「サニー・スポット」第1回
Ⅰ
高藤の家は、以前と変わらないたたずまいを見せていた。焦げ茶色の柱や梁が薄いクリーム色の外壁に露出して、見た目に心地よいアクセントを醸し出している。ハーフティンバーと呼ばれる北ヨーロッパの建築様式を取り入れた、大手住宅メーカーの半オーダーメイドなので、たまに似たような家を見かけることがある。
玄関を入ると廊下が南北に奥まで延びている。廊下の東側のドアを開けると、縦長のLDK、西側の引き戸を開けると、六畳の和室がある。廊下の突き当たりがトイレとバスで、折り返すと二階への階段がある。
それを上ると階段と並行する廊下の東側に、寝室と書斎、西側にも寝室と小部屋がある。廊下の奥では、小ぶりの階段がさらに折り返していて、屋根の一角を切り開いた物干し台に昇ることができる。高藤はこれを火の見櫓と呼んで自慢していた。
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