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就職しやすい「ジョブ型雇用」に移行する 日本を未来化する「共働き社会」への工程表(2)
そして、ここが本命です。ここまでのところは、これからの中身のための準備段階です。
「共働き社会」の本命は、ジョブ型雇用への移行です。
これに着手してからの3年間は、国が労働市場を担います。今までよりもずっと活発な求人活動が行われるので、民間の求人サイトが関わる余地はたくさんあり、政府の積極的な情報開示によって、同時進行で進めることができるようにします。
ジョブ型雇用の要諦は、まず応募者自らがホットワーカーであるのか、クールワーカーであるのか、選択するということです。募集企業においても、ホットワーカー、クールワーカー別に条件を定めて募集します。
募集内容には、業務内容、雇用期限、勤務時間等今も必要とされる項目をより丁寧に表示するだけでなく、その仕事の「階層」も表示します。階層とは、会社にある職務階層のどの地点の仕事なのか、責任の度合いがわかるものとします。大企業になると、複数の階層表が必要になります。会社の意思決定権者からどのぐらい離れているか、どの位置の仕事かを明示することによって、責任と権限と報酬の関係が理解でき、仕事の納得性を高める重要なものになります。これらはすべて、インタネット上で行います。
一方、求職者から、自分を売り込むことができる、オファーを受けることができるオーディションステージも用意します。
ジョブ型雇用の要(かなめ)は、マッチングなのです。組み合わせ、噛み合わせが良ければ双方の納得性が高まり、雇用関係はうまくいくようになります。このオーディションステージもインターネット上で行います。
ジョブ型雇用の最大の問題点は、マッチング不全です。したがって、不全が分かった場合に辞めやすく、また辞めさせやすくなければなりません。
今、試用期間を6ヶ月としながら、一旦雇用したらほぼ辞めさせることは不可能になっています。労働者に圧倒的に有利な仕組みですが、本当のことを言うと間違っています。これは企業を不当に拘束し、企業による嫌がらせを生じさせる揉め事ポイントになります。それはダメだろうと思うかもしれませんが、法律の不当な運用が原因なので、企業ばかり責めるわけにはいきません。今の労働法をそのまま持ち込むことはできません。解雇規制は解除しなければならないのです。
今の労働法は、非常に問題です。経済活動としても問題、労働市場としても問題なのです。すべてを見直さなければなりません。まず、辞めやすい、再雇用されやすい、辞めやすい、再就職しやすいことが重要です。そのために、労働市場の流動性を確保する必要があります。企業の要求に答えられる労働者には仕事が転がり込み、企業の要求に答えられない労働者を辞めさせやすい労働市場でもなければなりません。役に立たなくても辞めさせられない制度で、一番困っているのは、隣の席の同僚であることを忘れてはなりません。その隣の同僚とは、きちんと働いているあなたのことです。
辞めやすく、辞めさせやすく、採用しやすく、再就職しやすい社会にすることで、子供の産休育休で辞めても、次の仕事が得やすくなるのです。労働者だけが得をする制度にすることは、力任せにやればやれるかもしれませんが、必ずしっぺ返しを受けます。しっぺ返しは、普通重いものになります。ブーメランを避けるなら、公平性を誰もが認識しなければならないのです。
また、ジョブ型雇用になることで、職業の安定の意味が変わります。今までは、一社で一生勤めることが良かったのですが、これからはそれがなくなります。たまたまそうなったとしても、そこに価値があるのではありません。すぐに仕事が手に入ることに価値を見出すことになるのです。これからは、「いつでも求められる人」であること、そこに価値があるのです。逆に、企業としても、注目されるポイントのある企業であることが求められ、迂闊に適当な人事をしていたら、誰も働いてくれなくなるのです。
国の基盤として作ったデジタル労働市場システムの中で、早期退職者数(割合)をリアルタイムで表示できるようにします。そして、業界で比較できるようにします。早期退職率が高すぎると、誰も応募しなくなるでしょう。
しかし、それだけでは、強い企業が人を送り込んで、すぐに辞めさせて、競合他社の評価を意図的に下げることもできます。求人企業と求職者の関係を追跡し、一定の疑義がある場合に市場側がこれを密かに調査できる権限を持たせておきます。疑いが事実であれば、この不正競争の悪徳企業を解散させます。
ジョブ型雇用への移行ということで、私たちの多くは、企業を渡ることを覚悟しなければなりません。また、このことをネガティブに捉える思考を変える必要があります。
私たちが選ぶのは、「企業」ではなく「仕事」だからです。企業が選ぶのは「人」ではなく「技術」になります。
その「会社」を選ぶのではなく、その「仕事」を選ぶのです。
「会社」で働くのではなく、「社会」で働くのです。
社会において、人の循環が活発になるので、必要な業界に新たに人を集めやすくなります。その代わりに、転職期間の生活保障は国が直接行うことにします。企業任せ人はしません。
ただし、待っているだけで次の就職先が決まるかどうかはわかりません。労働市場の流動化のメリットは、企業にもなければならないものです。そして、そこには、今リアルタイムで求められている仕事の技術を持った人を増やす必要があります。
自由主義とも通じることですが、自由主義によって、活力と競争力のある社会にしたいわけです。そのためには、古い知識や技術をアップデートしていく必要があります。人々にその力をつける「エンパワーリングシステム」を構築しなければなりません。そして、自然とそれが利用される仕組みにしなければなりません。
エンパワーリングシステムの具体として、「Gakko」を作ります。今の「学校」の延長にある働く大人のリスキリング等のための学校です。職業訓練校ではなく、もっと積極的な意味合いを持つものです。自分で選んで学ぶ先端の知識や技術です。効率的に学習できるように教材化、カリキュラム化します。
国は、エンパワーリングシステムを通じて、個人を支援します。例えば、今、障害者の雇用に関して、企業に支援を負担させていますが、この法律を廃止して、国が直接障害者の就労を支援することに変更します。例えば、高いところのものを取る必要がある人の雇用に関しては、その支援のための支援員をつけるのです。今の法律のように、同じ職場の同僚に支援を義務付けることがまったくナンセンスで、これでは、具体的な関係性のあり方によっては、健常者が障がい者の奴隷のような扱いを受けることも出てきます。同僚関係は、対応関係でなければなりません。それが法律によって壊されると言うことは、かつて、身分制の社会で、差別が制度であったように、制度としての差別が始まることになってしまいます。周りの人がこれに不満を持つ方が自然です。
今の法律は、まったく企業活動を理解していません。正しく国が支援する制度にすることで、物理的にも精神的にも、同僚も働きやすく、障害者も働きやすい制度にします。障害者1人に支援員1人をつけるのが経済的に適当かどうかという点については、別に審議会を設ければ良い知恵が出せるでしょう。
改めて、「共働き社会」の基盤として「就職しやすく、辞めやすく、転職しやすい社会」を作るには、私たち自身に覚悟が必要です。
実は、終身雇用を目指しているのは、一部企業だけではなく、今も労働者である私たちの中の誰かであると言えます。これを「解除」することが求められています。私たち自身が、「未来化」することで新しい時代に入っていける。このことを自覚して、新しい日本を築いていきましょう。
「共働き社会」の実現について、希望すれば、子供3歳まで親のどちらかが、日本で一番手厚い産休育休制度を持っている地方公務員として雇用されるようにする「地方公務員化可能法」の提案もしています。
年80万人産まれるとして3歳までの3年分で240万人、年間9.6兆円必要ですが、この支出は純増ではありません。他に減額できる他の予算があるので、詳しく算出することが求められます。
この地方公務員は、出産、育児だけでなく、子育ての講習も受けます。子育てが優先になりますが、医療、福祉、教育、保育、エッセンシャルワークについての公務を担います。「地域生活の基盤」を支える公務に従事することで、老人の生活の活性化、地域社会の安定化、子供環境の適正化が可能になるのです。
「子育て」を支えるタイプではなく、子どもの育ち=「子育ち」を、育ちの環境面で支えるタイプの施策に改め、ばらまき行政ではなく実質の成果を上げる行政に変える方向に、みんなで向かわせましょう。
(さらにつづく)
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