「サニー・スポット」第15回
(4)は、加害者とされる人物が従前通りの勤務についている一方で、被害者とされる人物が支店への出向扱いとなったことを不当な措置と断じていた。(5)は、これらの四点において支店長の本事案の取扱いには瑕疵があり、特別臨時支店会議議長としての資質を欠く。したがって支店長が議長から退き、新議長を選任することを要求していた。
勧告書に目を通した辺見は、(1)が指摘する報告の遅れと方法の不適切さへの批判については、針小棒大との印象を抱いた。(2)の調査委員会の外部委員不在への批判は一部納得できた。
だが、六月末の役員会通達では「事案処理は、可能な限り新規定(案)に則って行うことを原則とする」と述べられており、外部委員の任用は、新規定施行前は必須要件ではないので、その不在を不適切とまでは言えないはずだと疑問を抱いた。
(3)が問題視する、調査委員でありかつ上司である二つの立場の混同は、そこまで峻別することが求められるのかと勉強にはなったが、釈然としない思いも残った。(4)が不当とした措置は、訴え人が安心して仕事のできる環境を整えるための一時的な応急処置であり、当事者も不満なく応じていたが、この点は勧告書の主張にも理があると辺見には思えた。しかし、(5)の植田支店長批判と議長交代要求は、理不尽あるいは牽強付会とすら思えた。
何よりも不可解だったのは、最終報告書の完成が目前に迫った段階で、なぜ事案の調査と解決を遅れさせる、あるいは妨げるとさえ言えるような「勧告」が出されなくてはならないのかということだった。
誰もが、一刻も早い解決と被害者の救済を望んでいるのではないか。百歩譲って勧告書の指摘がすべて正しかったとしても、それらは、逐次指摘や改善を施せばすむことではないか。あるいは一応の解決を見てから、一定の時間をおいて事後検証を行い、必要があれば反省すべき点を含む報告がなされれば事足りるのではないか。この点がどうしても辺見には理解しかねた。
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