多摩川の生き物とヒト その225 水系 6月の多摩川自然観察会 ‘24/6/16
6月の多摩川自然観察会は多摩川右岸、川崎側の河口を訪れた。夜間、降っていた雨は低気圧が移動し、朝方には止んでいた。参加者6名。
京急大師線小島新田駅に集合。高架梁に作った主がいなくなったツバメの巣を見た後、川崎貨物駅そばの細い道を進む。チュンとスズメがヒメムカシヨモギの花をついばんでいる。親と一緒に口ばしが黄色いヒナ達も茎に縦に止まりながら、花をしごいている。
恐らく、川崎貨物駅から東京貨物ターミナルへ伸びている貨物線のトンネルの上に作った殿町第3公園を進む。グラウンド脇から川へ。満潮のためか、ネズミ島は見えない。と言うか、消えてしまっている。どうしたのだろうか。私有地なので、勝手に削るなどはできないはずだが。
疑問だらけではなく、狭い所で縄張りを告げているオオヨシキリだらけだった。捜すと、隠れているが、少し時間が経つと、飛び立ち、アシや木の上で赤い口を見せ、鳴いている。鳴く前にキョ”と言う声を出し、アオゲラの様。
エノキなどの大きな木が点在しているアシ原を抜けると、羽田空港に向かって広大な景色が広がっている。しかし、コアジサシの姿は見えなかった。川崎キングフロントと言う研究施設が集まっている所のそばを進む。対岸には湾岸沿いにあるフジテレビ本社、東京タワー、そして目印となるスカイツリーなどが見えている。さらに、近年開業したばかりの羽田イノベーションセンターも見えている。今のところ、影響が少ないスカイブリッジをくぐる。ここから道が狭くなる。
河川敷沿いには白い花のトウネズミモチやすでに四角い実を着けているマユミなどが生えている。足元ではガサ!ガサ!とカニ達が動く音が聞こえている。
排水口にはベンケイガニが多くいた。ヤマアワが生え、アシだけになった河川敷近くの堤防にはハマヒルガオが無事だったが、花はまだ。また、小さな干潟にはチゴガニが一生懸命手を振り、ヤマトオサガニが潜望鏡みたいな目を出して水たまりに隠れていた。
勝手に作った河口の碑がある所にはオニグルミがきれいに生っていた。河口近くまで行くと、シロバナシナガワハギが群落を作っていた。昨年(2023年)まではあまり、生えていなかったが、急に増えだした。何かを捜しているカルガモやコサギがいたが、我々はミズクラゲや赤いクラゲを捜した。赤いクラゲは恐らく刺胞動物の名に負けない毒針を持っていると思うので、さすがに触らなかった。
ボラの稚魚が大きな群れでいて、成魚は良く、水面をはねている。
戻り、スカイブリッジのたもとで早い昼食。近くにいた野良猫も釣られたのか、出て来たが、口からよだれをたらし、病気の様。施設に入れるなどをし、安心して暮らせるようにしたい。
土手の斜面にはツチバチが飛び交っている。メスのツチバチは撮ろうとした時、草の根元から地中へ潜った。S氏によると、地中にいるコガネムシの幼虫を捜しているとの事。先ほど見たツチバチが地中から出て来た。地面が盛り上がるのが分かる。
空地の外来種や途中のテラスで飛行機を見る。風向きの関係で旅客機が正面を向いて、次々と降りてくる。羽田にはキムタクロードがあるなど空港にまつわる話がÝさんから出てくる。
夜中にトイレの水が流れる殿町第2公園はSIMAZUの大きな施設が隣接している。ここにいすゞ自動車の大きな工場があった事はもう知らない人が多くなっているだろう。救いは生まれたばかりのカメムシがきれいに並んでいた事。
帰りも植えられているサボテンに花が咲いていたり、公園ではビワを伐採するとの警告文があったりと、見る物も多い。ビワもここでは生きられないのか。
渡り鳥は少なかったが、オオヨシキリや虫達等のたくましい生き物を見られた一日だった。