「未出版からの抜粋_回想」

結婚生活をしていた家は抵当に入ってしまい、引っ越しをした。
借家住まいでは当然家賃がある。家賃を払わなければ家は追い出される。
そして6か月分の家賃を滞納し立ち退き日を目前にして、喪失感、虚しさ、焦燥感、腹立たしさでいっぱいだった。
誰に腹を立てていたのだろうかと思い返すと生計を立てられない自分と
世の中全体だった気がする。

養育費も慰謝料も反故された生活。
一人で子育てをする毎日が不安なのに、誰にも不安を見せることができない辛さ。

しかし婚姻生活の時に比べると恵まれていたのかもしれない。
元夫のことは書きたくないが、次女の妊娠中はチョコレートや実家から送られてきたスイカで空腹をしのぎ、小児喘息で入院していた上の子の残した食事で栄養を取っていた時期もあったが、離婚後家庭を回していたのは、私自身で誰かに委ねて巻き込まれることもなかった。

渦中にいると見えない幸せがある。
私は回想しながら、長いようで短った離婚後の生活を悪くはなかったな、と思う。

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