安芸の宮島・バリエーションルート山行
前回に続き《山と自然》シリーズ 第2弾。
今回も「肉体」で書く記事。
投稿4日目にしてようやくnoteの公式マガジンに再びピックアップ ^_^
山行記なので長めですが、一緒に山を歩くつもりで読んでいただければ、気持ちの良い汗が流せます\(^^)/
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世界遺産・安芸の宮島を訪れる観光客の多くは、島の中央に聳える神名備・弥山(みせん)に登る。
一般ルートはいくつかあるが、誰でも登れる代わりに樹林帯で展望のきかない石段を延々と登り続けるだけの、実に退屈なコースでもある。
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しかし地元クライマーたちは別のバリエーションルートを知っている。
「海の展望と原生林のダイナミズムが同時に味わえるルート」があることを。
ただし、一般観光コースではなく、知る人ぞ知る《秘境ルート》なので観光地図には載っていない。
通称、博奕尾ルート。
戦国時代の歴史的軍事ルートである。当然、生半可なコースではない。
※ 一応ルート図を載せてみた。
ざっと雰囲気くらいは掴めるかも知れない。
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観光客で混雑し始める前にフェリーで島に渡り、足早に朱塗りの鳥居や厳島神社の前を通り過ぎ、紅葉谷公園とロープウェイ乗り場を素通りして登山口に向かった。
島民でさえこの登山ルートを知る人は少なく、いつも静まり返っている。
案内図には一般ルートは載っているが、もちろん博奕尾ルートについての表示はない。
ここでゆっくりとストレッチをし、あらためて荷物を整える。
そして、山に登る時に定番としているブルックナーの7番を聴きながら出発する。
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ここから先は多くを語らず、フォトに委ねる。
原生林の中を登り始める。
外気温32度。当然、夏の植生だ。
ザックを背負っているだけで全身から汗が吹き出す。
登り始めて15分、東側に海の展望が開けてくる。
これが、このコースの醍醐味だ。
しかし、登山道はシダに覆われ、やっと人が一人通れる程度の幅。
こういう道が延々と続くので山慣れない人は敬遠する。
30分登ったところで、ようやく「博奕尾」の説明板が現れる。
高温の中、ひたすら急勾配を登って行く。汗が滝のごとく滴り落ちる💦
しかし、この展望に励まされながら一歩一歩登り続けるしかない。
山は一度入ってしまうと、進むか退くかの2択だ。
判断ミスは、時に生死を分かつ。
森林浴を味わう余裕はないが、原生樹木が発散するフィトンチッドが気持ちを穏やかにしてくれる。
突然こんなヤツに出くわしたりもする。
道は譲ってくれたが、あまりにも人(鹿)相がよろしくないので、一戦交えることも覚悟した。
こんな秘境に棲息する鹿は、下界での生存競争に敗れて逃れて来たのかも知れない(って、俺みたいじゃん💧)
2時間近くのアップダウンを繰り返すうちに、紅葉谷ロープウェイと交差する地点に出た。
ここに来ると、いつもロープウェイの観光客からは一斉に好奇の視線を浴びるので、そそくさと逃げるように先に進む…:^)
ロッククライミングを繰り返して、ぐんと展望が開ける場所に出た。
僕が「お昼寝岩」と名付ける気持ちの良い場所だ。
ここまで来れば終着点は間近なので、所持してきた1.5リットルの水を全部飲み干すことにする。
ロープウェイを眼下に見下ろしながら進むルートを歩いて来たのだと実感する。
瀬戸の小島の風景が一望でき、爽やかな潮風を浴びながら長い休憩をとる。
こういう所でのんびりと昼寝をするのも悪くない。
この景色に会いたくて、いつもこのルートを歩くのかも知れない。
ロープウェイのターミナル・獅子岩駅が僕の登山の終着点でもある。
ロープウェイで上がってきた外国人観光客で溢れ、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語が飛び交っている。
長時間の山行で脱水気味なので、冷房のきいたレストハウスで遅めの昼食をとる。
火照った身体に、冷たいビールが沁みわたる。
塩分多めの鮭とおむすびを持ってきて正解だった。
実は後半は脱水と熱中症気味で意識が朦朧としていたのだ。
下山は無理をせず、素直にロープウェイを使うことにした。
2時間以上もかけて自分が登ってきたルートを、ロープウェイで眺め返しながらスイスイと下る光景は、何やら複雑な思いだったが…=_=
来た時には海に浮かぶように立っていた鳥居も、帰る時にはこの通り。