかして昭和な感じでしょうか。
スクールカーストという言葉がかなり一般化しているいまなら「一軍」にこの言葉を当ててよさそうです。
in は形容詞で「流行の、人気のある」、LDOCE では fashionable と定義されています(リンク先のページのかなり下までいくと adjective としての定義があります)。「流行りの色」なら in colour ですね。
call in (Chapter 27)
call in sick で「会社にずる休みの電話をする(「体調が悪くてやすみます」)として覚えていたのですが、よくよく考えたら、まず call in ですよね。そりゃそうです。
ずる休みとは限らないわけで、今回の箇所なのです。主人公は本当に体調不良だったと訴えています。一人暮らしはだれも証明してくれなくて大変です。
a hair out of place (Chapter 51)
身体の動きとか、人の様子などを表す表現は、見つけた時にメモするようにしています。「こんな言い方をすればいいのか」と感心します。
この引用部分は、被害者の母親について主人公の母親が表現した文章です。「あの人はけっして髪が乱れていることはない」ということをこのように表現するのですね。
be in (Chapter 57)
ジーニアス英和辞典第5版では in の副詞としての定義の2番目に「[位置]家に、在宅して、職場に」と出てきます。
固定電話だけの時代なら「お願いだから家にいて(この電話をとって)」でしょうが、ここでは家の電話ではなく相手の携帯電話にかけています。ですから「お願いだから電話に出て」でしょうね。
wear lavender (Chapter 58)
「その人、母さんがラベンダーの香水をつけていることも知っていたわ」という話です。
香水も確かに身につけますから wear でいけますね。でも lavender perfume ではなく lavender だけでいいというのが今回の発見でした。
たとえば black とか white という、色を表す語だけで、その色の服を着ているというのと同じですね。
自分で言おうとするとき、こういうスッキリした表現が出てこなくて、くどい言い回しになりがちです。
loos / toilets (Chapter 68)
訳合って、主人公はいま刑務所に入っています。刑務所内で自分に与えられている仕事はトイレ掃除です。ここではトイレを loos ではなく、toilets と呼ぶようにしておかないといけない、と言っています。
映画『ブリジット・ジョーンズの日記』でも loos と toilets が出てきました。ある作家の出版記念のパーティーで、レネー・ゼルウィガーが演じるブリジットは toilets と言い、その少し後のシーンではヒュー・グラントが演じるダニエルが loos と言っています。男言葉と女言葉なのかなと最初は思ったのですが、違いました。loos のほうが婉曲的な表現でした。
Blood Sisters に戻ります。
刑務所にいるほかの受刑者から反感を買わないために、loos ではなく toilets という語を使わなくてはと言っているのでしょうね。
ナレーター
ここからはちょっとマニアックなので、すみません。英語の話ではありません。吐き出させていただきます。
上記の『ブリジット・ジョーンズの日記』といえば、同名の原作小説の映画化で、その小説の中でも鍵になるのが、BBC制作のドラマである Pride and Prejudice です。
このドラマのことはご存知の方も多いと思います。昔NHKが放送してくれました。ありがとう、NHK。
BBCドラマの原作はもちろん Jane Austen の同名小説です。
メグ・ライアンとトム・ハンクス共演の(Sleepless in Seattle 『めぐり逢えたら』ではなく)You've got mail 『ユー・ガット・メール』 では、メールの相手が実は商売敵であるトム・ハンクスだとは知らずにいるメグ・ライアンが、Pride and Prejudice を読むようにすすめ、そのすすめに従って Pride and Prejudice を読もうとしたトム・ハンクスは、この話のどこがいいのかまったくわからないという様子のシーンがありました。話が合う相手でも、読書の趣味は合わないことはありますね。
BBCのドラマに戻りますが、ご存じの方も多いように、放映当時はイギリス中の女性がダーシー役のコリン・ファースに夢中になってしまい、そのことも『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズで何かとかかわってきます。
そしてやっと本題なのですが、今回のBlood Sisters の朗読者のひとりである Emilia Fox がBBCドラマでダーシーの妹ジョージアーナ役を演じた女優さんだと気づき、私の胸は高鳴りました!
あまりにもBBCのこのドラマが好きすぎて、何かにつけて関係あることがわかると、心躍ります!
よかった、この本の朗読を購入して。
さらに Emilia Fox の母親は Joanna David だとウィキペディアで知り、それならBBCのドラマの中で親子共演を果たしていたことに今さらながら気づきました。ヒロインであるエリザベスの常識的な叔母役です。
この人も朗読が素晴らしいのです。
audible に入るまえは長年カセットテープかCDで小説の朗読を聴いていたものですが、Joanna David による E. M. Forster 作 A Room With a View も繰り返し聴いたものの1つでした。残念ながらこの作品はいまだに audible に入っていません。
いえ、今あらためて確認しました。
audible には入っているのに(サインインせずに検索すると出てきます)、検索して表示された状態でサインインすると、例の "We're Sorry
Audible does not currently have the rights to sell this title in your country/region. Please consider another book" というメッセージが出てきます。
いつか日本向けにも公開されて欲しい...
はい、それだけの話です。ほとんどの方にとってはどうでもいいですね。
Blood Sisters のサンプルで聴けるのは Emilia Fox による朗読部分ではなく、もうひとりの朗読者である Zoe Thorne の朗読部分です。ご注意ください。
この小説は、主要な登場人物のふたりが、それぞれの章で一人称で語っていく形式です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?