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「サニー・スポット」第6回

 時を同じくして、各事業体の職場規則にも、セクハラの概念規定および事案発生時の被害者救済と加害者処罰の規定が求められるようになった。役所、会社、教育機関、法人、NPOなど社会的責任を負うあらゆる組織が、セクハラ関連規定を早急に整備する必要に迫られた。
 椿銀行や春日銀行もご多分に洩れず、顧問弁護士の力を借りて規定作りに追われた。しかもセクハラ啓蒙の黎明期でもあり、概念規定や社会的認識の変化に呼応して、当時は数年ごとに見直しと改訂を施す必要もあった。

 十九年前の事案発生の時点では、個人情報保護意識の高まりもあって、より繊細で緻密な被害者保護と、アフターケアの運用規定の追加が求められていた。こだま銀行本店ではコンプライアンス室が中心となって、ほぼ一年がかりで規定の改定が進められ、ようやく十月から施行されようとしていた。それを受けて六月末に、施行前であっても実際の事案処理は、可能な限り新規定(案)に則って行うことを原則とするという内示が、役員会から各支店に通達されていた。

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