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きらわれ葛(くず)の籠編みは、楽しい

葛(くず)で籠を編みました。葛は繁殖力が強く他の植物を覆うように繁殖するので嫌われ者ですが、一方では食用にもなります。とは言っても今では本当の葛を食用に使う事はほとんどなく、いわゆる葛餅(くずもち)もほとんどが代替品だそうで、葛根(かっこん)からでんぷんを抽出するのはかなり手間がかかるようです。(本当の葛餅を売っている店を知ってます)。
昔は根は食用に、つる(蔓)は籠だけでなく、衣類の材料でもあったとの事ですが今では人間にとっては役立たずで、放置され、好きなように繁殖し、大きな葉っぱで地面や他の植物を覆い隠してしまう厄介者として有名です。
ただ、その蔓は大変丈夫で趣のある籠を編むのに適しています。
今回、葛籠を作る教室の手伝いをしました。ちなみに竹籠に比べれば、くずの場合は材料集めも含め、やろうと思えば1日作業でできそうでした。
作り方の詳細はネットでも数多く紹介されていますのでここでは省略しますが、今回の参加者の皆さんは女性の方ばかりでしたが、大変楽しそうで、信じられない事に無駄話もせず黙々と集中して作られていました。
教室に参加された方々は材料集めはしていませんが、その気になればいくらでも道端などで採取可能です。ただし、籠編(かごあみ)に適しているのはコンクリートなどに蔓を伸ばし、節(ふし)から根の出ていないもので、いたる所に生えている割には適当な材料集めは簡単ではありません。
葛は荒れた土地、場所によく生えるので外来の種かと思っていましたが、アジアを中心に世界的な分布があるものの、古来から日本にもある植物だとの事です。ただ、繁殖力の強さから「世界の侵略的外来種ワースト100」に入っているそうです。我々が作業をしている自然体験の森では幸か不幸か、今の所、余り増えていません。
そのため材料集めは、最近新設された道路や、橋のたもと、施設など、外部で採取する必要がありました。できるだけ枝の少ない直線に近い蔓が適しています。
取った葛は、葉を取って、今回は生乾きで弾力のある状態で使いました。ネットで見ると本格的には太い蔓を割いて使う事もあるようですが、我々の場合は色々な太さの蔓をそのまま使いわけました。太い蔓は縦の骨組みに、細い蔓は横に編むのが原則のようです。
驚いたのはくずの蔓の丈夫さです。細い蔓でも思い切り引っ張っても簡単には切れません。折っても大丈夫です。緻密に編むのは太いほど大変ですが、皆さんの努力の結果(写真)はすばらしいものでした。
一方、藤蔓やあけびの蔓も籠作りの材料になるようですが、あけびは我が家でも生えていますが、繁殖力はそれほど高くなく、材料集めが大変です。それに比べ、葛は入手し易い上に極めて丈夫で籠編みがしやすいので便利だとの事です。ただ、この丈夫さ、成長力は嫌われる原因でもあります。

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