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呪物なのか禍々しいモノなのか

「助けて!!助けて!!お願い!!開けて!!」

突如部屋のドアが激しく叩かれる音と女性の悲鳴に近い声で目が覚めた。彼女が寝ぼけているのかと思ったが彼女は私の隣で眠っている。

「助けて!!早く!!」

だんだん頭が働いてきてその声の主がシェアフラットで隣の部屋に住むベトナム人女性のフンさんだと分かった。

とりあえずベッドから降りて扉を開けるとそこには泣きそうな顔で顔面蒼白のフンさんが寝巻き姿で立っていた。

「どうしたの??」

私がそう尋ねると間髪入れずにフンさんが

「幽霊にレイプされそうになったのよ!!」

と私の両腕を掴んだ。その顔は冗談で言っている顔では無かった。

「もう、あの部屋に戻りたくない!!」

彼女はそう叫ぶと、とりあえずは助かった安心感からかその場に泣き崩れた。

私は訳がわからず呆然とその場に立ち尽くしていたが、まさか自分もすでにその事件の渦中にいるなとど言う事はこの時点では予想だに出来なかった・・・


よほど恐い目にあったせいかフンさんは翌日友人の手伝いも借りて引っ越して行った。家を出る間際に私の顔を見て

「私の部屋だけじゃない、ここ自体がやばい。あなたもここに住み続けてたらどうなるか分からないわよ」

と言った。確かにここに引っ越して来てからおかしな事が無かったわけではない。細かい事をあげればキリがなかったが、比較的目立つ事と言えば私と彼女との喧嘩が今までにないぐらい頻繁にある事。そして隣の部屋に引っ越して来たさとちゃんの様子が明らかにここ3ヶ月でおかしくなった事だった。

さとちゃんは28歳の女性黒髪のロングのストレートヘアーに目鼻立ちの整った日本的美人の女性だ。性格も明るく、初対面の挨拶でも物凄く好印象だった。

しかし、この3ヶ月ほどで雰囲気がなんだか暗くなり不自然に痩せ細り目の下には濃いクマが目立っていた。学校とか忙しいからかな?と思ったがこの短期間での変わりようはよくよく考えてみれば異常だった。

一体何がこの家にはあるんだ・・・

そしてその原因はふとした事から分かることになる。それから数日後私が洋服ダンスの引き出しの中から見つけてしまったとある禍々しいモノであった・・・



後半に続く

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