『峰坂物語(二)』「サニー・スポット」あらすじ
銀行勤めの辺見和也は、思いがけない経緯から行内で訴えのあったセクハラ事案処理の責任者に選任されます。しかも、訴えられたのは同期入社の親友、高藤修一でした。
紆余曲折を経て高藤に停職処分を言い渡したあと、辺見は友人としてことばをかけるべきかどうか逡巡します。しかし、職務を公明正大に遂行するためには、私情を差し挟むべきではないと判断して、親友としての思いを伝えることはあえて避けました。
要らぬ疑いを招かないようにとの配慮からでしたが、その後の高藤の身に起こったことを考えあわせても、辺見はその決断を後悔するのでした。
四半世紀の時を経て高藤家を訪れた辺見は、高藤の妻杏子に当時の自分の葛藤を打ち明けます。杏子とことば交わすにつれて、辺見の心に重くのしかかってきた思いは・・・・・・。
誰も悪くはないのに、人間関係の織りなす襞に巻き込まれてしまうこともある。とかくままならない人生に、それでもひとときの安らぎが訪れることもあるのではないか。そんな希望をこめた短編です。
明日は、その第1回です。
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