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「サニー・スポット」第5回 

 この事案の発生よりさらに十数年前、辺見がまだ三十代前半で、当時勤務していた椿銀行が、春日銀行と合併してこだま銀行となる以前、彼は初めてセクシュアル・ハラスメントなることばに接したと記憶している。セクハラという、やや違和感のある短縮名が耳になじみ始め、官民挙げて研修セミナーが盛んに催されるようになった頃である。
 あるセミナーでは導入クイズとして、グラビアアイドルのカレンダーを職場の壁に掲げた場合や、職場の個人用パソコンの背景画面にした場合などを、セクハラかどうか判別して答えさせられたことがあった。カレンダーはまずいけど、パソコンの背景画面は人の勝手だよな、と同僚が冗談めかしてぼやいてみせたことを辺見は憶えている。以後、ファカルティ・ディベロップメントと称する啓発活動が、ますます盛んになっていった。

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