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緑色のビニールシートの嘆き

 どうして?ボク、ここにいるの・・・、か、わからない。
コンクリお兄ちゃんがあんなことになって、ボクがここにきたのは2年まえの北風のとっても強い日だった。
 防災を理由に中学校グランド周囲のコンクリートブロック塀が壊された。
コンクリお兄ちゃんがどれだけみんなの役にたっていたか、みんな考えたことある?
 ほら、思い出して。
風の強い日のこと。グランドの砂埃が舞い上がったとき、コンクリお兄ちゃんは両手をいっぱい広げて近隣の家々に降り注ぐ砂埃を、石段の人の足元を危うくする砂埃を、防いだ。
 それって、防災じゃない?
ブロック塀が壊されたあと金網フェンスが張り巡らされた。
 笑わせるなよ。スカスカの金網で、どうやって砂ぼこりを防ぐんだよ。ほら、いわんこっちゃない。近隣住民は自治会に泣きついた。
 だけど、間違えたの、だーれだ?
 よく考えもしないでいらんことしたの、だーれだ?
 大切なみんなのお金、無駄づかいしたの、だーれだ?
それでね、ボクが呼ばれたんだけど、ボク居心地悪いよ。
 だって、ボク、コンクリお兄ちゃんみたいに強くない。そりゃあボクにだって意地がある。
 使命って、やつ?
 この世に生れたからには、誰だってどんなものにも使命がある。
誰よりもその思い、ボク強いと思う。
 だから、ボク哀しい。
どんなに頑張ったって、強い風でシートは撓み、金網に結わえられた紐はゆるみ、もう砂埃のしたい放題さ。
 そんなボクを、みんなが睨む。
ボクには聞こえるよ。みんなの声が。
「この役立たず。新しいシートに早く取り替えてもらわなくちゃね」
 だから、ボク、どうして?ここにいるのか、わからない。





 

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