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『Re:ゼロから始める異世界生活』シリーズ【2016年アニメ/映画】



【感想】

2024年10月7日投稿

待ちに待った「Re:ゼロから始める異世界生活」season3

この作品も長編難解ストーリーでかなりややこしい。season3から観て興味を持てば、season1・2を観てもいいと思います。

ワタシは個人的に、主人公のナツキスバルが嫌いです。見た目があれなのに態度がデカく、馴れ馴れしい、ストーカーである。そして「死に戻り」という「タイムループ」が特にややこしい。

しかし、その他のキャラが良き。たぶんフィギアの売れ筋上位と思います。

もう一人嫌いなキャラは、『怠惰』 ペテルギウス・ロマネコンティ(ジュース)、トラウマ級のおぞましい姿、それが猛烈な速さで追いかけてくるシーンがある。過去一不気味。閲覧危険です。

なにがこの作品、苦手かというと、登場人物がかなり多くて覚えられません。でもご安心ください。なんとなくで大丈夫です。この作品の世界観が異世界ものとしては独特なのでそこ等辺に楽しみがあります。あくまで個人的意見です。では、また。

【作品情報】

『Re:ゼロから始める異世界生活』長月達平氏のライトノベル。略称は「リゼロ」。本編のイラストは大塚真一郎氏担当。小説投稿サイト「小説家になろう」にて2012年4月より連載が始まり、MF文庫J(KADOKAWA)より2014年1月から刊行されている。なお、MF文庫Jにおいて「小説投稿サイトで連載されていた作品の書籍化」は本作が初である。

また、『月刊コミックアライブ』において2014年6月号からリゼロ外伝『ゼロから始まる英雄譚』の連載が開始。

2023年3月時点で電子版を含めた全世界シリーズ累計発行部数は1300万部を突破。『このWeb小説がすごい!』全Web小説ベストランキングでは2位。『このライトノベルがすごい!』2017年版では文庫部門第2位。『SUGOI JAPAN Award 2017』ではアニメ部門・ラノベ部門の2部門で1位を獲得。

第1期、2016年4月4日から9月19日まで、テレビ放送。

2018年10月6日にはOVA『Re:ゼロから始める異世界生活 Memory Snow』が、2019年11月8日にはOVA『Re:ゼロから始める異世界生活 氷結の絆』がそれぞれ劇場上映。

テレビアニメ第1期の続編として第2期『Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season』前半クールが2020年7月8日から9月30日まで、後半クールが翌2021年1月6日から3月24日までそれぞれ放送。

第3期『Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season』「襲撃編」2024年10月から、
「反撃編」2025年2月からTOKYO MXほかにて放送予定。

あらすじ

本編 第一章『怒涛の一日目』(文庫第1巻、アニメ第1期 第1話 - 第3話)

コンビニ帰りに突如、異世界に召喚された引きこもり高校生の少年ナツキ・スバルは、早々と命の危機に見舞われる。その窮地を救ってくれた、ネコ型精霊パックをお供につれた、サテラと名乗るハーフエルフの銀髪少女に恩返しをするため、スバルは彼女の物探しに協力する。
フェルトという名の少女に奪われたという徽章の手がかりが掴めたと思った矢先、2人は暗闇の中で何者かに襲撃され命を落としてしまう。
目を覚ましたスバルは、召喚された時点に戻っていた。それから何度かの死を繰り返すうち、スバルは自分がこの世界である能力を得たことを知る。その能力は、自身の死により時間を巻き戻して記憶を引き継げる、タイムリープ能力「死に戻り」だった。スバルが「サテラ」に再会して話しかけた際、彼女がその名を知らなかったことから、彼女は「前の周回」で偽名を使っていたのだと気づく。
その後、紆余曲折を経て、ついに徽章を奪った少女フェルトを追いつめたが、スバルはまたしても彼女の依頼主『腸狩り』 エルザ・グランヒルテに惨殺されてしまう。さらなる「死に戻り」を経た後、「サテラ」、『剣聖』 ラインハルトの加勢もあってエルザを退け、ようやく最初の死のループから逃れることに成功する。
「サテラ」の命を救った礼として、彼女に名前を教えてほしいと頼んだスバルは、彼女の本名がエミリア であることを教えてもらうが、その直後エルザからもらった腹の傷が開いて倒れてしまう。

第二章『激動の一週間』(文庫第2巻 - 第3巻、アニメ第1期 第4話 - 第11話)

エルザによる負傷から回復し、メイザース辺境伯ロズワールの屋敷で目覚めたスバルは、エミリアのそばにいるため、昨日の一件の謝礼として屋敷で雇ってもらうことを要求する。鬼族のメイド姉妹レムとラムに叱咤されながらも順調に使用人として働いていたスバルは、その3日後、エミリアとのデートを約束し眠りに就くが、彼に翌日が訪れることはなかった。
屋敷で目覚めた初日の朝に戻っていたことに気づいたスバルは、動揺しながらも、「死に戻り」のセーブ地点が変更されていることや、前回の死因が呪いであったことに気づくが、今度は屋敷の中で何者かに撲殺されてしまう。次のループで屋敷を外から監視し襲撃者を見つけ出そうとするが、メイドのレムに逆に襲撃される。レムは、その体格に見合わぬ巨大なモーニングスターで彼を追い詰め死亡させる。信頼していたメイドが自分を撲殺した犯人であったという事実、一章の死に戻りと同じ回数だけ死んでしまったことから次に死亡すると戻れないかもしれないという恐怖で、スバルは次の周回をロズワールに与えられた自室に引きこもって過ごす。呪いにかかることはなく5日目の朝を生きたまま迎えることができたスバルだったが、その代わりにレムが呪いより死んでしまう。すなわち、呪術師とレムによる撲殺は別件であった。スバルが間者である可能性が高かったことや、「魔女の残り香」を漂わせていたことがレムの疑いの原因だったのだ。ヒステリーを起こしたラムにスバルは殺されかけるが、禁書庫の司書ベアトリスの協力で命を拾う。落ち着きを取り戻したスバルは、メイドたちに何度も殺されてなお、自分が屋敷の暮らしを愛していたことを再確認し、時を巻き戻して全員を救うため崖から身を投げる。ベアトリスの協力により、スバルはあえて呪いをかけられることで呪術師の正体が魔獣であることを暴く。しかし時既に遅く、腹をすかせた魔獣たちに近所のアーラム村の子供達はさらわれてしまっていた。
スバルは森の中に入り子供達を助けるが、魔獣たちに無数の呪いをかけられ、手詰まりに陥る。魔獣を皆殺しにしスバルを救うべく森に入ったレムを援護するため、スバルとラムは彼女の後を追うが、レムと共に魔獣たちに取り囲まれる。満身創痍となってなお彼女たちを逃がそうと、スバルは唯一覚えた魔法「シャマク」で魔獣に隙を作る。それを空から発見したロズワールが駆けつけ、魔獣たちを掃討する。

第三章『再来の王都』(文庫第4巻 - 第9巻、アニメ第1期 第12話 - 第2期 第26話)

魔獣は討伐したものの、体に何重にも重なって残った呪いにより、スバルはマナの流れが澱んでしまう。エミリアが王選開始の式典に参加するため、およびスバルを水の治癒術師フェリスに治療してもらうため、スバル一行は王都を再び訪れる。
エミリアと交わした約束を破り、王選関係者の式典に乱入したスバルは騎士ユリウスと実質的な私闘を行い、禁止されていたシャマクを使った末に敗北する。
度重なるすれ違いや思いの齟齬、そして何よりも精霊術師であるエミリアにとってかけがえのないものである約束を軽んじてしまったスバルはエミリアと認識の違いを決定的なものとしてしまう。治療の完了をもって関係を解消すると言い渡しスバルと決裂したエミリアは、スバルとレムを王都に残し、ロズワールとともに屋敷へと戻る。
その数日後、魔女教の脅威がロズワール領に迫っていることに気づいたスバルは、エミリアたちを救うべく何度も動くが、ペテルギウス率いる魔女教と折悪く現れる白鯨に阻まれてしまう。
魔女教、白鯨の脅威に対抗すべく王選候補者たちに協力を仰いだスバルだったが、彼の言動からその本音を垣間見た候補者たちからは次々に断られてしまう。万策尽きたスバルはレムだけでも助けようと彼女とともに国外へ逃げ出そうとするが、レムの説得により覚悟を改め、もう一度運命に立ち向かうことを決める。
スバルは繰り返したループの中で得た様々な情報の断片から、クルシュ陣営が白鯨の討伐を目論んでいることを看破し、前回のループで得た正確な白鯨の出現位置と時間を伝え、クルシュおよびアナスタシア陣営に討伐隊の派兵を要求し、交渉に成功する。死闘の果てに白鯨を討伐したスバルたちは、ヴィルヘルム、ユリウス、フェリスらを率いて魔女教の討伐に乗り出す。幾度となく殺されながらも、他人の精神に乗り移るペテルギウスの正体が邪精霊であることを見破り、ついに討伐に成功する。エミリアを含む村の人々を魔女教の脅威から救いだしたスバルは、エミリアに再び自身の行動の原理を問われ、自分の想いを告白する

(このシーンでアニメ第1期は終了し、このシーンからアニメ第2期が開始)

一方その頃、白鯨討伐後、王都への帰途についていたクルシュとレムは、突如魔女教のレグルスとバテンカイトスの襲撃を受け、暴食の権能による作用で、クルシュは記憶喪失、レムは存在を忘れられた眠り人となってしまう。死に戻りの起点の更新によってレムを救うことができないと知ったスバルは、彼女を取り戻すべく魔女教「暴食」を倒すことを決意する。

第四章『永遠の契約』(文庫第10巻 - 第15巻、アニメ第2期 第27話 - 第50話)

魔女教の襲撃から避難して以来、帰還しないアーラム村の人々とロズワール。スバルらは彼らがいるとされる特殊な結界[注釈 3]に覆われた地「聖域」へ向かうことになる。結界に閉じ込められた人々は、アーラム村の人々を人質とし聖域の解放を要求していた。彼らを救うため、魔女エキドナによる結界を解除するための試練にエミリアが挑むが、精神に大きな揺さぶりをかけてくる試練を一つも攻略できないまま彼女は疲弊していく。スバルはエミリアの神経衰弱、エルザによる屋敷の襲撃、聖域を襲う豪雪と魔獣大兎、スバルから魔女の残り香を察知した聖域一の実力者ガーフィールの妨害、それらの全てを攻略するため死に戻りを重ねる。実は、ロズワールはエキドナに与えられた『世界の記憶』の複製『叡智の書』によりスバルが世界をやり直す能力を持つことを知っており、彼をエミリアに忠実な騎士とすべく、策を巡らせていた。エミリアによるものだと聖域住民に疑われていた大雪も、彼が発生させていた。膨大なマナを使うことで、大兎を引き寄せるとともに、エミリアにあらぬ疑いをかけさせることで、スバルにさらなる困難を与えようとしていたのである。自らはループ先に記憶を残すことはできないにも関わらず、スバルがまだ死を恐れない駒となっていないことを悟ると、ためらいなく彼は破滅的な自死を選び、スバルにやり直しを強要する。過去に違う選択をしていたら生まれていたであろう「もしも」の世界を見せられるというエキドナの第二の試練に意図せず挑んでしまったスバルは、今まで考えないようにしていた「自分が死亡した」後で悲しみに暮れる周りの人々を目の当たりにし、死に戻りは皆を救っていたのではなく、「死んだ世界」の皆を切り捨てていただけかもしれないと不安になる。エキドナは彼を励まし、状況を打開できず弱った彼に、彼の人生を観測する代わりに助言を与えるという契約を持ちかける。しかし、ほかの魔女たちがエキドナは自らの知識欲を満たすため助言とは名ばかりの口八丁でスバルにループを繰り返させかねないことを示唆する。さらにそれを問い詰めた際のやりとりで、エキドナは他人に共感や優しさといった感情を抱かない常人には理解しがたい精神性を持つことを知る。
危険が予想されるエキドナとの契約は断ったものの、再び八方塞がりとなったスバルは孤独に死に戻りを繰り返すことで自分以外の誰も傷つかないようにするしかないと思い詰める。だが、その姿を見かねたミネルヴァやサテラに、第二の試練で見たように自分もまた周りの人に大切にされていることを認め、自分をもっと大切にするよう説得される。仲間たちの力に頼ればこの窮地を脱することができると確信したスバルは、ロズワールに「この周回」で困難を突破できなければロズワールに素直に従う、ただしもしできたなら彼の持つ『叡智の書』を捨ててもらう、という契約を交わす。オットーやパトラッシュの力を借り、またラムの協力も得て、ガーフィールを撃破し、エミリアに心からの親愛を伝えて彼女を精神的に支える。さらにガーフィールが外の世界に抱く恐怖を乗り越えさせて味方とし、屋敷にて[注釈 6]エルザを撃退、魔獣使いメィリィを捕縛する。そして焼け落ちる屋敷と運命をともにしようと自暴自棄になっていたベアトリスを救い出し、試練を突破したエミリア、ベアトリスと協力して大兎を討伐する。
ロズワールはラムとの戦いで叡智の書が失われたことで、もう周りの被害を考えずに動くことはないと約束し、とりあえず陣営は1つにまとまった。この騒動ののち、スバルは正式にエミリアの騎士に選ばれ、彼女を支えることを誓う。

第五章『歴史を刻む星々』(文庫第16巻 - 第20巻、アニメ第3期 第51話 )

聖域の事件の1年後、王選候補者たちはアナスタシア主催のもと、水門都市プリステラで会合を行う。するとそこに残存するすべての大罪司教が来襲し、瞬く間に水門都市の都市機能を奪われてしまい、町全体を人質と取られてしまう。候補者たちは臨時の共同戦線を張ることで都市機能を奪還、強欲の大罪司教レグルスを殺害し、憤怒の大罪司教シリウスを捕囚することに成功する。しかし、色欲の大罪司教カペラによって都市庁舎にいたプリステラ市民は蝿や黒龍へと姿を変えられ、また、カペラの龍の血をかけられたクルシュは醜い姿に変貌してしまう。さらに、暴食の権能によりユリウスは名前を奪われ、彼の弟ヨシュアを含む多数のものが眠り人となる。また、戦闘のためアナスタシアと一時的に精神を入れ替えた襟ドナが、アナスタシアから出られなくなるという事態に。ユリウスとレムの存在を取り戻し、アナスタシアを解放するための手がかりを得るべく、スバルは賢者シャウラが住むと言われる前人未到の領域、プレアデス監視塔を目指すことを決める。

第六章『記憶の回廊』(文庫第21巻 - 第25巻)

襲いかかる強力な魔獣、塔から容赦なく降り注ぐ光の矢などの幾多の障害を乗り越えてプレアデス監視塔へと辿り着いたスバル達はそこで「賢者フリューゲルの弟子」を名乗る少女、シャウラと出会う。
スバルのことを師匠と慕うシャウラからプレアデス監視塔の全容を聞かされたスバル一行は、塔に存在するという3つの試練に挑むことになる。2つ目の試練で現れた初代剣聖レイド・アストレアを突破するためにスバル達は作戦会議を行うが、一夜明けるとスバルは記憶を失っていた。誰が敵で誰が味方かがわからない状態で死に戻りを繰り返しているうちに、記憶喪失の原因が三層タイゲタの書庫からつながる「記憶の回廊」に潜んでいた暴食の大罪司教ルイ・アルネヴであること、プレアデス監査塔を同時に4つの困難が襲い掛かってきていることが判明する。4つの困難に立ち向かいながら死に戻りを重ねるうちに、「ナツキ・スバル」の死者の書を発見、それを読むことによって、記憶喪失のスバルと記憶を奪われる前のスバルが融合し、ルイ・アルネヴを撃退。その後、仲間と力を合わせて、4つの困難を突破する。その後、緑部屋で眠っていたレムの前に、廃人と化したルイが現れる。スバル、レム、ルイの3人は突如現れた黒い影に飲み込まれ、見知らぬ森の中に転移した。そして、レムが記憶を失った状態で目を覚ます。

第七章『狼の国』(文庫第26巻 - 第33巻)

見知らぬ森、そこはルグニカ王国と敵対している国ヴォラキア帝国だった。魔女の残り香によってスバルに不信感を抱くレム、次々と襲い掛かる死の刺客に苦しめられるスバル。ルグニカに戻るために帝都を追われた第77代皇帝ヴィンセント・アベルクス(ヴィンセント・ヴォラキア)と共闘し、帝都に向かうことに。
クーデターを起こした偽の皇帝に対抗するため、帝国の懐刀ともいえる九神将を仲間にするため、帝国各地を回るスバル一行。その道中で訪れた帝都カオスフレームにてスバルは九神将のひとりオルバルトによって幼児化させられてしまう。九神将のひとりヨルナを味方につけることはできたものの、スバルは黒い影に飲まれ、剣奴孤島に転移させられてしまう。そこで襲い掛かる帝国の刺客により死を繰り返すうちに、死に戻りからのセーブポイントに異変が生じていることが発覚。サテラがスバルを見失っていることに気づいたため、禁忌である死に戻りの口外を繰り返すことで、サテラに見つけてもらうことに成功。剣奴孤島のループを突破し、帝国最強の存在であるセシルスを味方にすることに成功。
一方、スバルを探すため、帝国に密入国したエミリア一行も同じく帝国に密入国したプリシラ一行、アベル一行とともに帝都を目指す。帝都での最終決戦が繰り広げられる中、ついに本物の皇帝であるアベルと皇帝に化けた九神将のひとりチシャが水晶宮で対峙する。ところが、突如襲ってきた謎の光によってチシャはアベルをかばい死亡する。そこには死んだはずの九神将バルロイや選定の儀によって死んだはずのラミアの姿が・・・。 

第八章『ヴィンセント・ヴォラキア』(文庫第34巻 - )

外伝 小説EX 獅子王の見た夢

王選候補者クルシュの過去と王になることを望む経緯が描かれる。

小説EX2 剣鬼恋歌

剣鬼と1人の少女の運命出会いと別れの物語。

Web小説番外編

2016年4月1日から、スバルが異なる選択をしていた場合のIFストーリーがWeb版に掲載されている。

ゼロカラ カサネル イセカイ セイカツ

第四章でエキドナと契約を交わしたスバルが、周りの人が誰も傷つかない最善手を追い求めて、無数の死に戻りを繰り返していく。しかしそれは、彼らに起こる苦難を未然に全てスバルが取り除くということでもあり、スバルの周りの人々が精神的成長の機会を奪われてしまうということを意味していた。試練を乗り越えられなかったエミリアは精神が不安定となったため頻繁にヒステリーを起こすようになり、禁書庫を失ったベアトリスはエキドナへの罪悪感に苛まれ続ける。さらにスバルはプリステラ戦を乗り切るため、フェルトにカララギへの亡命を唆し実行させ、失意のラインハルトを陣営に取り込む。スバルはそんな彼らの不幸を見ながらも、命さえあればいつか幸せになれると信じ、最善の世界のためにますます簡単に死に戻りを選ぶようになっていく。

ゼロカラ アヤマツ イセカイ セイカツ

第一章でトンチンカン3人組に襲われた際、ラインハルトに助けられる事なく死に戻りを続けたスバルは、エミリアを除くあらゆるものへの関心を捨て、エミリアを王とするために手段を問わず暗躍するようになる。エミリアに功績を与えるため、全大罪司教を討伐したり、王選の対立候補を潰したりしていくが、エルザやメイリィ、ロズワール、フェリックスといった手駒を全て使い尽くしてもラインハルトだけは倒すことができなかった。しかし、ルグニカを壊滅させることで彼の「剣聖としての名誉」ならば貶めることができる[注釈 8]と考えたスバルは、ルグニカ中を燃やし尽くす火を放つ。炎に包まれる王都でエミリアと再会したスバルは、傲慢の大罪司教を名乗ったのち彼女に殺される。

ゼロカラ オボレル イセカイ セイカツ

第二章における、スバルの代わりにレムが魔獣によって殺された周回で、ベアトリスの助けによりスバルはラムの追撃から逃げ切る。直前の周回で、信頼関係を築けていたと思っていたレムに実は忌み嫌われていたことがトラウマとなり、スバルは自分への態度を変えうるあらゆるものに恐怖し、それを目ざとく察知し、可能であれば躊躇いなく殺害するという、極めて臆病な性格を持つようになる。逃げ延びた先のカララギで、その疑い深い性格、死に戻りの力、元の世界の知識を用いて、スバルはハリベル、セシルスらを幹部に据えた、自らを絶対的な君主とする巨大な秘密結社を作り上げる。そしてその力とパックの協力によってロズワール邸を壊滅させ、エミリアを誘拐する。しかし、スバルらの活動はルグニカにも無視できないレベルとなっており、ラインハルトを筆頭とする討伐隊が送られて、結社は壊滅。長いスバルとの生活により、スバルに半ば依存に近い愛情を抱くようになっていたエミリアは、ラインハルトを撃退、スバルとともに逃げようとする。しかし、スバルはエミリアが自分を今まで許していたのはひとえに彼女の優しさのためだと思っていたため、その「態度の変化」に恐怖し、彼女を拒絶する。
エミリアを置き去りにしたスバルは、唯一自分への態度をずっと変えなかった者の元へ急ぐ。それは、ロズワール邸から逃げ出して以降、スバルに復讐心と殺意を抱き続けたラムであった。彼女に殺してもらうため、スバルはラムを独房から解放する。

ゼロカラ ツギハグ イセカイ セイカツ

第六章でルイによって異世界に転生して以降の記憶を奪われたスバルは、仲間から伝えられるこれまでの『ナツキ・スバル』の活躍と、それにひきかえ無力に死に戻りを繰り返す自分に苦悩し、彼の人格さえ取り戻せば全ての問題を解決してくれると考えるようになる。そのために、死に戻りによりすべてやり直せることを利用し、仲間たちを自ら手にかけその「死者の書」を閲覧することで、仲間たちの目からみた『ナツキ・スバル』を集め彼の人格を再現しようとする。彼は手始めに、シャウラを味方につけ、塔にいた仲間たちを殺害するが、襟ドナのみは逃げ出すことに成功する。彼らは塔を出て、道中に出会ったオットーの弟であるレギンと、彼の村の村人たちのうち、自分のことを知らなかった少女以外の全員を殺害、襟ドナを追跡する。プリステラに逃げ戻った襟ドナは、王選候補者たちを集め塔で起こったことを伝える。だがスバルはこの状況を読んでおり、プリステラの水門を破壊して街全体を水没させ、襟ドナ/アナスタシア、及び「鉄の牙」の面々を濁流に飲み込む。更に、自らの姿をあえて見せることで混乱したガーフィールを、続いてオットーを殺害し、策謀を巡らせてラインハルトの追撃から逃れる。ラインハルトと、最後にシャウラを殺し、『ナツキ・スバル』を取り戻すことができたなら、そのときこそ手にかけてきた皆に贖罪できると感じながら、スバルとシャウラ、それにスバルの頭の中に再現された仲間たちの疑似人格は旅を続けていく。

スバルとレムのカララギでの生活

第三章で死のループから背を向けてレムと共に歩んだスバルと彼らの子供たちの未来の物語。Web小説のみに掲載されており、投稿日は第163部分を除き、2月3日となっている。

登場人物

エミリア陣営
ナツキ・スバル(菜月 昴)
声 - 小林裕介

本作の主人公[。4月1日生まれ。黒の短髪、平凡な顔立ち、筋肉質のがっちりした体格の持ち主である少年。足は一般的な日本人よりも速く、目つきの悪さ(三白眼)が特徴である。年齢は17歳(開始時点)。父と母の三人家族。学校へは登校せずに好きなだけ寝て遊ぶ怠惰な生活を送っていた。座右の銘は「やるかやらないか迷ったらやらない」。いわゆる中二病の傾向があり、神話や星の名前などに詳しい。中学生時代、剣道部に所属していたこともあり、街のチンピラ3人に素手でケンカに勝つ程度の度胸と腕っ節はあるものの、際立った身体的な特技などはない。空気を読まず、ふざけた態度で人の神経を逆撫でするような性格だが、一方で情に厚く大事な人たちを守るためなら自らを省みない。深夜、コンビニで夜食を買った帰りにいきなり異世界へ召喚され、困惑していたところをなんの見返りもなしに助けてくれたエミリアに好意を抱き、以降は彼女を守ることを何よりも優先する。一方で、惜しみない愛情と期待を寄せてくれるレムのこともその次に大切に思っており、彼女の存在は死に戻りという孤独な戦いの中で、彼の大きな心の支えとなっている。唯一与えられた力である『死に戻り』という能力を駆使して、周囲の人々を死の運命から救い出すために奮闘する。しかし、『死に戻り』の能力に関することを他人に話そうとすると、謎の黒い手によって心臓を握り潰されそうな激痛に襲われるため口に出すことができずにいる[注釈 12]。また、激痛を無視してエミリアに『死に戻り』を明かした際には、スバルではなくエミリアの心臓が握りつぶされてしまった。『死に戻り』を繰り返すたびに、魔女が放つと言われる特有の匂い[注釈 13]が濃くなるようで、レムをはじめとする“匂い”に敏感な者たちに警戒を与えてしまう原因となっている。陰属性の魔法に少し適性があり暗闇を生む魔法「シャマク」を使えるが、ゲートが制御不可能であるためマナ切れを起こしやすい。しかし物語中盤ではある程度制御が効くようになった。ガーフィールとの戦闘の際、ゲートの過度な使用により完全にゲートが潰れ、以後自力では魔法は一切使えなくなる。また、このことにより体内に溜まるマナを排出することができなくなったため、ベアトリスと手を繋ぐことで余ったマナを供給している。
『魔女因子』と呼ばれるものに並々ならぬ適性を持つ。ペテルギウスやレグルスを殺害した際にはそれぞれ彼らの持っていた魔女因子が彼の中に入り込んでおり、のちに怠惰の権能『見えざる手』(のちに『インビジブル・プロヴィデンス』と命名)と強欲の権能『小さな王』(のちに『コル・レオニス』と命名)を使えるようになる。しかし、過度に使用すると猛烈な頭痛に襲われてしまう。また、他者の記憶や名前を喰らう権能の効果がなぜか彼には及ばず、白鯨や『暴食』の大罪司教の餌食となった人のことを覚えている。

エミリア 声 - 高橋李依

本作のヒロインの一人。9月23日生まれ。人間とエルフの間に生まれたハーフエルフで、銀色の長い髪に紫紺の瞳を持つ美貌の少女。火のマナを司る大精霊パックと契約し、低温の熱量による氷系統の魔法を好んで使う。ほかの微精霊とも契約関係にあり、四系統の魔法ならいずれも浅く使いこなせる『精霊術師』。ルグニカ王国の次期国王を選ぶ王選の5人の候補者の1人。嫉妬の魔女と容姿が似ていることから世間から不当な差別を受けている。
最初のループで出会ったスバルに人々に恐れられる”嫉妬の魔女サテラ”の名を騙り、彼を騒動に巻き込まないよう気を回したり、あれこれ理由をつけながらも困っている者を見過ごせない心優しい性格。7歳の時から、6年前まで、エリオール大森林で100年ほど氷の中で眠りについていた経緯から、実際年齢、外見年齢、精神年齢に大きなギャップがある。すなわち、実際年齢は約100歳、長命のエルフであるため外見年齢は18歳、精神年齢は14歳。スバルと出会った当初は気を張って振る舞っていたが、本来は精神年齢相応の純粋無垢な性格。長い眠りにつく以前は、隔離的な生活を送っていたため、世情に疎く天然気味なところがある。過酷な境遇にめげない頑張り屋である反面、頑なに意地を通そうとするため良くも悪くも面倒くさい性格と評されている。スバルに親愛の情を抱いているが、異性としての好意についてはまだ理解していない様子。さらに性知識に疎くキスをすると子どもが出来ると思っていた。莫大なマナを扱うことができる力を秘めており、エリオール大森林の凍結は家族を失った彼女がそれを暴走させたことによるものである。しかし、彼女はその記憶を無意識に封じ込めており、彼女のマナを利用することで顕現しているパックも、彼女の心の安寧のためにそれを秘密にしていた。エキドナの『墓所』で自らの過去と向き合ってのちは、扱えるマナの量が飛躍的に増加し、氷の武器を多数生成し使い捨てながら戦う『アイスブランド・アーツ』を扱えるようになる。

パック 声 - 内山夕実

小さな灰色の体毛の猫の姿をしたエミリアの契約精霊。魔法の威力は絶大で、攻防揃っている。火を司る大精霊で、熱量を奪うことによる氷系統の魔法を使う。おっとりとした性格でかなりのマイペース。エミリアの保護者として振る舞い、常に行動を共にしている。その親しみやすさとは裏腹にエミリアのことを絶対視しているため、彼女以外の者に対しては手心を加えず、その気持ちもあまり酌まない。エミリアが死亡するかそれに等しい状態になれば、彼女との契約に従い「終焉の獣」として顕現し、世界を凍らせて滅ぼそうとする。通常はエミリアが持つ緑の結晶の中で休んでおり、顕現するのは朝の9時から夕方5時の間ほど。緊急時にはエミリアのオドを使うことで顕現が可能。かつてベアトリスとともに魔女エキドナによって作られた人工精霊だが、本人は当時のことを覚えていない。

レム 声 - 水瀬いのり

本作のヒロインの一人。青髪のロズワール邸のメイドの少女。双子のラムの妹。2月2日生まれ。17歳。一人称は「レム」。スバルのことは「スバルくん」と呼ぶ。メイドとしては万能で、屋敷の仕事の9割方は彼女が行っている。ラムより胸が大きい。亜人の一種である『鬼族』の生き残り。酒豪が多いことで有名な鬼族だが、アルコールに極端に弱く、酒の上を吹いたそよ風を吸っただけで酔っぱらってしまう。穏やかな物腰だが、姉同様に毒舌なところがあり慇懃無礼。身内への情が深い一方で、感情に任せて暴走してしまうところがあるのが玉に瑕。心を許した相手には献身的であり、自己犠牲をも厭わない。過去の姉への負い目[注釈 15]から、過度に自分を卑下する傾向が多かった。しかし魔獣騒動を経てスバルに説得されたことで意識を改める。それ以後はスバルに心を開くようになる。水系統の魔法の使い手であり、『鬼族』ゆえに身体能力も高い。武装式ハンマーのモーニングスターを振り回すパワフルな戦闘スタイル。双子の姉であるラムを敬愛しており、彼女の障害となると判断した存在に対しては容赦が無い。また、『魔女の残り香』に関しては人一倍に敏感で、スバルから漂うその匂いにいち早く気づいたため、魔獣騒動のループの際はスバルを魔女教の一味と判断し、モーニングスターで襲撃した。
スバルに対して好意を抱き、惜しみない愛情を向けているが、それと同時に彼に『自分の理想の英雄像』を重ねており、第三章にてスバルが自分の運命から逃避しようとした時には彼を拒絶し、再び運命に立ち向かうことを促した。スバルに絶大の信頼を寄せる彼女の存在は、スバルにとって大きな心の支えとなっている。白鯨討伐を果たし、王都に帰還していた道中、突然現れた魔女教大罪司教『強欲』レグルス・コルニアスと『暴食』ライ・バテンカイトスに襲撃され、暴食の権能により名前と記憶を奪われてしまい、スバル以外の周囲からは存在を忘れられ、現在は抜け殻のような状態のまま眠りについていたが、ラムがバテンカイトスを討ち取ったことにより、記憶を失った状態で目を覚ましたが、スバル、ルイとともにヴォラキア帝国に転移させられる。死のループに背を向けたスバルと共に駆け落ちした未来を描いたIFストーリーにおいては、カララギで彼と結婚し、リゲルとスピカという名前の2人の子供を授かり、幸せな家庭を築いている。

ラム 声 - 村川梨衣

桃髪のロズワール邸のメイドの少女。双子のレムの姉。2月2日生まれ。17歳。一人称は「ラム」。スバルのことは「バルス」と呼ぶ。レムよりメイドのスキルは低い。傲岸不遜な態度で隠しているが、その実面倒見のいい性格。毒舌家で、特にスバルには容赦なく毒を吐くが、その一方で彼のことをある程度は評価している。主人であるロズワールに主従を越えた親愛を抱いており、彼の意思がラムの行動原理となっている。妹のレムのことも大切に思っており、第二章でレムが衰弱死した際には正気を失うほど動揺した。風の魔法を使うことができ、風の刃で相手の急所を狙ったり、風で飛び上がって愛用の杖で戦ったりすることもできる。また、自身と波長の合うものと視界を共有し、遠方までも見通すことができる「千里眼の加護」を持つ。亜人の一種である『鬼族』の生き残りであるが、かつて故郷が魔女教に襲撃された際、大気中のマナを吸収するための「角」を失っているため、ロズワールほどの大魔術師によって定期的にマナを供給されなければ生きることができない身体となっている。彼女が失った「角」は歴代の鬼族の中でも稀代の美しさとマナ吸収力を誇っており、そのため本来は忌子として殺されるはずだったラムとレムは生かされることになった。ツノを持っていた時はロズワールをも上回る戦闘力を持っており、魔女教徒を子供ながらに1人で相手取れるほどであった。角を失って以降は日常的にマナ不足による不調と苦痛に苛まれており、それがメイドとして十全に働くことが難しい理由の1つである。

ベアトリス 声 - 新井里美

豪奢なフリル付きドレスを着た幼い少女。人形のような愛らしい容姿をしており、金髪をドリル状にしたツインテールにしている。普段はロズワールの屋敷にある『禁書庫』と呼ばれる部屋におり、司書を務めている。「扉渡り」の能力で屋敷内の部屋の扉を自由に移動することが出来る。愛称は「ベティー」「ベア子」など。周囲には高圧的な態度をとっているが、実際はお人好しで、文句を言いながらも周りの世話を焼いてしまうお節介な性質。また、傍若無人な振る舞いとは裏腹に、素直になれない寂しがり屋でもあり、可愛いものが好き。その正体はエキドナに作られた人工精霊であり、陰属性の魔法を中心に強力かつ多様な魔法を使用することができる。エキドナと400年前に交わした約束に従い、とある人物が禁書庫を訪れるまで独りで待ち続けていた。孤独感と、いつまでたっても『その人』が現れないことに絶望し、次第に自暴自棄となっていったが、後にスバルの説得によって禁書庫を出て彼と契約する。自分と同じくエキドナに作られたパックを「にーちゃ」と呼び慕っており、彼の前では無邪気な顔を見せる。スバルとの契約後は、彼から供給されるマナを自らの源にしているため行動を共にすることが多い。スバルに心を開き、彼からも娘のように可愛がられている。スピンオフである「学園リゼロ」においては、スバルの妹という設定である。

ロズワール・L・メイザース
声 - 子安武人

9月16日生まれ。道化の化粧をした変わり者の貴族。所々を伸ばした間の抜けた喋り方をする。宮廷筆頭魔術師で、その称号の通り王宮一の魔術師であり、彼一人で軍隊に匹敵するほどの力を持つ。「魔導の加護」を持ち、六属性のマナすべてに適性がある上、マナの量も事実上無尽蔵であり、絶大な戦闘力を誇るが、唯一回復魔法は使うことができない。空を飛ぶこともできる。また、ある程度の格闘術も収めており、不意打ちとはいえガーフィールとラムを一撃で殺せるほどの実力。右眼が青、左目が黄色のオッドアイ。ロズワールの名は世襲制であり、その名は400年前から代々受け継がれている。しかし実は受け継いでいるのは名前だけではなく、初代ロズワールが自分の意識を子孫の肉体に移すことに成功して以来ずっと子孫に乗り移り続けているため、400年前のロズワールと精神的に同一人物。道化師の化粧は自らの役目を全うする覚悟としてする「戦装束」のようなものだと語る。初代ロズワールは、エキドナに師事しており、この頃から高い魔術の才能を見せていたが、ヘクトール戦において重傷を負って以降はゲートに深刻な後遺症が残り、日常生活にも支障の出る体となってしまう。それ以降は死ぬまでベアトリスの禁書庫に通い、エキドナの意識移植の資料を読み漁っていた。両目が黄色。エキドナに懸想しており、彼女が遺した叡智の書の通りに行動することで彼女を墓所から解放しようとしている。叡智の書によってスバルが「世界をやり直す」能力を持つことを知っているため、敢えてエミリアたちを窮地に追いやることでスバルを苦難に晒し、エミリアだけを守る騎士に仕立て上げようとしている。ただし、『死に戻り』の全容を知っているわけではないため、スバルの持つ力のすべてを知るまでは彼に直接手を下そうとはしない。一連の行動が陣営中に露見して以降、本人の言動も相まって、ラムを除くエミリア陣営の人物たちからはあまり信用されていない。第四章でスバルの説得と契約に従い福音書を捨てたが、引き換えにスバルには周囲の人々を守りきることを要求した。彼に何かを切り捨てて前に進むことを許さず、もしそうした場合スバル以外の全員を自らの魔法で殺し「やり直し」させると宣言している。

『怠惰』 ペテルギウス・ロマネコンティ(ジュース)声 - 松岡禎丞

濃い緑の髪をうなじ辺りで切り揃えた、痩せぎすの男。興奮すると自らの指を噛み砕くなどの自傷行為を躊躇なく行い、気の触れた素振りと物言いをする狂人。「脳が震える」が口癖。魔女教創設者の1人であり、嫉妬の魔女サテラの狂信者。これまで少なくとも数百年を生きてきた。その名に冠した『怠惰』が全く似つかわしくないほどに「勤勉であること」をなによりも尊んでおり、その身に携えた福音書の記述どおりに行動することで魔女の寵愛に応えることを至上の悦びとしている。大罪司教の中でもっとも出現頻度が高く、かつもっとも危険な存在として人々に恐れられる。怠惰の魔女因子の権能は『見えざる手』と『怠惰』。『見えざる手』は文字通り不可視の手を自在に操るというもので、同時に数十本も出せるうえに射程も長く、人体を容易に引きちぎってしまうほどの膂力を持つ。しかし、なぜかスバルだけはこの『見えざる手』を目視することができる。また、目視はできないが物質的には実体を持つため、砂などの粉末状のものを空中に撒き散らし、手に触れた砂の動きを観察することである程度手の動きを捕捉することは可能。『怠惰』は、精霊との親和性が低い者を一時的に狂わせ、戦闘不能にすることができる能力。その正体は邪精霊であり、肉体は彼に乗っ取られたものである。現在の肉体が生命活動を維持できなくなると、「指先」と呼ぶ適合する肉体のストックか、周囲で条件に合致する人間と一方的な契約を結ぶことで、新たな肉体に乗り移ってきた。その出自ゆえに肉体を通して得られる五感全てを快感としており、生の実感が強く味わえるという理由から痛覚を刺激することを特に好む。幾度となくスバルを死に追いやり苦しめたが、死に戻りによって対抗策を講じられたことで敗北、死亡した。100年前は魔女教の穏健派筆頭であり、理性的で落ち着いた物腰の人格者だった。エミリアとその叔母にして養母でもあるフォルトナとも仲睦まじく、彼女らからは「ジュース」という愛称で呼ばれた。特にエミリアへの想いには並々ならぬものがあり、彼女の前ではしばしば感極まって落涙する姿を見せた。フリューゲルとも面識があるらしく、怠惰の魔女因子を取り込む際に許しを乞うている。エルフの森がパンドラとレグルスに襲撃された際、エミリアたちを護るため、自らに適性がないにも関わらず怠惰の魔女因子を取り込み、身体が崩壊するのも厭わずに立ち向かう。しかしパンドラの策に嵌って敬愛するフォルトナを自ら殺害したことで正気を失い、魔女への愛に狂った狂人へと変貌した。スバルに倒されたあともペテルギウスの意識は魔女因子(見えざる手)の中に微かに残留しているようで、それがエミリアを救い、レグルスを打倒する一助となったことが仄めかされている。ジュースと大罪司教のペテルギウスが同一人物であることをスバルやエミリアが知っている描写は無い。

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