【97歳の一人暮らし】消えたバターナイフ
こんにちは!にせママです!
最近、警察官とご縁があるのか、間近で見る機会が何度かあったんですが
(あ、私は何も悪いことしてませんよー!汗)
皆さん紳士だしガタイがよくて思わずトゥンク。おっちゃんなのに。笑
さて、シリーズ化を目指す【97歳の一人暮らし】
前回は、祖父が認知症になるまでと、折り合いの悪い息子(父)とのことを書かせてもらいました。
今回はこの2つ↓↓☆
「バターナイフが盗まれた!!」
祖父は気ままな一人暮らしを希望しています。
大好きな妻(祖母)と過ごした思い出の家。
「この家で暮らしたい」とはっきり言っていました。
老人ホームに入ってしまうと、
自由に外出はできなくなるし、
施設の規則など、プチストレスもあるらしい。
1度入所してしまうと片道切符。
家に戻ることもないでしょう。
あと、急な環境の変化は認知症を急速に進める要因になるそうです。
「可能な限り、一人暮らしを継続できたらいいですね。」
熱血ケアマネも本人の意思を尊重して、全面バックアップ。
不安になる祖父からの呼び出しがあれば、今も何度も飛んで行ってくださっています。(感謝)
「○○さん(ケアマネ)には本当に頭が上がらん。」
祖父が泣きながら私に話してくれたこともあります。
息子の父も
ようやく祖父へ高圧的に施設入所を進めることがなくなり、
認知症であることも少しずつ受け入れ、
月に1度ほど父も様子を見に行くようになりました。
(母に尻を叩かれる形でしぶしぶ…)
そのころ祖父も95歳。
私ももうすぐ育休から復帰という頃。
突然、ひどい被害妄想がはじまりました。
最初は
「ヘルパーにバターナイフを盗まれた!!」
とヘルパー訪問の翌日に事務所へ電話で怒鳴っていたそうです。
あの穏やかな祖父が怒鳴るなんて…信じられませんでした。
しかもバターナイフごときで…。色々ショックでした。
事あるごとに「食器がなくなる」など言っていたので
ケアマネから「食器が多いので処分できますか?」と相談があり、
家族で片づけました。
余談ですが、祖母が食器にはこだわるタイプで、もったいないので私がもらい大切に使っています☆(ありがとう、おばあちゃん)
食器棚がすっきりしてからは、
ヘルパーさんを疑うことはなくなりました。
ただこんなことを言うようになりました。
「わしがデイサービスに行っている間、息子(父)が合い鍵で家に入って箪笥の中やら片づけをしてくれている。」
もちろん父は、祖父の不在時に全く出入りしておらず。
「うちのお父さんがそんな気が利くわけないじゃん~」
と冗談で返していました。
ある日、私の方に電話がありました。
「大変や!通帳がない!」
ケアマネやヘルパーさんも出入りする家。
最初は私もびっくりして家まで飛んでいき、1歳の娘を抱えながら必死に探しました。
「そんなはずない」とは思いながら、ヘルパーさんをちょっと疑ってしまった私。(ゴメンナサイ…)
お金のことだし、すぐにケアマネには相談できませんでした。
祖父宅に行くと、
「息子が勝手に出入りしているから怪しい。」(祖父)
「お父さんはお金に困ってないし、そんなことしないよ。ヘルパーさんは通帳の場所知ってるの?」(私)
「いや、絶対に教えてない。箪笥に近づかんようにも言ってる。」(祖父)
「(それって暗にここに貴重品あるよって言ってるやん…)」(私)
探してみると、いつも箪笥にある。
「なんだ、あるじゃん~」
ほっとしてその日は終わりました。
ただ、それ以降も数日おきにかかってくる電話。
「大変や!通帳がない!」
今度は箪笥にない。
探し回ったら別の箪笥の引き出し。
次はベッドの枕の下。
その次は押し入れの中。
毎回違う場所から出てくる通帳。
何度も呼び出され、父を疑う祖父の話を聞き流し、
1歳の子を抱えながら、探し回りました。
毎週私が片道1時間かけて探しに行き、疲弊したこともあり、
ようやくケアマネに相談しました。
「もの盗られ妄想ですね。」
祖父は通帳を父に盗まれることを警戒して、自分で隠し、
隠したことも隠し場所も忘れて、父を疑うのでした。
う~、THE 認知症の症状!
「お金のことだからご家族としては相談しにくかったですよね。可能な限り協力させてもらいます。」
それ以降は、ケアマネも探してくれるようになりました。
「それにしても、もの盗られ妄想で容疑をかけられるのは、だいたい身近に世話をしてくれる私とか にぃせぃさんなのに、アノ息子さんなんですね。」
こんなこと言うケアマネさん、大好き(笑)
そして認知症が進んでも、お世話になっている人への恩は忘れない祖父。
改めてすごいと思いました。
でも、私もあと2か月で復帰するのに
こんな状況では祖父の一人暮らしは無理か…
父とも相談し、施設入所も視野にいれつつ
一旦、「通帳を(信頼している)にぃせぃに預けてみないか?」
と祖父を説得することにしました。
当初かなり不信感を持っていた祖父ですが、
「まあ、にぃせぃになら…」と一旦預けてくれました。
(ナイスチャレンジ!)
実際には父が預かっています。
父の職場は祖父の家の近くなので、仕事帰りに行きやすく、
毎月2,3回、数万円ずつ父が引き出して祖父に渡しに行く
というスタイルで始めてみました。父は私の使徒というテイで。
最初は通帳が奪われたショックで
「通帳って誰がもっているんや?」と
何度も電話がかかってきましたが、
「私が持っているから安心して☆」とサラッというと納得する祖父。
だんだん父から生活費を受け取るスタイルに慣れてきて
頻繁な電話はひとまずなくなり、施設入所も今の段階では不要。
とりあえず様子見ようか、と。
私も安心して復帰することができました。
認知症が一時急進した原因
もの盗られ妄想騒動があった期間は3か月ほど。
祖父自身もずっとイライラしていて、荒れていました。
しかし、通帳を家族に預けたタイミングでどんどん穏やかになる祖父。
通帳を預けること自体は抵抗していましたが、
やっぱり不安要素(今回は通帳)がなくなることで
認知症の進みを遅らせられるのかな~と素人ながら思っていました。
ただ、うちのケアマネ、さすがプロ。
「通帳騒動の期間、マンションの大規模改修をしていましたよね。あれが原因ですね。」
実は、祖父の家はマンションの1階なのですが、
あのころ、マンションの大規模改修のため長期間ベランダに足場が組まれ、黒い幕も下げられていたため、家の中がすごーく暗くなっていたんです。
しかも家の窓から覗くとすぐそこに作業員さんがこんにちはしているスタイル。
大規模改修の予告はされていたとはいえ、
祖父にとっては大きな「環境の変化」
やっぱり環境の変化って認知症が急進するんだな~と改めて思わされました。
通帳を預かることになったころ、
ちょうど足場が解体されていたところだったんです。
だから最終的には素直に従ってくれたのか…。
逆に足場がまだそのままだったらどうなっていたのか…。
タイミングよく祖父は持ち直し、施設入所も免れた。
本当に引きが強いな(笑)
余談ですが、この話をお義父さん(65歳)にしたとき
「すごくわかる。天気が悪くて暗いとき、私もこの世の終わりのように気分が沈むもん。」
とお話ししていました。
ほほう、高齢になるとそういうものなのか。。
認知症ってまだまだ未知の世界ですが、
祖父を見ているとたくさんの発見があります。
私は所詮、遠距離介護の身だからのんきなことを言えるのですが、人間の素の部分が垣間見えるので、脳科学、心理学的にも解明されているように奥深く、祖父を見ていて面白いなと思わされます。
(語弊があったらすみません)
今回は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
次回はまた別の事件について書こうと思います☆
さあ、今日も前を向いていきましょう!!