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ドビュッシー&印象派の世界に遊ぶ 【音楽と絵と山のエッセイ】
秋に相応しい音楽と絵と山のコラボでもいかが?
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この季節になるとドビュッシー、サティ、ラヴェルなど、近現代のフランスの楽曲が無性に聴きたくなる。
喧騒に満ちた一年の疲れを癒したくて、無意識のうちに繊細な煌めきに満ちたお洒落な旋律に心が惹かれるのだ。
たとえば、定番ともいえるドビュッシー の「アラベスク1番」
演奏 : エレーヌ・グリモー
(フランス)
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印象主義音楽と呼ばれるドビュッシーの音楽の煌めきの秘密は、それまでの西洋音楽の伝統から外れた《全音音階》と《六の和音》や《属七の和音》などの多用にある。
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だが、そんな楽理の知識などなくとも彼の手法は現代のクラシックやジャズ、ポップスの中にすっかり浸透、定着している。
今に生きる僕たちはごく自然に「ドビュッシー的」なる音楽世界の中で呼吸している。
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印象派の音楽には印象派の絵画がよく似合う。
彼の音楽を聴いていると、彼と同時代を生きたモネの『睡蓮』や『日の出』が自然に浮かんでくるようだ。
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街にはクリスマスソングが流れ始める12月に入って、ようやく見頃を迎えた西日本の紅葉。
季節的な違和感を覚えつつも、これを逃す手はないので、三倉岳という地元の山を登りに行った。
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この山の佇まいは何かに似ていると思えば、ポール・セザンヌの絵画の世界か…(^^)
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足を森に一歩踏み入れただけで空気の味も匂いも変わるのが分かる。
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標高も全国的知名度も低いが、峨々たる岩塊が物語るように、地元ではロック・クライミングのメッカである。
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齢をとって身体の切れもずいぶん衰えたが、とりあえず汗を振り絞って登りきった山頂で味わう澄み切った空気とコーヒーの美味しさが忘れられず、いまだに山に向かっている。
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