多摩川の生き物とヒト その255 水系 標本づくり講習会 ‘24/10/27
広大な神代植物園の反対側にある植物多様性センターで「植物標本をもっと作ろう!」という標本作りの講習会が開かれた。
まず、標本の意義と作り方の説明があった。まず、標本はその土地にいた生き物の証拠である事。そして、標本はDNAのように新しい分析にも対応できる事を述べられた。
標本の中で、特に植物標本の特徴はエチルアルコールなどの液体を使わず、乾燥した腊用(さくよう)標本とする事。また、大きさも新聞紙の半分の大きさに統一されている事などを挙げていた。キリのように大きな木も一枚または数枚に分けて収めてしまう。
乾燥の仕方は昔、熱風などを使ったが、DNAが壊れるので(確か、PCRというDNAを増やす技術では90℃まで上げていたが、)使わなくなったとの事。そこで、講師の先生は塩化カルシウムを含ませた吸水紙にはさみ、空気を抜いた袋で圧縮する方法を取っているそうである。この標本セットが20000円ぐらいするそうである。
次は実際に採集して理解してもらおうという事で、採集禁止の多様性センターで採集する事にする。
さすがにタマノカンアオイなどは標本に出来ないので、温室付近に生えている雑草を中心に採る。おのおの、ワルナスビ、ツルマメなどを採集し、面白いのは少なくなってきたセンダングサがあった事。昔は竹製だった野冊に採集した植物を挟み込み、再び、センターに戻る。これから、どうやって標本に仕上げていくのか、話があった。各自、標本を曲げたりし、新聞紙に収めていく。難しいのもあったが、さすがに先生は大きなセンダングサを3つに折り、きれいに標本にしていた。
その後、八王子市南大沢の都立大学の周囲で先生が採取した標本の解説があった。ガマズミなどの実が付いた標本も実が落ちないように袋に入れる必要がある事。エノコログサや大きいススキもしっかりと折りたたまれて標本になっていた。
私も中学生の時、オオバコやキノコの液浸標本を作って以来だった。先生は標本のプロで、一日に何百もの標本を作り、どうやったら手軽にしっかりと出来るのか、試行錯誤の上で標本作りを体得している。このようなプロの方にしっかりとした標本の作り方を学べて良かったと思った。
次回は都立大で牧野標本館の標本庫に入る。これも大いに楽しみ。