
多摩川の生き物とヒト その263 水系 標本つくり 2回目 ‘24/11/10
「植物標本をもっとつくろう」という標本つくりの講習会の2回目は東京都立大牧野標本館で行われた。
まず、ラベルの重要性や記入の仕方の説明があった。そうだろう、ラベルのない標本はただの物しかない。
ラベルはまず、採集した地点の緯度と経緯を記入する。私でもそうだが、どこに生えていたのか、分からなくなる。この時、先生は私にとって馴染みのない10進法で経緯度を記入していた。
地名や採集者氏名などは外国人(私達でもそうだが)で読めるように、ローマ字を併記する必要性が挙げられた。
採集年月日はどこかの東京都などは和暦を使用し、国際性が無いのとは違い、もちろん、西暦を使用。


先生の場合、手間のかかるこのようなラベル書きは他のソフトと連動させ、例えば、学名の検索を行い、併記できたりと工夫している。事実、この講座の前に先生は八丈島へ行き、標本を200ぐらい採ってきた。このような場合、いちいち本などで調べていくと、手書きでは間に合わないと思う。
標本の扱いでも、紙に挟むだけで、張り付ける必要はないという事を聞いた。長年、張り付けるものだと思っていた私にとって、まさしく、目から鱗が落ちる思いだった。
次は普段では入れない標本庫に入る。エングラーからDNA重視のAPG分類によって分けられている。都立大移設の頃からあった収納庫(ハーベリウム)が一杯になり、新しくできたものだ。これだけでも東京都は良い事をしたと思う。
標本の中に緑色の紙で挟まれたものがあり、牧野標本と呼ばれている。隅にMが入っているものがあり、牧野富太郎氏自身が採取したものとの事。Mが入っていない標本は学校や市民などから牧野氏へ寄贈されたものであることが分かった。

さらに赤い紙にはさまれたのがタイプ標本で、いくつかあるそうである。他の博物館では耐火金庫に入れるなど、厳重に保管しているそうである。それもそのはず、タイプ標本は分類の基準となるもので、世界で唯一の物で、参加者からも質問が出ていたように大変貴重な物である。例として、見せていただいたのがサクライソウで、桜井さんが採集し、牧野氏が新種として同定したタイプ標本だった。
サクライソウのように、100年たっても残っていて、研究などに活用できる。ここに標本の意義がある。さらにDNAが発見された1953年からまだ71年しかたっていないが、このDNAによって分類が大きく変わった。また、100年たって、DNA以外の新しい物質が見つかるもしれない。だからこそ、標本を採って、保管していく意義がある。
まだ、東京都は標本を保管する博物館を持っていない。一般の人でも閲覧でき、保管が出来る博物館を都は作るべきだと思う。
私達が作った標本は持ち帰り希望者以外は都立大の標本庫に入る予定である。今迄にあり、重複していても、標本の価値があるならば入る。
私のヌカキビの標本は果たしてどのようになるのだろう。
