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年輪から妄想が膨らむ

 写真は数か月前に木こりの方がチェーンソーで切った杉の断面です。正確に数えていませんが、年輪からは70-80歳位に見えます。この杉は30歳から40歳の時に一部の表面に傷ができて、傷口が塞がるまでに10年位かかり、その間、傷の部分は成長せずに空洞になったとの事です。この空洞は表面の状態から判断すると深さは数メートル程度だそうです。
 その他細かく年輪を見ると、その間隔が色々変化しています。気温や雨量も変化があったのでしょう。単純に考えると若いうちの方が成長が早いように思われますが、この年輪では逆に外側、つまり時間が経つにつれ成長が早く、年輪の間隔が広くなっている傾向があります。しろうと考えですが、温暖化の影響もあるのかもしれません。
 一般に植物は水分さえあれば、言い換えれば水分不足=旱魃さえなければ、気温が高く、CO2濃度が高いほど成長は早いと思われます。
 きこりの方々によれば、材木としては南斜面より日当たりが少なく、温度の低い北斜面の方が緻密で品質の高い、つまり高く売れると言うことで、僕の年輪幅のしろうと考えも外れていないように思います。
 温暖化以外にも、幼木の時は周りの木々に遮られて、日当たりもあまりなく、生き残るのが精いっぱいで年輪の幅も狭いですが、背が高くなり日光を十分受けられるようになれば成長が促進され、年輪の幅も広がるのかもしれません。
 ちなみに、材木としてはある程度乾燥している方がいいとの事で、切り倒してもすぐに出荷せずしばらく乾燥させた後、出荷する事もあるようです。
 また、この乾燥については、少しせこいやり方ですが、先ほどの傷口のように、水分や栄養が流れている表面の皮をある幅で全周はいでしまうと、養分が途絶え、その上部は枯れてしまう事を利用して伐採せずに立ったまま乾燥させ、出荷の直前に伐採する方法をとる事もあるとのことです。
 ただ、この場合枯れた杉が立っている姿は見苦しいのと、時に伐採する前に意図しない方向に倒れてしまうこともあり、安全性の問題があるとの事で、ここのきこりの皆さんには不評でした。
 杉など針葉樹は切り株から新たな萌芽(皆さんは“ひこばえ”と言ってました)は出ないそうです。ただ、広葉樹の多くはひこばえがでて、森が再生するので、里山での薪炭用木材は新たな植林はしないこともあるとの事です。
 写真の杉はほとんど直線的に伸びていて建築用には価値があるとの事ですが、今の時代はこれを斜面から移動させトラックに積み込む手間賃を考えると採算は取れにくいとの事でしたので、誰かが欲しいと言うまでは放置しておくそうです。
 ちなみに、この杉を伐った理由は売るのが目的ではなく、この場所はモミジを植林してある場所で景観上の理由で伐りました。
                          以上
 

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