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『風と共に去りぬ』【1939年米国映画】

BGMを聴きながらお楽しみ下さい

【感想】

2024年9月7日投稿

アメリカ映画の名作と聞かれたら、迷わず「風と共に去りぬ」と答えます。
恥ずかしながら、50代になってからDVDを購入して視聴しました。

初めて見たときは辛すぎて泣けた。こんなことって、いくらお話だってという感想でした。「かぞかぞ」の七実さんもかなり辛い思いでしたが、それ以上です。+3が-5になるような、これでもかというほど不幸になっていきます。

スカーレット・オハラの不幸
①恋をしていた男性が従妹と結婚
②従妹の弟と結婚し、長男を出産するも夫が戦死して未亡人になる
③片思いの男の妻の介護をする
④町は戦場となり、母を頼るが母は腸チフスで病死
⑤貧乏になり、妹の恋人を奪い再婚
⑥商才に目覚めるが、周囲の人が離れてしまう
⑦嫌いだったレットと3度目の結婚で娘が生まれ成長するが、馬から落ちて死亡

亡くしたものがどれだけ愛しいものだったか、気づくのが遅く、後悔し孤独になるが、それでもスカーレットは一歩を踏み出す。そんなお話です。長いけどお勧めです。では、また。

【作品情報】

『風と共に去りぬ』1939年製作のアメリカ映画。歴代の興行収入では、2020年でも『風と共に去りぬ』が第1位。主演はヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲーブル、レスリー・ハワード、オリヴィア・デ・ハヴィランド。監督はヴィクター・フレミング。

概 要

1936年6月に出版されたマーガレット・ミッチェル原作の『風と共に去りぬ』がベストセラーとなり、早くも出版の翌月に映画製作者のデヴィッド・O・セルズニックが映画化権を獲得。その後3年の歳月と当時の金額でセルズニック・インターナショナルが400万ドル前後の製作費をかけて全編で3時間42分という大長編映画を完成させた。

初公開は1939年12月15日に舞台となったアトランタでワールドプレミア実施。当時としては画期的な長編テクニカラー映画であったことも手伝って、空前の世界的大ヒットとなった。第12回アカデミー賞にて作品賞・監督賞・主演女優賞(ヴィヴィアン・リー)・助演女優賞(ハティ・マクダニエル・黒人俳優では初の受賞者)・脚色賞などの8つのオスカーを始めとして、他に特別賞、技術成果賞を含む10部門を受賞(他にセルズニックが個人で受けたアービング・G・タルバーグ賞も含めば11部門)。

【あらすじ】

舞台は奴隷制が残る1860年代のアメリカ南部・ジョージア州。南北戦争の頃。

アイルランド系移民で一代で成功した農園主の娘、美しいスカーレット・オハラは、自分と同じ上流階級で長身の美青年アシュレー・ウィルクスに恋をしていた。だがアシュレーは、アシュレーの従姉妹メラニーと婚約していた。「12本の樫の木屋敷」でのバーベキューパーティーで、2人の結婚を知って愕然としたスカーレットはアシュレーに想いを打ち明けるが、アシュレーはスカーレットに惹かれていることは認めながらもメラニーと結婚すると言う。アシュレーが去った後、かんしゃくを起こしたスカーレットはそばにあったウィルクス家の花瓶を投げつけて壊す。偶然、一部始終を目撃したレット・バトラーは、彼女の生命力にあふれた躍動的な精神に強く魅かれる。

スカーレットは軽蔑する友人達の陰口を聞き、アシュレーへの当て付けのためにメラニーの弟(チャールズ・ハミルトン)が自分に求婚をするように仕向けた。何も知らないチャールズは、スカーレットの思惑通り、南北戦争の開戦のニュースに沸き立つ中で彼女に求婚、スカーレットは後悔しながらも結局結婚してしまう。しかしチャールズは結婚後まもなく戦場に赴き病死。スカーレットは17歳にしてチャールズとの間にできた長男ウェードを出産して、未亡人となる。

ウェードを連れてアトランタに赴き、ピティパット・ハミルトンとメラニーとの新生活を始めたスカーレットの前に、かつて無頼な行為で社交界から締め出されたレットが、彼女が未亡人になった事を聞いて現れる。スカーレットに自分と似たものを感じるレットは、スカーレットが被る淑女の仮面を取り去り、彼女本来の姿を露わにしようとする。またスカーレットも、喪服姿でダンスパーティに参加する等破天荒な行為で周囲の度胆を抜く。

そんな中、南軍は北軍に対して苦戦を強いられ、遂にアトランタの陥落も目前となったが、出産を目前に控えたメラニーの看護をしていたスカーレットは、脱出の機会を失ってしまう。進撃する北軍の砲声の中、産後間も無いメラニーとその赤ん坊やウェードを抱えて脱出の機会を失い途方に暮れた彼女は、大嫌いなレットに助けを求める。タラへの帰還を望む彼女を、レットは炎上するアトランタから痩せ馬の馬車で脱出させる。危険地帯を通り抜けた後、レットは自分は軍隊に入るのでこの先は一人で帰るようにとスカーレットに告げる。冗談だと思い笑うスカーレットに情熱的な口づけをして、レットは南軍の守る前線へと赴く。

置き去りにされて怒り心頭に発したスカーレットだが、ようやく故郷・タラへと到着した。しかしタラは北軍の駐屯で荒廃し、頼りにしていた母・エレンも腸チフスで病死していた。一夜にしてオハラ家の主となった彼女の意識は、飢えを凌ぐことと故郷を守ることだけに集中する。税金の工面に窮したスカーレットは、妹スエレンの恋人であり商店を営んでいたフランク・ケネディを奪い再婚したが、やがてフランクの商才のなさから自ら商売を始める。その間にフランクとの女児(エラ)も儲けるが、当時女性が男性を差し置いて主体的に経営を行うことはタブーに近かったことや、北軍の移住者と友人になったりしたことから周囲からの評判は下降し、メラニーを始めとするウィルクス家の人々とレットを除き彼女の周囲から古い友人は続々と離れていく。また彼女の不用心な行動が難民から襲われる事件を引き起こし、加害者に制裁を加えようとしたフランクは銃弾に倒れてしまう。

スカーレットは、レットと3度目の結婚をする。レットはそれまでの夫と違い妻が商売をすることに反対せず、スカーレットの自由にさせる。やがて2人の間には娘のボニーが生まれ、レットは初めての娘を溺愛する。しかし、スカーレットの想いが依然としてアシュレーにあり、また彼女が自分を愛する者に対して無慈悲であることを知るレットは、以前からスカーレットを愛していたことをひた隠しにする。また、スカーレット自身も次第にレットを愛するようになっていたにもかかわらず、自分は相変わらずアシュレーを想い続けていると信じ込み、それを自覚することが出来ずにいた。ある日、スカーレットはアシュレーとの会話で、彼がレットと自分の夫婦関係を嫉妬していることを知る。スカーレットはレットにこれ以上子供を作りたくないという理由で寝室を別にしたいと告げる。するとレットは、スカーレットが夫としての自分の権利を拒絶するなら今後は他にいくらでもいる別の女と関係を持つだけだと告げ、スカーレットにせいぜい純潔を守ることだとも言う。何事もなかったかのようにレットが去ったあと、スカーレットは、以前から自分を悩ませていた、冷たい霧の中を恐怖にかられ必死に何かを求めて彷徨う悪夢から夜中に目覚めても、今までのようにレットの逞しい胸に抱き寄せられて慰められることはもうないのだと後悔し、自分をひどく不幸に感じて泣く。ある時、酔ったレットがスカーレットを強引にベッドに連れて行き、スカーレットは初めて肉体的な喜びを知る。しかし、レットは自らその行為を恥じる。一方レットの情熱的な訪れを待つスカーレットは、訪れることのないレットに対して自分が単に嬲り者にされたと思い、2人の気持ちはその日から更に擦れ違い、夫婦仲は日増しに険悪になって行く。再び妊娠したスカーレットにレットが暴言を吐いたことがきっかけで、スカーレットが階段から転落、流産して生死を彷徨う。レットはメラニーに、スカーレットがもし死んでしまったなら耐えられないと、スカーレットへの激しい愛を吐露する。しかしこの流産は二人の間に深い溝を作ることになり、レットはボニーに全ての愛情を注ぐが、ボニーは彼がプレゼントしたポニーの「バトラーさん」から落馬し、スカーレットの目の前で死んでしまった。これを機にスカーレットとレットの最後の絆が断たれてしまい、レットは家に寄り付かなくなる。

娘を失ったショックから抜け切らないうちに、スカーレットに最後まで友愛を示し続けたメラニーまでが産褥により命を落とす。スカーレットは、この時初めてアシュレーを奪った恋敵として憎んでいた筈のメラニーを、実は心から愛し頼りにしていたことに気付く。また、死の床のメラニーからレットの自分に対する愛情を知らされ、初めて、自分も愛しているのはアシュレーではなくレットであり、これまで彼女を理解し助けていてくれたのも彼だということを自覚する。スカーレットは彼女の悪夢の中で何かを探していた自分の「その何か」が漸く見つかった思いで霧の中を急いで帰宅する。スカーレットはレットに心から謝罪し愛を打ち明ければ、2人の関係も回復するだろうと思っていた。しかしレットは既にスカーレットを追うことに疲れ切っていた。これまで隠してきた心の内の変遷と、ボニーを溺愛したのはスカーレットを素直に愛すことができない代償であったこと、結論として、もうスカーレットを愛してはいないことを説明し、1人で故郷のチャールストンに帰るつもりだと言う。スカーレットは必死に泣きすがるが、もはやレットの決意をひるがえすことは不可能なことを悟る。自分を支え続けてくれたレットとメラニーを同時に失い遂に孤独となったスカーレットだが、彼女はやがて明日に希望を託し、絶望の中から一歩踏み出す。

【登場人物】

ケイティ・スカーレット・オハラ
:演-ヴィヴィアン・リー

ヒロイン。父の母親の名前をつけられたが、彼女の父親を除けば単にスカーレットと呼ばれている。一代で富を築いたアイルランド系移民である父と、優雅なフランス貴族出身の母を持つ、農園主の令嬢。真の貴婦人である母エレンを敬愛しながらも、彼女自身は気が強く、機敏で計算高く、貪欲なエゴイストで、極めて自己中心的な精神を持つが、決して困難には屈しないプライドと意志の強さも持っている。一度相手を捕えると離さない、強烈な魅力と美貌の持ち主で、周りの男性からちやほやされて育った。しかし結婚してすぐに夫が死に、更に南北戦争の敗戦後財産を全て失い波乱の人生を送ることとなる。数字に強く、男性の心を掴む技術にも長けており、商才がある。実家の農園タラを心から愛している。

レット・バトラー

:演-クラーク・ゲーブル

チャールストンの名家出身だが紳士的に振る舞おうとはせず、うわべの愛国心を装うことなく世間の反発を買う。スカーレット同様、計算高く、機敏で貪欲なエゴイストだが、彼女との違いは物事や人を的確に見抜く能力と、上流社会の見せかけの偽善に対しての侮蔑心や名家らしからぬ奔放な言動で、父親から勘当され社交界からは締め出された。戦争が始まる前から南部の敗戦を予測し、軍隊には加わらず封鎖突破船の船長として北軍による海上封鎖を破り、商品を投機的に売ることで巨万の富を築き、戦後は莫大な公金を横領した海賊的紳士。スカーレットをアトランタからタラに送る途中に傷ついた少年兵を見て軍に志願するが、北軍に囚われる。
実はスカーレットを愛しているが、なかなか本心は見せようとせず彼独特の方法で求婚し、スカーレットが二度の結婚を経たのちにやっと結ばれた。端正な容貌をしており、スカーレットは新婚旅行先での他の女性たちからの羨望の眼差しで、はじめてそのことに気づく。皮肉で傲慢な態度を見せるが意外にも子供には優しく、特にボニーのことは溺愛していた。最後にはスカーレットへの愛に疲れ、彼女の前から去る。

ジョージ・アシュレー・ウィルクス

:演-レスリー・ハワード

普段は単にアシュレーと呼ばれる。スカーレットが思いを寄せる名家出身で教養もあり、紳士的な長身の美青年。スカーレットの誘惑に悩まされるが、精神的な支えとして最初から従姉妹のメラニーと深く結ばれていた。万事において精神主義的で博愛主義的な綺麗事を好むが、行動力には乏しい。一見無垢な彼の言動に、スカーレットのみならずレットまでをも含む周囲の人間が振り回されている場面が多い。特にスカーレットへの彼の言葉は、スカーレットとレットの間に決定的な亀裂をもたらし、最終的に破局に追い込んだ。スカーレットと妻メラニーの間で揺れ動いた結果、「メラニーが僕の全てだった」そしてスカーレットは肉体的にしか愛せないと彼女の死後、スカーレットに打ち明ける。

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