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Teenage Kicks〜ルールを知らないオーナメント〜勝手に楽曲コラボ
「刺激的だろ?族車の装飾」
2ケツする前に必ず武は言うけど、確かに刺激的だった。
ロケットカウルもマフラーも、そして彼自身も…。でも、私が本当に惹かれていたのは、並走している博の3段シート。
そんな私の気持ちに武も気付いたのだろう。彼は愛車のシートを張り合うように高くしていき、年の瀬には最も刺激的な装飾になった。
「いくらなんでもヤバ過ぎない?すぐパクられるよ」
「刺激が必要な俺はな道交法なんて知
Death Disco(Swan Lake)〜"にか"いめのデビューはジュリアナで〜
私は永い眠りについた。
葬儀は一種の音楽葬。これから棺台に乗せられ、希望した曲が流れる段取りだ。
流れてきたのは白鳥の湖、ではなくユーロビート。
ダンサーとしてデビューした記念日の曲をお願いしたが、これは”二"回目のデビュー。即ちジュリアナデビュー記念日の曲だ。
なんという手違い。しかも棺"台"ではなくお立ち"台"に乗せられている。ひどい演出だ。
だが当時の記憶も甦る。厳格な両親の元でバレエ一筋に
着の身着のままゲーム機
突如道路の真ん中に筐体が現れた。
これが着の身着のまま、夜逃げをしてきた者の前に現れるというゲーム機か。
近づいて見ると画面には、よく知る取り立て屋そっくりのキャラが、もう一人いた俺そっくりのキャラに近づこうとしている。
俺がコントローラーを動かすと同時に、画面の中の俺も動く。そうか、これは現実と同じく、プレイヤーが取り立て屋から逃げるゲームなんだ。
俺は画面の中で夜道を必死に駆ける。だが相手も負
Flowers Of Romance〜呪いの臭み:勝手に楽曲コラボ〜
白菊に囲まれた父の体に蓋がされた。
釘を打つ母の瞳はまだ潤んでいる。
告別式でも語った恋愛話を思い出しているのだろうか。
外に出ると雪がちらついていた。
僕はバスに、母は霊柩車に乗り火葬場へと向かう。
信号で止まり、外を眺めると軒先に飾られた姫榊の花が見えた。
鰯の頭の代わりで、この花の臭いも鬼は嫌がるらしい。海のない地域ならではの習俗だ。
「他の親族が乗らないのも、ここだけなんだって」
隣に座
サンダーソニア〜ブーメラン発言道:勝手に楽曲コラボ〜
その道はブーメラン発言道と呼ばれている。
宙に放った言葉がそのまま物質化し、自身の元へ戻ってくるからだ。
質量を伴っているので、当然当たれば痛い。
だが、発言師と呼ばれる芸人達は上手く身を躱し、黒い文字を道に突き立てる。
それは土地の名物にもなり、観光客がその言葉と記念写真を撮ったりもする。
それも歳を取っているからこそ出来る技。
若者が発すると、文字ではなく只の色として現れてしまう。発言師が皆年
inu ni naru〜伝説の安心感:勝手に楽曲コラボ〜
「パト〇ッシュ疲れたろう、僕も疲れたんだ」
少年は目を瞑って言う。
これが伝説として語り継がれる最終回か。確かに感動的だが何か違う。
「なんだかとても眠いんだ」
少年はもう一度隣で眠るオッサンに言った。
……パト〇ッシュって人間なんっだっけ?
同じ事が前にもあった。
東北に花咲か爺さんの伝説が伝わる地があり、訪ねて文献を見せて貰うと、ポチが人間だった。
「ここ掘れ!」
台詞にワンワンが無いだけで
Kiss Me Deadly〜グリム童話ATM:勝手に楽曲コラボ〜
地下道を通り家に着くと、小人が俺達二人を地下室に案内しようとした。
相棒はまだ疑っている。無理もねえ、美女とキス出来るうえに大金まで貰えるんだ。
だが、報酬は確かにATMに入金されていた。疑問は残るがヤクを手に入れる為だ。俺達は黙って階段を下りた。
「誰にも見られなかったろうな」
小人が念を押すように訊く。
こんな真夜中だ、見かけたのはグレイハウンド一匹。そんなにヤバい仕事なのか?
いや、ヤバいの
Devils Haircut〜ヘルプ商店街〜
ぼくがここに引越してきて一月経った。
今日は八百屋のヒロ君の七五三で、同じ商店街の床屋さんが髪を切りに来てくれるんだって。
福引きに行く前にヒロ君家に寄ると、ちょうど髪を切ってるとこだった。
ヒロ君のパパもママも床屋のおじさんも真っ黒な服を着ていて、ヒロ君が掛けてる布だけ白かった。
Got a devil’s haircut in my mind
おじさんが鋏を動かしながらよくわかんない英語の
穴の中の君に贈る〜I Wanna Be Your Boyfriend〜
今まで秘密にしていた話なんだけど、昔あるバンドに衝撃を受け、ギターを買いに中古楽器屋に行ったんだ。
でも中古といっても結構してさ、諦めようとしたんだけど、その時十円のアコギを見つけたんだ。
店員に訊くと、夜な夜なサウンドホールから歌声が聴こえてくるらしい。
なんでも元の持ち主が歌手志望の娘だったらしく、彼女が不慮の死を遂げた後店で引き取ったんだって。
そんな物売るなよと思ったし買う気もなかったけど
男子宝石〜何も言えなくて…夏〜
食料・物資の不足が叫ばれ早数十年。
物価高騰により貧窮した人々は、コールドスリープの道を選んだ。
俺達が今いる建物の下にも、そのうちの一人が眠っている。アレと一緒に…。
地下室に下りた俺達は、装置のロックを解除しカプセルの蓋を開けた。冷気が部屋に充満する…。
「おばちゃーん」
清が声を掛けると、寝ていた人物が目を開けた。
「なんだ坊主達か…今日もこれかい?」
駄菓子屋のおばちゃんは、隣に置いてあ