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「サニー・スポット」第19回

 何やら不穏な雰囲気を感じながら、辺見は疑問を口にした。
「はあ、そうなんですか。調査委員長とリスク統括部長が連絡を密に取ること自体は、結構なことだとは思いますが、調査委員長が訴え人に支援者的な立場で接触するのは、吉住勧告では断罪されている行為ですよね。取締役の励ましのことばも、もし本当なら場合によっては、公平性の観点からはそれこそ取締役ご本人が問題視している行為に当たるかもしれませんね。元来、どちらもいわゆる社会的通念の範囲内なら、人間どうしが互いに気遣うごく自然な行動だと思いますけどね」
 辺見は思わず少し皮肉っぽい口調になっていた。
「まあ、その点については、詮索する気も時間も今の私にはない。無益なことだと思うし、何よりも、早急な解決が最優先されるからね。それよりも気になったのは、別な思惑がこの事案処理の過程に闖入してきて、何やら悪影響を与えているのではないかということなんです。横やりといってもいいかもしれない。それが例の勧告書につながったのではないかという、懸念というか疑念が湧いたので、それをお伝えしておこうと思ったわけです」
 植田のそのことばを聞いて、辺見は勧告書の周りを覆って視界不良を起こしている霧のようなものの発生要因が理解できたように思えた。
「支店長の仰りたいことは、今ぼんやりと、見えてきたような気がします」
「そうですか。おそらく私と同じことに思い当たったのでしょう。ただし、これはあくまでも個人的な疑念に過ぎないもので、確証もないし証明もできない、というよりは、それもまた無益なことだと思います。ただ、にわか議長の辺見君には、頭の片隅に入れておいてもらったほうが、解決がよりスムーズに進むような気がした。と、ただそれだけのことで、ま、ご内密にということで、お願いします」

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