「サニー・スポット」第14回
調査委員会の活動と並行して、九月六日に第一回の特別臨時支店会議が、終業後の午後八時から支店長室で開催された。支店長が開催理由を簡単に述べてから、8・3調査委員会設置と「特別事案について」を議題とする特別臨時支店会議の役割と目標について説明があり、次いで山畑委員長から調査活動の中間報告がなされた。
九月十六日には植田支店長が東京本店に出向き、吉住取締役への調査状況の報告が口頭でなされた。十一月十五日早朝六時から第二回が開催され、調査状況の中間報告が再びあった。同日午後、植田支店長が本店で吉住取締役へ調査状況の中間報告書を提出した。
その後ひととおりの調査を終えた委員会は、三回目で最終と目された特別臨時支店会議の開催に向けて最終報告書の作成にとりかかった。しかしその段階で、事態は予期せぬ意外な局面を迎える。
Ⅲ
十二月十三日、吉住取締役から植田支店長に「十一月十五日に峰坂支店長より報告された「セクシュアル・ハラスメント事案」に関する勧告」が届いた。内容は、次の五点について不適切な事案処理があったとして、そのような不手際を招いたことについての弁明と改善策を、翌年の一月十二日までに文書で提出せよというものであった。
不適切な処理とは、(1)担当取締役への報告の遅れ、(2)調査委員会の構成の不備、(3)調査委員の公平性を欠く行動、(4)被害を訴えた行員への不適切な出向命令、(5)支店長の事案管理上の過失、の五点である。青天の霹靂とも言えるこの勧告書を見て、植田は同日夜七時から、緊急の第三回特別臨時支店会議を招集した。
勧告書は(1)について、吉住取締役への九月十六日と十一月十五日の報告が、八月三日の事案発生から時間がかかりすぎていることと、一回目の口頭報告は事案の重大性に鑑みて方法が不適切であると指弾していた。
(2)については、外部委員を構成員に入れなかったことを非難している。(3)では、法人営業課長の田野畑調査委員が、同課に勤務する申し立て人の精神的なケアを心がけ相談に応じたことを、公平性に欠けるとして問題視している。
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