小学物語15

チビという名前のポインターだった
白黒の大きなブチ模様で
とにかく体つきがしなやかで
美しい犬だった

それと クロ
なぜか雑種の赤犬(輝く茶色の毛)
毛並みがきれいでなでるとすべすべ

小学校2年の時
ついにオラの家の前がアスファルトで
舗装された

それまでは砂利道で雨が降ると
水たまりがいたるところにできて嫌だった

ばあちゃんの笑顔がまぶしい
よほどうれしかったのだろう

おらはいつも山に行ってるから
道が平らで硬くなったのがどうも気になった

意外に犬たちはアスファルトを気にいった
ようで寝転がっている

夕方 雨が降った
水たまりはもうできなくなっていた

真夜中に目が覚めた
汽車の汽笛の音が聞こえる

おらは また宇宙空間にいる夢を見ていた
いつも通り 
壊れた宇宙船と大きな岩が浮かんでいる夢

なぜかその向こうに汽車が見える
結構長い

目が覚める
1階のトイレに行く
時計の針は午前2時を示していた

トイレの小さな窓から外を見る
国道が建物と建物の隙間から見える

また古い小さな食堂の前に
トラックが止まっている

確かなんとかひらの
じゃっちゃ(おばあさん?)の店だとか

夜中にトイレに来るといつも見る光景だし
とにかく眠いので ふーんて感じ

別に気にならない

その時 汽笛が聞こえた
家から200mしかはなれていない駅に
宇宙から機関車が降りてきたように見えた

たぶん見間違いだろう

機関車から電車に変わるまで
何度か同じ景色を見たが
まあそういうもんだろうと思っていた

夢を見てたか寝ぼけてたか

どちらにしろ世の中にはまだ
わからないことが多いけど

線路は日本中につながってることは
知っていた

いつか大人になったら
鉄道で遠くへ行ってみたいな

トイレの窓から外を見ると
たくさんの犬たちが工場と庭の間の空き地に
集まっていた

チビとクロも居たが
なんとなく見てはいけないと思って
すぐに窓を閉めた

いつか宇宙に行く汽車を
近くでみたいな

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憧れは 
目標は生きる原動力になる

娘へ





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