「猿の惑星」シリーズ【1968年~米映画/小説】
やはりこのBGMが怖い
【感想】
2024年9月25日投稿
数々の「猿の惑星」が制作されましたが、すべて好きです。エンタメ要素がすべて網羅されていると思います。
まず、旧5作品は、当時ではメイク、世界観、宇宙、タイムリープ、核戦争後の世界
、差別、国の在り方などが、描かれてました。
リメイクとリブート4作品は、映像が最新VFX技術を駆使して旧作品以上の迫力がありました。
全部観ましたが、人間の愚かさと良心が随所に感じられたことが、素晴らしいと思います。最新作のキングダムも観たいと思います。
あと、この作品を観て「仮面ライダーblsun sun」が猿を怪人に置き換えたら面白いなと思いました。では、また。
【作品情報】
「猿の惑星」人間と知的な猿が支配権をめぐって衝突する世界を描いた、映画、書籍、テレビシリーズ、コミックなどで構成されるアメリカのSF作品
原作はフランスの作家ピエール・ブールが1963年に発表した小説『猿の惑星(La Planète des singes)』。
1968年に映画化された『猿の惑星』は、批評家や商業者の間で大ヒットし、一連の続編やタイアップ、派生作品が生まれた。アーサー・P・ジェイコブスは、APJACプロダクションを通じて『猿の惑星』の第1作から第5作までを20世紀フォックスの配給で製作したが、1973年にジェイコブスが亡くなってからは、フォックスがフランチャイズを管理している。
1970年から1973年にかけて、オリジナル作品の後に4つの続編が作られた。1970年から1973年にかけて、『続・猿の惑星』、『新・猿の惑星』、『猿の惑星・征服』、『最後の猿の惑星』の4本の続編が製作された。これらの作品は、オリジナル作品のような高い評価を得ることはできなかったが、商業的には成功し、1974年と1975年には2つのテレビシリーズが制作された。
リメイク映画の計画は、ティム・バートン監督の『PLANET OF THE APES/猿の惑星』が2001年に公開されるまで、10年以上にわたって「開発地獄」に陥っていた。
2011年に『猿の惑星: 創世記』でリブート映画シリーズが開始され、2014年に『猿の惑星: 新世紀』、2017年に『猿の惑星: 聖戦記』が公開された。これらの作品は、合わせて5億6750万ドルの予算に対して、全世界で合計20億ドル以上の興行収入を記録している。
「猿の惑星」は、人種問題を扱った作品として、映画評論家の間で特に注目されている。また、映画評論家や文化評論家の間では、冷戦や動物愛護をテーマにした作品として注目されている。このシリーズは、その後の映画、メディア、アート、さらには大衆文化や政治的言説にも影響を与えている。
猿の惑星(1968年)
映画化の権利を取得した後、ジェイコブスは3年かけて企画を練った。彼は草稿を書かせるためにロッド・サーリングを雇い、脚本を完成させた[5][6]。サーリングは小説の要素に代えて冷戦の要素を盛り込み、「猿の惑星の正体は核戦争で荒廃した未来の地球」という結末を用意した。ジェイコブスとモート・エイブラハムス(英語版)はチャールトン・ヘストンを説得して主演に迎え入れた。製作チームはヘストンのスクリーン・テスト(英語版)を行い、この映像は現在も20世紀フォックスが保管。
当初、製作費は1,000万ドルを超えると想定されていたが、20世紀フォックスは580万ドルまで減らすことを主張。また、製作側はブール小説を映画化した『戦場にかける橋』の脚本を担当したマイケル・ウィルソンを起用し、サーリングの脚本を手直しさせた。ウィルソンは特殊効果の費用を節約するために、猿の文明を小説よりも原始的なものに変更した。この他に脚本は大幅に改変されたが、冷戦の要素とサーリングが書いたエンディングシーンはそのまま残された。猿の特殊メイクはジョン・チェンバースが手がけた。
【あらすじ】
物語は、ヘストン演じるアメリカ人宇宙飛行士テイラー大佐が猿の支配する惑星に降り立ち、紆余曲折の末に惑星が人類文明の崩壊した地球だったことを知る。
エンディングでテイラーが自由の女神像を発見して絶望するシーンはシリーズを象徴するものとなり、1960年代の映画の中で最も有名なシーンの一つにもなった。
映画は公開と同時に批評家から高い評価を受け、特殊メイクを担当したチェンバースは第41回アカデミー賞でアカデミー名誉賞を受賞した(特殊メイクでアカデミー賞を受賞したのは彼が初めてである[13])。20世紀フォックスは映画の興行的成功を受けて続編の製作をジェイコブスとエイブラハムスに提案した。二人は続編を想定していなかったが、映画の成功を見て続編について検討するようになった。
続・猿の惑星(1970年)
『続・猿の惑星』の企画は前作の公開から2か月後に始動し、サーリングと原作者のブールに脚本を依頼したが、二人の書いた脚本はどちらも没となった。1968年秋、20世紀フォックスはポール・デーン(英語版)を起用し、彼はその後のシリーズの脚本を担当することになった。ヘストンは続編への出演に消極的だったが、「テイラーが最終的に死ぬこと」「出演料を慈善団体に寄付すること」という条件で出演を受け入れた。ヘストンの希望でテイラーの出番が減らされたため、デーンは新たなキャラクターとしてブレント少佐を作り出した。監督は引き続きシャフナーが起用される予定だったが、『パットン大戦車軍団』を撮影するために降板したため、新たにテッド・ポストが起用された。
【あらすじ】
物語は、行方不明になったテイラーを探しに猿の惑星を訪れたブレントを軸に展開する。猿の村から脱出したブレントは、核爆弾を崇めるミュータント化した人類の住処に潜入し、そこでテイラーと再会するが、猿とミュータントの戦争に巻き込まれブレントは死亡し、最愛の女性ノヴァも失い絶望したテイラーは核爆弾を起動して地球を消滅させる。
映画は前作と異なり高い評価を得ることはなく、全5作品の中で2番目に酷評される作品となった。しかし、興行的には成功したため、20世紀フォックスは第3作の製作を検討した。
新・猿の惑星(1971年)
第3作の製作決定後、ジェイコブスはデーンに電報を送り脚本を依頼し、監督にはドン・テイラーが起用された。20世紀フォックスは製作費を大幅に減らしたため、低予算での製作を余儀なくされた。主人公はキム・ハンターとロディ・マクドウォールが演じる猿の夫婦に代わり、現代のアメリカが舞台となり、特殊メイクと高価なセットを作る手間を省いた。
【あらすじ】
物語は、西暦3955年に炎上する地球。テイラー大佐がかつて搭乗していた宇宙船を修理したマイロの協力によって脱出できたコーネリアス・ジーラ夫妻が、地球爆発時の影響によって航行に変化が生じ、タイムスリップによって現代(1973年)の地球のアメリカ沖に着水するところから始まる。人類はテイラー大佐が帰還を果たしたものとして宇宙船を回収したが、中から現れた宇宙服を着た「猿」に衝撃をうけることになる。アメリカ政府は当初「猿」として扱い、各種実験をするものの、動物扱いされたジーラが抗議の言葉を発した事によって、「猿人」として扱われることになって待遇も変わり、夫妻はアメリカ市民から歓迎される。しかし夫妻への尋問によって「やがて猿が人類を駆逐し、地球の支配者になるが、彼らが引き起こした戦争によって地球が滅び去る」未来が判明すると、その未来を変えようと決意したアメリカ政府によって夫妻は政治的に迫害され、結果的に死へと追いやられる。
映画にはジェイコブスの妻ナタリー・トランディもブラントン博士役で出演し、続く第4作と第5作でも猿役で出演している。映画は人種問題に重点を置き作られ、これは続く第4作と第5作の重要なテーマとなり、批評家からも好評を得た。第2作ほどではないが興行的に成功したため、20世紀フォックスは第4作の製作を決定した。
猿の惑星・征服(1972年)
シーザー役のロディ・マクドウォール
20世紀フォックスは第4作の製作を決定したが、製作費は第3作よりも低い170万ドルしか認めなかった。ジェイコブスは引き続きデーンに脚本を依頼し、監督にはJ・リー・トンプソンを起用した。トンプソンは、ジェイコブスが手がけた『何という行き方!』『0の決死圏』でも監督を務めていたが、長期間スケジュールの都合が付かずに仕事を共にすることができず、この映画で数年振りに仕事を共にすることになった。トンプソンとデーンは、シリーズの副次的なテーマだった人種問題を第3作に引き続き描く方針を決定した。デーンは猿にアフリカ系アメリカ人の境遇を投影し、アフリカ系アメリカ人公民権運動やワッツ暴動の要素を脚本に盛り込んだ。
【あらすじ】
物語は猿が奴隷として人間に使役される中、コーネリアス・ジーラ夫妻の遺児シーザーが仲間の猿たちと共に人間への反乱を起こし、地球の新たな支配者となる。
評価は賛否両論となったが、20世紀フォックスは興行的に成功したため、第5作の製作を決定した。
最後の猿の惑星(1973年)
全5作品の中で最も低予算で製作された。スタッフたちは、第5作がシリーズ最終作になることを承知して製作に参加した。監督は引き続きトンプソンが務めたが、デーンは健康状態が悪化したため脚本を完成させる前に降板を余儀なくされた。そのため、新たにジョン・ウィリアム・コリントンとジョイス・H・コリントンの夫妻が起用され、脚本を完成させた。第5作は人種間闘争と支配に焦点が当てられているが、コリントン夫妻は一部のスタッフの要望に基づき、デーンの書いた悲観的な結末から、より曖昧な形での決着に変更した。
【あらすじ】
物語は猿と人間の核戦争の末に荒廃した地球で、人間との共存を図るシーザーと放射能に対する耐性を獲得してミュータント化した人間との戦争、猿の絶対的支配を望むゴリラたちの反乱と、それを乗り越えて人間とサルの共存社会が築き上げられた未来が描かれている。
第5作は製作費を上回る興行収入を記録したが、批評家からは「全5作品の中で最低の作品」と酷評された。酷評された一方で、ラストシーンについては論争を巻き起こした。映画のラストシーンは、「シーザーの死後700年を経た地球で、猿の立法者が猿と人間の子供たちにシーザーの歴史を語り、彼らの背後にあるシーザーの彫像が涙を流す」というものだった。このシーンについて、「人種間の闘争が終わり、幸福な世界が訪れたことを喜ぶ涙」という解釈と、「将来的に再び人種間の闘争が始まることを暗示する絶望の涙」という二通りの解釈が存在する。
リメイク
シリーズ映画20世紀フォックスは1980年代に入ると『猿の惑星』シリーズの再始動を計画した。しかし、このプロジェクトは10年以上に渡り開発地獄に陥り、映画史上長期間製作が実現しなかった企画の一つに挙げられている。最初の企画はアダム・リフキンが持ち込み、第1作の続編として製作される予定だったが、20世紀フォックスは脚本の書き直しを求め、修正された脚本は満足のいく内容ではなかったため企画は流れてしまう。その後、企画はオリバー・ストーン、次いでクリス・コロンバスが中心となって進められたが、いずれも20世紀フォックスと意見が衝突したため製作まで話が進まずに終わっている。
PLANET OF THE APES 猿の惑星(2001年)
監督のティム・バートン
1999年にウィリアム・ブロイルス・ジュニア(英語版)が脚本家に起用され、企画に関する大きな権限を与えられた。監督にはリ・イマジネーションを望むティム・バートンが起用されたが、彼は20世紀フォックスの提示した短期間の製作スケジュールに押され、製作は急ピッチで進められることになった。20世紀フォックスは製作費として1億ドルを用意したが、ブロルイス・ジュニアの脚本を実現するには足りなかったため、ローレンス・コナーとマーク・ローゼンタールが予算に見合う形に脚本を書き直すことになった。
【あらすじ】
西暦2029年の近未来。深宇宙と呼ばれる、土星近傍の宇宙空間に展開し探査活動中であった、米空軍宇宙探索基地USSオベロン号には人間の乗組員のほか、最先端の遺伝子操作により高度な知能を得た類人猿が実験動物として乗艦していた。まもなく、付近の宇宙空間で奇妙な磁気嵐が発見され、チンパンジーのペリクリーズによる操縦で探査ポッドが調査に向かうが、ポッドはたちまち磁気嵐に飲み込まれ、やがて交信も途絶してしまう。行方不明のペリクリースを救助すべく、彼のトレーナーであるパイロットのレオ・デイヴッドソン大尉も、上官の制止を強引に振り切り、ポッドで母艦を飛び出して後を追うが、やはり磁気嵐に吸い込まれ、「とある未知の惑星」に不時着する。そこは逃げ惑う原始的な人間たちが、高い知能を持つ猿に支配される世界であった。その後、猿の軍隊に捕らえられたレオは、猿のセード将軍に危険人物として睨まれるが、人間に好意的なボノボ・アリの助けを得て、数人の仲間と共に街から逃走する。そして、沼地に水没していたポッドから回収した通信機器を利用して、すでにオベロン号もこの惑星に到着済みであることを知る。レオは地球帰還のために、危険を冒してついに「禁断の聖域」へと足を踏み入れるが、そこにあったのは約数千年前に墜落して遺跡と化したオベロン号の残骸であった。オベロン号に残されていた航海日誌からすべてを知ったレオは、深く絶望する。その一方で、これまで猿に抵抗する術をまったく持たなかった人間たちが、レオの噂を聞きつけて次々と集まってくる。そして、人間の抹殺を目論むセード率いる猿の大軍も、すぐ間近に迫っていた。
リブート映画
2005年、プロデューサー・脚本家のリック・ジャッファ&アマンダ・シルヴァー夫妻は、『猿の惑星』のリブートを企画した。ジャッファは、人間として育てられた猿のニュースや遺伝子研究の進歩に触発され、遺伝的に強化・進化したチンパンジーと人間の家庭を描くことを思いつき、夫妻は『猿の惑星・征服』の主人公シーザーの物語を再構成して新シリーズを製作することを20世紀フォックスに持ち掛けた。20世紀フォックスはこの企画を受け入れたが、脚本の執筆やスタッフを集めるために5年の歳月を要した。
猿の惑星: 創世記(2011年)
シーザー役のアンディ・サーキス
2010年に製作が開始され、プロデューサーのピーター・チャーニンとディラン・クラークは、ジャッファ・シルヴァー夫妻を脚本に起用した。完成した脚本では研究者ロッドマンの開発した薬によってシーザーが進化し、他の猿たちと共に人間との戦いに身を投じる。
当初、映画は「『猿の惑星・征服』のリメイク」と言われることが多かったが、製作側は「『猿の惑星』の起源を描くリブート」と主張している。監督はルパート・ワイアットが務め、シーザー役にはアンディ・サーキスが起用され、VFXはWETAデジタルが担当している。
批評家はVFXとサーキスの演技を高く評価している。WETAデジタルは第84回アカデミー賞と視覚効果協会から賞を受賞するなど高い評価を得た。20世紀フォックスは映画の成功を受け、すぐに続編の製作を決定した。
【あらすじ】
製薬会社ジェネシス社に勤める神経学者のウィルは、アルツハイマー治療用のウイルスベクター試験薬ALZ112を開発し、実験台として雌チンパンジーのブライトアイズに投与する。ALZ112により劇的に知能を向上させたブライトアイズの成果から、ウィルは更なる臨床試験の許可を得ようとジェネシス社幹部達にプレゼンテーションを試みるが、その最中にブライトアイズは密かに身籠っていた子猿を守ろうとして凶暴化し射殺されてしまった。
一連の騒動により研究が凍結され職場を自宅へと移したウィルは、ブライトアイズが遺した雄の子猿を引き取り、その子猿をシーザーと名付け育て始める。ブライトアイズの遺伝子を受け継いだシーザーもまた成長するにつれて母猿のような高い知性を示すようになり、やがて人間に匹敵する複雑な情緒と、手話アメスランによる会話を成立させるほどになる。
シーザーの発達に希望を抱いたウィルは、かねてよりアルツハイマー型認知症に冒されている父チャールズを見かねて、秘密裏に社から持ち出したALZ112を投与。法に背いた人体実験ながら、見事チャールズの病状を快復させる事に成功する。こののち、シーザーの診察をきっかけに知り合った獣医キャロラインとウィルは親しくなり、二人は相思相愛の仲となってゆく。
しかし幸せな時間は長くは続かなかった。それから5年の月日が流れ、チャールズの身体にALZ112への抗体が出来たことにより、彼のアルツハイマーが再発してしまう。ある日、チャールズは症状の結果に隣人とトラブルを起こし、その光景を窓から眺めていたシーザーはチャールズを守ろうとして隣人に怪我を負わせてしまい、ランドン親子が経営する霊長類保護施設に送られる。
人間の家庭で普通の猿を知らないまま育ったシーザーは、当初施設の猿達と上手く馴染めず、しかも横暴なランドン親子の度重なる虐待を受け、人間に対して深い失望感と憎悪を抱くようになる。やがて、同じ施設に収容されていたとりわけ人間から虐待されて育ったゴリラのバックや手話を使えるサーカス出身のオランウータンのモーリスと親しくなったシーザーは、群れのボス猿ロケットとのリーダー争いに知略で勝利、新たなボス猿の地位へと収まった。
一方、ウィルは父による人体実験の結果を上司ジェイコブスに一か八かで暴露。これにより治療薬の開発計画の解凍が認められた。ALZ112を改良しより強力になった新型試験薬ALZ113を開発、たった一度の実験でボノボのコバの知能をアルファベットを読み書き出来るまでに向上させた。この結果に気を良くしたジェイコブスは、慎重な運用を求めるウィルの忠告を無視して更なる臨床試験を続行、ついにはALZ113を大量生産する。ジェネシス社から辞職しチャールズの死を看取ったウィルはシーザーを引き取ろうとランドン親子の施設へ赴くが、この時すでにシーザーは人間への叛逆を計画しており、ウィルをも拒絶してしまう。
密かに施設を抜け出したシーザーは、ウィルの自宅からチャールズに投与させず終いに保管してあったALZ113を盗み、仲間の猿達に服用させる。知能が向上した猿達はシーザーの指揮により、ランドンの息子を電気ショック棒で自滅させ施設を脱走。さらに、コバを筆頭とするジェネシス社の実験用チンパンジー達や動物園の猿達を解放して軍勢を成す。シーザー達は人間の街を進攻し、ジェネシス社からの追手や、ゴールデンゲートブリッジで待ち構えていた警官隊をも撃退。ジェイコブスはヘリコプターから捕獲指示を出していたものの猿達の強襲で墜落、かろうじて橋の淵に不時着したが、憎しみを込めた目をしたコバにより蹴り落とされ、転落死した。
その後、かつてウィルに連れて来られたミュアウッズ国定公園へと到着したシーザーの前に、後を追ってきたウィルが現れる。人間を敵視しウィルに襲い掛かろうとした猿達をシーザーが制止したことで事なきを得るが、「うちに帰ろう」とシーザーを説得しようとするウィルに、シーザーは「シーザー(の)うち(は)ここ」と最初で最後の言葉を発する。そして、離別を悟ったウィルに送り出されながら、仲間の猿達を率いて森の奥へと消えていった。
猿の惑星: 新世紀(2014年)
チャーニンとクラークは、『創世記』が公開された直後には続編の製作を計画し、20世紀フォックスは1.7億ドルの製作費を与え、2014年の公開を決定した。
脚本は引き続きジャッファ・シルヴァー夫妻が担当し、シーザー役もサーキスが続投した。一方、監督のワイアットは製作スケジュールが短期間で、十分に物語を描くことができないことを理由に降板し、マット・リーヴスが監督に起用された。
【あらすじ】
人間と同様の知性、そして人間に頼らないエイプ(猿)としてのアイデンティティを得たチンパンジーのシーザーが仲間とともに人類に反旗を翻し、ミュアウッズの森に逃げ込んでから10年後……。
1人の感染者から始まったALZ113ウイルスによる感染症、通称 猿インフルエンザは地球規模の感染を引き起こし、死亡を含む重篤患者を生むパンデミックとなった。各国の検疫体制は役に立たず、パニックと混乱のうちに人類は数を減らし、お互いの殺し合いに発展し、人類による文明は崩壊した。
一方、高い知能を手に入れた猿達は、シーザーが定めた「エイプ(猿)はエイプを殺さない」という掟の下でミュアウッズの森の奥に集落を築き、互いに助け合う平和な生活を送っていた。猿達の生活はシーザーの敷いた教育により、チームプレーでの大規模な狩りや、手話アメスラン・アルファベット・口頭を交えた高度なコミュニケーションが可能なほどにまで発達しつつあった。
そんなある日、猿達の集落に武装した人間が侵入し、巡邏していた猿に怪我を負わせるという事件が勃発。偵察隊の報告からゴールデンゲートブリッジを渡った先のサンフランシスコのダウンタウンの一角の建築半ばにて放棄された高級ショッピングモールと摩天楼に、人間の集落が存在する事を知ったシーザーは軍勢を率いて人間の集落へ赴き、「エイプは争いを望まない。二度と近づくな」と互いの不可侵を宣言して去る。馬に乗り、言葉を使う猿達の姿を目の当たりにし、人間達は驚愕することとなる。
それでもなお再び侵入してきた人間の一人マルコムを捕え、事情を尋ねるシーザー。実は、猿の集落内に水力発電施設があり、燃料が尽きかけていた人間達はどうしてもそれを使用可能にする必要があった。知性を持った猿達との開戦を考えるドレイファスの意見に対し、三日間だけの猶予を与えられたマルコムは、作業許可を得る為に技術チームと猿の集落を訪れたのだった。
事情を汲んだシーザーは悩みつつも、「弱っている今こそ人間を殲滅するべきだ」というボノボのコバからの進言を退け、マルコム達に水力発電施設での作業を許可する。作業中の崩落事故や、禁止したはずの銃の持ち込み発覚、シーザーに反発したコバの乱入などのトラブルに見舞われつつ、マルコムの真摯な態度を信じたシーザーら猿の協力もあって、マルコム達は作業を完了し人間のコロニーへ電力を供給する事に成功した。
一方、かつて実験動物として虐げられた恨みから人間を信じる事が出来ないコバは、自身の提案が却下された事をきっかけにシーザーへのクーデターを画策する。人間から盗んだライフルでシーザーを狙撃したコバは密かに猿の集落に火を放つと、一連の行動を人間によるテロ攻撃としてでっちあげ、シーザーの代理リーダーとして実権を掌握。シーザーの息子ブルーアイズをはじめとする雄猿達を扇動し、人間の集落に対する戦争を仕掛けてしまった。フォートポイントにあったかつての軍の武器を奪った猿達の攻撃に対し、ドレイファスら人間達も反撃するが、怒りに燃え、数と勢いで勝る猿達には敵わず、あっという間に制圧された。その結果、人間達の多くが捕虜として囚われる。猿による人間の支配が始まったのだ。
マルコム達に助けられたシーザーが手術の為に運び込まれた先は、パッシフィックハイツにあるかつて彼が育て親のウィルと幸せに暮らした家だった。だがそのウィルももうここにはおらず、廃墟と化している。マルコム達による弾丸摘出手術を受け、シーザーは一命を取り留める。シーザーはウィルとの思い出に浸りながら重要な決断をする。偶然、マルコムと遭遇したブルーアイズはシーザーの生存を知った事でコバから離反、シーザーの指示に従い囚われの人間と仲間を解放し、コバを止めようと奔走する。
コバ達が占拠した摩天楼に到達したシーザー達。シーザーは群れの主導権を取り返し争いを収める為、暴走するコバに直接対決を挑む。手負いのシーザーは苦戦しつつも、仲間の猿達に銃を向けたコバを取り押さえ、なんとか勝利を収める。「エイプはエイプを殺さない」と命乞いするコバだったが、一線を踏み外した彼をもはや生かしておくわけにはいかなかった。シーザーは「コバはもはやエイプではない」と突き放し粛清する。
猿同士の闘争を終えたシーザー。しかしドレイファス達が呼び寄せた人間の軍隊が接近しつつあり、猿と人間の全面戦争はもはや回避不能な状況へと進んでいた。「War was already started」と言って、マルコムとの新しい絆に別れを告げたシーザーは、この闘いがエイプが種として生存するための闘争であると自覚し、勝利への決意を燃やす。
批評家は魅力的な脚本と印象的な特殊効果の組み合わせを高く評価した。引き続きVFXを担当したWETAデジタルは、第87回アカデミー賞などで複数の映画賞を受賞している。
猿の惑星: 聖戦記(2017年)
チャーニンとクラークは、『新世紀』の公開後にリーヴスと契約を結び引き続き監督に起用し、新たに起用したマーク・ボンバックとリーヴスが脚本を執筆することになった。ジャッファ・シルヴァー夫妻はチャーニン・クラークと共にプロデューサーとして参加することになった。
【あらすじ】
復讐心に囚われた猿のコバの反乱によって、猿と人間の戦争が引き起こされてから二年。地球の支配権と互いの種としての生存を巡る争いは激化の一途を辿り、猿たちの指導者シーザーは姿を隠して人間に対する聖戦を画策していると噂されていた。
また、シーザーに粛清されたコバのかつての部下で、シーザーへの復讐に燃える赤毛のゴリラ・レッドを筆頭に、猿達の中でも人間側へと寝返る裏切り者も出始め、猿と人間の争いは混迷を極めつつあった。
戦いの続くある日、人間の軍隊であるアルファ・オメガ部隊は猿との戦いに敗れて囚われの身になり、猿のリーダーであるシーザーと対面する。だが、シーザーは噂に反して人間との戦いを望んではおらず、和平交渉の使者とするために、敢えて人間の捕虜たちを無傷で送り返した。
猿の集落へと帰ってきたシーザーの前に、集落からしばらく離れていた側近のチンパンジー・ロケットと、シーザーの息子にして群れの後継者・ブルーアイズが戻ってくる。より安全な新天地を求めて旅に出ていたブルーアイズたちは、砂漠を越えた先に新天地となり得る安全な土地を見つけたのだという。シーザーたちは新天地発見の喜びを分かち合いながら眠りに就く。
その夜、ふと目を覚ましたシーザーは、集落の中に人間の兵士達が入り込んでいることを察知。集落の内部での殺戮は何とか防いだものの、アルファ・オメガ部隊の指揮官であるウェズリー・マカロー大佐によってシーザーは息子のブルーアイズと妻のコーネリアを殺されてしまう。翌朝、旅立とうとする猿の群れを尻目に、ウェズリー大佐への復讐の為に群れを離れるシーザー。その後ろから古い仲間であるロケットとオランウータンのモーリス、ゴリラのルカが追いつき、シーザーと行動を共にすることを決める。かくして四匹の猿による決死の旅が始まった。
旅の途中、人間の拠点と目して立ち寄ったキャンプの跡地でシーザーたちはウェズリー大佐の命を受け小屋で病状観察をしている兵士と遭遇、銃撃戦になりかけたところでシーザーが兵士を射殺する。キャンプの跡地を調べた結果、小屋の中で一人の少女を見つけるシーザーたち。見つかった人間の少女、ノヴァ[9]は何らかの病気で言葉を喋ることができないようだった。当初はノヴァを置き去りにしようとしたシーザーだったが、孤児になってしまったノヴァの境遇を哀れんだモーリスの請願により、旅へ同行させることを決める。
人間達のキャンプ地へ潜入したシーザーたちは、先日の集落での襲撃から行方を晦ましていたアルビノのゴリラ・ウィンターと再会。人間を恐れるウィンターは、人間に寝返ったゴリラのレッドに脅されてスパイとなり、自らの身の安全と引き換えに猿の集落への襲撃を手引きしていた。そこで人間の兵士達に見つかりそうになり、大声を上げようとしたウィンターを取り押さえているうちにシーザーはウィンターを誤って絞め殺してしまう。「エイプ(猿)はエイプを殺さない」と自ら掲げておきながらウィンターを殺してしまった罪悪感から、シーザーは自身が粛清したコバの幻影に悩まされるようになる。
人間達の後を追うシーザーたちは、人間の兵士達が仲間の人間を処刑しているという奇妙な光景を目撃する。人間同士で殺しあっている状況を訝るシーザーたちは、殺された兵士がノヴァのように言葉を喋れなくなっていることに気がつく。やがて人間達を見失ったシーザーたちの前に盗人が現れる。盗人の正体は、人間のように衣類を纏い、動物園で育ったために英語は流暢に喋れるが手話を使うことが出来ないという変わり者の猿バッドエイプだった。人間のキャンプ地で聞いたウィンターの話と、バッドエイプからの情報を照らし合わせることで、バッドエイプが語るところの“人間動物園”なる施設の正体がかつての猿インフルエンザ患者の隔離施設であり、現在のウェズリー大佐たちアルファ・オメガ部隊の拠点であると推察したシーザーたちは、バッドエイプの案内で大佐達の拠点へと向かう。
雪山を越え、ついにアルファ・オメガ部隊の基地へ辿りついたシーザーたちだったが、偵察の最中に人間の兵士に見つかりそうになり、シーザーを庇ったルカが殺されてしまった。これ以上自らの復讐に付き合わせるわけにいかないと悟ったシーザーは古い仲間からも離れ、単身乗り込もうとしたところをゴリラのレッドに見つかり捕らえられてしまった。
アルファ・オメガ部隊の基地でシーザーは、新天地に向かったはずの息子コーネリアスや亡きブルーアイズの恋人レイクをはじめとする仲間の猿達と再会する。新天地を目指してシーザーと別行動をとっていた猿の群れはアルファ・オメガ部隊に捕らえられ、基地を改築する強制労働に従事させられてしまっていた。捕らえられた猿達が劣悪な環境で働かされている状況を目の当たりにし、かつてのコバと同じように復讐心に囚われるあまりに判断を間違えたことをシーザーは深く後悔する。
猿達の労働環境改善に向けて交渉するため、大佐と対面したシーザー。ウェズリー大佐のアルファ・オメガ部隊が実は人間の反逆者であること、捕らえた猿達に作らせているのは人間同士の争いに備える防壁であることを見抜いたシーザーに対し、ウェズリー大佐は驚くべき事実を語り始める。猿の知能向上と引き換えに多くの人命を奪ったALZ113こと猿インフルエンザは、数年の時を経てさらなる変異を起こしていた。新型の猿インフルエンザに感染した人間は言葉を喋る能力を失い、やがては理性も奪われた末に退化して動物同然になってしまうというのだ。ウェズリー大佐のアルファ・オメガ部隊はその蔓延を防ぐ為、聖戦と称して新型猿インフルエンザの発症者を殺しており、新型猿インフルエンザへの対処を巡って人間の軍隊の本部と内部抗争を起こしていたのだった。
基地の外で、捕らえられた仲間を救う方法を模索していたロケットたちは、かつての猿インフルエンザ患者達が脱走の為に作ったと思われる抜け穴を発見した。そこでロケットは一計を案じ、わざと人間の基地で姿を現して捕らえられることで檻の中へと入り込み、仲間たちの脱走を手引きすることになる。ロケットの手引きで仲間の猿達を外へと逃がすシーザーたち。そこへ、反逆者であるアルファ・オメガ部隊を抹殺しようと人間の軍隊が現れ、人間同士による大規模な戦闘が勃発する。
自らの復讐を終わらせるため、乱戦に乗じてウェズリー大佐の部屋へ忍び込んだシーザー。そこでシーザーが見たものは、シーザーを助けようと基地へ忍び込んだノヴァのぬいぐるみから新型猿インフルエンザに感染し、自らも喋ることができなくなったウェズリー大佐の姿だった。死を乞うウェズリー大佐を前にシーザーは復讐を躊躇、シーザーが自身を殺してくれないことを悟ったウェズリー大佐は自らの手で拳銃自殺を遂げた。
猿の脱走に気付いたアルファ・オメガ部隊は、猿の群れに対して銃撃を仕掛け始める。仲間達を救おうとするシーザーと、かつての同族達が殺される光景を見て心変わりを起こしたレッドの助けで窮地を脱したシーザーの活躍により基地が爆破され、アルファ・オメガ部隊は壊滅。また、アルファ・オメガ部隊を葬ろうとやってきた人間の本隊も、基地の爆発が引き起こした雪崩によって全滅し、樹上へと逃れた猿の群れだけが生き残った。
その後、群れを率いてようやく新天地へと到達したシーザー。しかし、シーザーはアルファ・オメガ部隊との戦いで受けた負傷がもとで身動きもままならない体となり、新たな故郷と成った新天地で喜びを分かち合う仲間達を暖かく見つめながら、その波乱に満ちた生涯を終えた。
批評家からはサーキスの演技力や特殊効果、複雑で道徳的なストーリーが高く評価されている。
猿の惑星/キングダム(2024年)
新たにウェス・ボールが監督、ジョシュ・フリードマンが脚本家に就任している。主演の猿役にはオーウェン・ティーグが起用された。
【あらすじ】
シーザー率いる猿たちと人類の決戦のその後。仲間たちがシーザーの葬儀を執り行う。
それから約300年後。猿たちが旅の果てに辿り着いたオアシスから猿の文明が誕生し繁栄するが、一方で人類は退化し野生化していた。
猿たちの王、プロキシマス・シーザーは、失われた人類の技術から作られた武器で武装し、先祖のシーザーの教えを歪め支配していた。一方若きチンパンジーのハンターのノアは、人間の少女、メイとともに猿と人間の未来を決定するために旅に出る。
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