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サニー・スポット 第25回

 特別臨時支店会議でセクハラを認定して、停職六ヶ月の処分を決議した翌日の午後七時、辺見は支店の五階にある小会議室で高藤と対峙した。調査委員会の活動について順を追って説明してから、最終報告書が、昨日の特別臨時支店会議に提出され承認されたことを伝えた上で、報告書を高藤に手渡して、内容の確認を求めた。A4ファイルで一三七頁に及ぶ報告書を、高藤は一時間五十分をかけて、丁寧に頁をめくりながら、ある部分は行きつ戻りつしながら精読し、またある部分は流し読みをしていた。その間辺見は、同一の報告書の頁を一定のペースで繰って確認していた。
 やがて全体に目を通し終えた高藤が口を開いた。
「内容について異議はありません」
「調査委員会としては、報告書に記されている事実経過を根拠として、高藤修一さんの岸場綾音さんに対するセクシュアル・ハラスメントの事実を認定し、就業規則違反の事由による停職六ヶ月の処分を、吉住駿介リスク統括部長委嘱取締役に上申することに決定しました」
「了解しました。多大なるお手間を取らせましたことに、心からお詫びを申し上げます。また、寛大な処分を下していただいたことに、深く感謝を申し上げます」
 高藤が潔く処分を受け入れたことに、辺見は安堵すると同時に、彼の今後の人生を思いやって、心が騒ぎ一抹の不安を抱かずにはいられなかった。だが、辺見はそれらの感情を胸にしまい込んで、あえて事務的にことばを続けた。
「停職については、おそらく四月からの六ヶ月になると思いますが、役員会での裁可を経て正式に決定され、近日中に人事部から辞令が交付されるはずです。今後については、総務係と連絡をとりながら、進めていただきたく思います。とりあえず、明日から一週間有給休暇を取っていただきたいと考えているのですが、いかがでしょうか。お気持ちの整理なども必要かと思いますので。よろしければ人事係には私から話しておきます。正式の休暇願は後日提出してください。これらの手続きの他にもご希望の件がありましたらお申し出ください。できる限りのことはさせていただきます」

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