『現実主義勇者の王国再建記シリーズ』【2021年夏、2022春アニメ/漫画/ラノベ】
【コメント】
2024年6月17日投稿
全26話Netflixで観ました。すごく勉強になりました。小中学生は特に観て欲しい、自分のやりたいことが分からない高校大学生、時間のある高齢者にもぜひ観て欲しい作品です。
異世界の物語ですが、現実的な国のあるべき姿を追い求める内容が楽しく描かれています。
まず、人材を広く募集する手段として魔法の街頭テレビのような魔道具を使って広め、食糧、娯楽から民の心を掴む。このあたり日本政府は、インターネットの使い方をもっと考えて欲しいと考えさせられてしまうなど、冒頭から様々な経済、環境、医療問題まで細かく展開されていきますが、ラブコメでもあり、笑えて、泣けて、学べる名作でした。
アニメはまだ途中ですが、第3期以降も続けて欲しいです。では、また。
【作品情報】
『現実主義勇者の王国再建記』、どぜう丸氏のラノベル。略称は「現国」。小説の他にも、漫画化・アニメ化など展開中。
現実日本にいた主人公が、異世界に勇者召喚されて、召喚した王国から王位を譲位され、そして国の再建を押し付けられることから始まる物語。政治思想家マキャベッリの君主論を愛読する現実主義な青年が、国王として富国強兵策を行っていく。
勇者となって魔物達と戦う物語ではなく、王国運営する物語で、食料問題、衛生管理、反逆者や腐敗貴族問題、敵国の首都占領、奴隷問題、医療の発展、難民問題、科学などの国改造、他国との外交、怪獣や感染症の対策などの内政が描かれている。
【あらすじ】
プロローグ
文庫本:1巻(第1話)、アニメ:第1部(第1話)、漫画:1巻(第1話)
作中年月:大陸暦1546年4月
現代日本に住む相馬一也は、自身の大学の合格発表を見届けるようにして亡くなった最後の肉親である祖父が遺した、「家族を持ち、その家族をなにがあっても守り抜く」ことを約束し、新たな生活をはじめるはずだった。
目の前には、RPGのオープニングに出てきそうな、お城の風景だった。
「おお、勇者よ! よくぞ我が呼びかけに応えてくれた」
そう言ったのはエルフリーデン国王アルベルト・エルフリーデン、周囲には王妃のエリシャ・エルフリーデン、宰相のマルクス、沢山の兵士たちや、文官らしき人も居る。
彼らはソーマに、この世界や国について説明した。
この超大陸ランディアには様々な国があり、人間以外にも獣人、エルフ、ドワーフ、半竜人(ドラゴニュート)などの種族が居る。
十年ほど前(大陸暦1536年頃)、大陸の北の果てに魔界と言われる空間が出現し、魔物が大量に湧きだし、大陸北方の国々を大混乱に陥らせた。各国は討伐軍を編成し魔界へ乗り込んだが、討伐軍は壊滅した。魔界には知能が低い魔物と、知能があり強力な戦闘力を誇る魔族が居るらしく、此の被害は魔族によるものだった。
そして、未確認ながらも魔界には魔族たちを統べる魔王の存在も囁かれている。この戦いの後、主力軍を失った各国に魔物を防ぐ余力はなく、現在の魔界勢力は大陸の三分の一を占めるまでに至った(魔王領)。戦線が拡大し、魔物の数が分散したことで戦線を維持できるようになったが、現在は膠着状態にある。
ソーマを召喚したエルフリーデン王国は、国力に乏しく、食糧難などの問題で衰退していた。しかし、大陸一番の領土を誇るグラン・ケイオス帝国は魔王領と国境を面していない国に対し、戦争支援要請をしている。勿論、王国に支援金など払えないこと。
支援金を払えない王国に対して帝国は、『勇者召喚の儀で召喚した勇者を引き渡すものでも良い』と言いだし、王国は勇者を召喚した。そして召喚されたのが相馬一也(ソーマ・カズヤ)だった。
帝国に引き渡されると不安に感じたソーマは富国強兵案を言いだし、王国に『勇者を引き渡させない選択』を取らせようと、アルベルトとマルクス、ソーマの三人で2日に渡って会談をした。
会談後、アルベルトの口から発せられた「我、エルフリーデン王国第十三代国王アルベルト・エルフリーデンはここに退位し、王位を召喚されし勇者ソーマ・カズヤに譲る! また我が娘リーシア・エルフリーデンとソーマ殿の婚約を、ここに、重ねて発表する!」
王国再建活動、1週間戦争
文庫本:1巻 - 3巻、アニメ:第1部(第2話 - 第13話)・第2部(第14話 - 第18話)、漫画:1巻 - 8巻(第2話 - 第41話)
作中年月:大陸暦1546年5月 - 11月
大陸暦1546年、国王となったソーマは、リーシアと共に国を立て直すために、まず有能な人員をかき集めるところから始める。人材集めで仲間になったのは、王国一の武を誇るダークエルフのアイーシャ・ウドガルド、怜悧な頭脳を持つハクヤ・クオンミン、大食いのポンチョ・イシヅカ・パナコッタ、歌姫のジュナ・ドーマ、動物と意思疎通できる少女トモエ・イヌイだった。彼らと共に、食糧難の解決、新都市建設、王国中の道路建設、神護の森で起きた災害救助などを行う(アニメ第1部:第2話 - 第8話)。
そんな中、三公のゲオルグ・カーマイン、カストール・バルガスがソーマに反逆を起こす。これを機に、アミドニア公国軍が侵攻してくるも、ソーマはこの三勢力を退ける。3つの場所で同時に戦いが行われていたので三正面戦争、あるいはその短さから1週間戦争と呼ばれる(アニメ第1部:第9話 - 第12話)。
この戦いでアミドニア公国首都ヴァンを占領していたが、グラン・ケイオス帝国の介入で返還する。しかし、これを機にグラン・ケイオス帝国とエルフリーデン王国の上層部同士で秘密同盟を結ぶ。これ以降、帝国女皇のマリア・ユーフォリア、帝国陸軍総帥のジャンヌ・ユーフォリアはソーマ達にとって盟友となる。1週間戦争の報奨で、アイーシャ、ジュナがソーマの婚約者となる。戦犯となったゲオルグは毒酒で自害し(実際はカゲトラとして生きている)、カストールはエクセル預かりとなり、同じくソーマに反逆したカルラ・バルガスは王族所有奴隷兼侍従となる(アニメ第1部第12話・第13話、第2部第14話 - 第18話)。
フリードニア王国建国
文庫本:4巻、アニメ:第2部(第19話 - 第26話)、
作中年月:大陸暦1546年11月 - 12月32日
戦後処理を終えたソーマやリーシア達は、超科学者ジーニャ・マクスウェルと会っていた。
一方アミドニア公国では、新たに公王となったユリウス・アミドニアが先代より続けた圧政、ルナリア正教皇国の介入、アミドニア公女ロロア・アミドニアによって、内乱が起きる。これによってユリウスは追放され、グラン・ケイオス帝国に亡命する。アミドニア公国全土からの要請で、エルフリーデン王国は公国を併合することになり、エルフリーデン及びアミドニア連合王国(通称フリードニア王国)が建国される。これを機にロロアがソーマの婚約者となる。
その後は奴隷商の公務員化、職業訓練所の設立、パルナム国立博物館への訪問、難民問題の解決、年末紅白歌合戦などを行う。最後にソーマはアルベルトから国王を譲った訳を聞く。事情を話したアルベルトとエリシャは王国山間部の旧領で隠居する。こうして新年を迎える。
「現実主義勇者の王国改造記」編
文庫本:5巻 - 10巻、アニメ:第2部(第25話)
作中年月:大陸暦1547年1月 - 大陸暦1548年4月
フリードニア王国となって初めて迎える新年の挨拶から始まる。
啓蒙活動(教育番組など)、軍備増強、花嫁育成講座、宗教国家との外交、宗教との付き合い方、竜国への外遊、龍との契約、付き合いのない極寒国との外交、三国医療同盟結束、魔物大量発生による被害、他国への援軍派遣、以前敵対した者との共闘、将来強大な敵となる王との出会い、将来有望な者のスカウト、穿孔機の共同研究、結婚式・戴冠式などが描かれる。
啓蒙活動、外国3カ国との交流
文庫本:5巻 - 7巻
作中年月:大陸暦1547年1月 - 8月
大陸暦1547年、フリードニア王国となって初めて迎える最初の年、ソーマは啓蒙活動、軍備強化などを行う。同時期にルナリア正教皇国の聖女メアリ・ヴァレンティが派遣され、ルナリア正教を国教化して欲しいと依頼される。これに対し、ソーマ達は破戒司教ソージ・レスターを派遣してもらい、国内の全宗教を国教化、春告祭のイベントを開催する。
その後、ソーマはこの世界について知る為、他国に外遊することになる。まずは星竜連峰に行き、龍であるナデン・デラールと出会い、婚約者に迎える。その時、黒い立方体により、星竜連峰で嵐が来るが、ソーマ達によって収まる。
星竜連峰から帰国後、次はトルギス共和国に行き、そこで共和国元首の息子であるクー・タイセー達と出会う。そこで共和国と国交を結び、帝国も交えて三国医療同盟を結成する。また父ゴウランの意向でクーが幼馴染でもあるタル、レポリナを連れて、フリードニア王国に行くことになる。
東方諸国連合の魔浪、新たな出会い
文庫本:8巻 - 9巻
作中年月:大陸暦1547年9月 - 大陸暦1548年1月
魔王領から日ごとに魔物が大量発生し、魔物が押し寄せて各国が襲撃されていた。これが魔浪と呼ばれる現象だった。
魔王領に隣接しているグラン・ケイオス帝国、東方諸国連合、ノートゥン竜騎士王国では魔浪による被害を受けていた。帝国は西・北で従っている国々を守り、竜騎士王国は自国の竜騎士で凌いでいた。
グラン・ケイオス帝国の要請、フリードニア王国は東方諸国連合のラスタニア王国とチマ公国に援軍を出すことになった。
同時期に1週間戦争で敵対した元アミドニア公子ユリウス・アミドニアから、自らの首と引き替えでも構わないので、ラスタニア王国への援軍を要請されていた。
ラスタニア王国主都ラスタでは籠城状態で、ユリウスの指揮、フリードニア王国から来た難民ジルコマ、ラスタニア王国兵士長ローレン・フランの武勇で凌いでいたが、備蓄も無くなりつつあった。敗北寸前のところでソーマ達フリードニア王国軍が到着し、ソーマとロロアは、ユリウスと1年ぶりの再会を果たし、和解する。また、シィル・ムント王女率いるノートゥン竜騎士王国の援軍も加わり、ラスタニア王国での魔浪を治める。
ラスタニア王国を後にし、フリードニア王国軍はチマ公国に向かう。そこで東方諸国連合の1つ、草原遊牧国家マルムキタンの王であるフウガ・ハーン、その妹のユリガ・ハーン、チマ家の末子イチハ・チマ、チマ家の長姉ムツミ・チマと出会う。チマ公国では早々に魔物に勝利し、フウガの本音を聞いたソーマは改めて警戒すべき人物となった。報奨獲得場では、フウガはムツミと婚約し、ソーマはイチハを留学名目でスカウトする。その翌日、フウガは自身の野望にユリガを巻き込ませない為に、ユリガをソーマに預ける。そして、ソーマ達はフリードニア王国に帰国した。
戴冠式・合同結婚式
文庫本:10巻
作中年月:大陸暦1548年1月 - 4月
大陸暦1548年、フリードニア王国では戴冠式・結婚式が開催される。これでソーマは正式に国王に、リーシア、アイーシャ、ジュナ、ロロア、ナデンは王妃となる。
ラスタニア王国でもユリウスとティアの結婚式が行われていた。
草原遊牧国家マルムキタンでは、フウガ達が国内の敵対勢力を殲滅し、フウガとムツミの婚約の儀が行われていた。
「現実主義勇者の大国建造記」編
文庫本:11巻 - 15巻
作中年月:大陸暦1548年4月 - 大陸暦1550年9月
定礎活動(東西リアル歌合戦、魔物学シンポジウムなど)、傭兵国家との交流、帝国との直接会談、九頭龍諸島連合との緊張状態、怪獣による被害、二国の緊張状態からの共闘、海洋同盟の結束、東方諸国連合統一戦争(反対・中立派の駆逐、裏切り、亡命など)、新たな王国建国、未知の病原体発生とそれによる主要国首脳会議などが描かれる。
定礎活動、直接会談
文庫本:11巻 - 12巻章末話
作中年月:大陸暦1548年4月 - 12月
トモエ、イチハ、ユリガは王立アカデミーに入学し、ダークエルフのヴェルザ、ロロアファンのルーシーと友達となる。その頃のフリードニア王国では、東西対抗歌合戦、魔物学シンポジウム、オバケ祭りなどが行われていた。
傭兵国家ゼムの国王からの招待を受けたが、傭兵を信用しないソーマは断るつもりだった。しかし、ゼムの使者が、1週間戦争で自害したゲオルグ・カーマインの娘であるミオ・カーマインであり、彼女の真意を知る為、ソーマらは傭兵国家ゼムに行く。武術大会で優勝したミオの真意は、父・ゲオルグがなぜ反乱を起こしたのかを再調査願いだった。ソーマはそのことを確約し、ミオは帰国することになった。武術大会終了後、マリア達帝国首脳陣との会談をし、九頭龍諸島連合に軍を派遣することを話す。その時の貸しとしてマリアは縁起でもない約束をソーマとする。ソーマの帰国後、一部脚色された上で公表され、ゲオルグの名誉は回復する。
親子島沖海戦(オオヤミズチ退治戦)、海洋同盟の発足
文庫本:12巻章末話 - 13巻
作中年月:大陸暦1548年12月 - 大陸暦1549年2月
フリードニア王国と、南の九頭龍諸島連合で小競り合いが発生し、戦争する噂が流れる。実は九頭龍諸島連合では、怪物オオヤミズチによる被害で、九頭龍王シャナ公認でフリードニア王国で密漁せざるを得ない状況になっていた。九頭龍王シャナの娘であるシャ・ボン、双子島の島主であるキ・シュンがフリードニア王国に訪問し、各島で独立心の強い九頭龍諸島連合が一致団結できない為、フリードニア王国に協力をお願いする。
フリードニア王国と九頭龍諸島連合の艦隊が向き合い、開戦寸前になった。しかし、裏でつながっていたソーマとシャナが諸島連合各島の一致団結を図ったことにより、フリードニア王国と九頭龍諸島連合で協力し、オオヤミズチを退治する(オオヤミズチ退治戦、または親子島沖海戦)。
この責任を取ってシャナは九頭龍王を退位し、シャボンは九頭龍女王に、キシュンは宰相になる。これを機に、フリードニア王国、九頭龍諸島連合、トルギス共和国の間で海洋同盟を結ぶ。
東方諸国連合統一戦争、ハーン大虎王国建国
文庫本:14巻
作中年月:大陸暦1549年5月 - 大陸暦1550年1月
フウガ率いるマルムキタン勢力(フウガ派)が魔王領(魔物の領域)を少しずつ解放していた。これにより、フウガを最高指導者とした東方諸国連合統一国家を求める声が大きくなっていく。それに反対する勢力、中立派がいたが、フウガ派は駆逐する。これに伴い、ユリウス達ラスタニア王国の一部関係者ら40名、イチハの次姉サミ・チマはフリードニア王国に亡命する。
ルナリア正教皇国でも、フウガに従うか反発するかで動乱が起こる。この動乱から逃れる為、メアリ・ヴァレンティ率いる神官、聖女候補の少女の80名は事前準備していたソーマやシィル達ノートゥン竜騎士王国によって、フリードニア王国に亡命する。
こうしてフウガ派は東方諸国連合を統一し、ハーン大虎王国を建国する。セバル平原でフウガ派と反フウガ派の衝突、東方諸国連合の統一を急ぐハシムの中立派国王の謀殺、ユリウス達亡命時の竜騎士王国とフウガ達精鋭部隊の衝突、これらを称して東方諸国連合統一戦争、あるいは東方諸国連合統一の戦いと呼ばれる。
ユリウスはソーマに仕えることになり、ソージは大司教となって正教皇国から切り離して王国ルナリア正教として動き、メアリもソージの補佐役となる。
姉・ムツミの依頼でフリードニア王国にサミを送り届けたニケ・チマは、クーにスカウトされる。そのニケを連れたクーは、タル、レポリナと共に、共和国に戻る。
精霊王の呪い、バルム・サミット
文庫本:15巻
作中年月:大陸暦1550年1月 - 9月
大陸暦1550年、ガーラン精霊王国から依頼を受けたハーン大虎王国はガーラン精霊王国の父なる島を奪還し、大虎王国の支配領域にしたが、精霊王の呪いと呼ばれる原因不明の病が流行る。
フウガの嘆願により、ハーン大虎王国とフリードニア王国が共同調査することになった。そんな中、ガーラン精霊王国のゲルラ・ガーラン本人の希望で彼の遺体を人体解剖したこと、父なる島での調査により、精霊王の呪いは魔虫症(潜血魔虫蝕症)と呼ばれる魔物からの感染症だと判明する。
その後ソーマは、超大陸ランディアの主要6カ国であるフリードニア王国、グラン・ケイオス帝国、ハーン大虎王国、トルギス共和国、九頭龍諸島連合、ノートゥン竜騎士王国でバルム・サミットと呼ばれる首脳会談を行い、魔虫症の対処するように動く。
「現実主義勇者の帝国建立記」編
文庫本:16巻 -
作中年月:大陸暦1552年4月 -
精霊王の呪い発生時から2年後から始まる。揺らいでいる帝国(2大派閥、急な制度廃止、災害、属国二国の独立運動など)、それに端を発した2大勢力の衝突(大虎ケイオス戦争)、裏切り、海洋同盟の武力介入、停戦協議、敗戦した帝国の後処理、同君連合の誕生、2度目の合同結婚式、魔王領への侵攻、未知の魔族(シーディアン)との交流、世界の成り立ちなどが描かれる。
大虎ケイオス戦争、二大勢力拮抗時代への突入
文庫本:16巻 - 17巻第3章
作中年月:大陸暦1552年4月 - 12月
大陸暦1552年、精霊王の呪い発生から2年間は、人類宣言、海洋同盟、フウガ派の三勢力が足並みを揃えたことで平穏だった。
フリードニア王国は他国との交易や技術開発などを進めており、トルギス共和国はクーの結婚式が行われており、九頭龍諸島連合は中央集権化が進んで、九頭龍諸島王国となった。竜との契約上、どの勢力にも属さないノートゥン竜騎士王国では竜騎士を運び屋として運営する。
ハーン大虎王国は、傭兵国家ゼムを同盟に加えて、力を蓄えていた。内政官僚を得る為に、フリードニア王国かグラン・ケイオス帝国と戦争することを企んでいた。
グラン・ケイオス帝国では、上層部の間で現状維持派と強硬派に分かれ、奴隷制度廃止、災害、属国二国(フラクト連邦共和国、メルトニア王国)の独立運動などで揺らいでいた。ソーマはフウガの意向(実際はユリガやリーシア達王妃によってフリードニア王国と争わない為に煽られたこと)によって、ユリガと婚約することになる。フウガが帝国に宣戦布告し、ハーン大虎王国、ルナリア正教皇国、傭兵国家ゼムの3カ国が帝国東部・北部から侵攻する(大虎ケイオス戦争)。
帝国東部はジャモーナ城塞でジャンヌやギュンター達帝国軍が防いでいたが、帝国北部の強硬派の裏切りで、帝都ヴァロアがフウガ軍に包囲され、国家滅亡の危機に陥る。しかし、ソーマがマリアと交わした縁起でもない約束を果たす為、海洋同盟を帝国に加勢させたことで停戦する。
この結果、ハーン大虎王国は領土拡大、内政官僚と支配地域の領主となれる人材を確保する。グラン・ケイオス帝国は解体され、人類宣言は解散する。そしてユーフォリア王国となり、海洋同盟に加わる。これに伴い、マリアは退位しソーマと婚約する。ユーフォリア女王となったジャンヌは、ハクヤと婚約する。フリードニア王国とユーフォリア王国は別々の国でありながら、一つの国として動くことになった。人々はこの二つにして一つの国を、グラン・フリードニア帝国と称され、ソーマをフリードニア皇帝と呼ぶようになる。
トルギス共和国はこの戦争で傭兵国家ゼム南部都市2つを獲得し、名実共に共和国の都市として組み込む。
力をつけた海洋同盟に対抗する為、ハシムの献策でハーン大虎王国はハーン大虎帝国となり、フウガは大虎帝を名乗る。以降は海洋同盟とハーン大虎帝国の二大勢力が拮抗する時代となった。
魔王領解放戦争、魔族(シーディアン)との交流
文庫本:17巻第4章-おまけ話
作中年月:大陸暦1553年1月 - 11月
大陸暦1553年、フリードニア王国とユーフォリア王国で結婚式の開催、トモエとイチハの婚約発表が行われていた。
フウガ派陣営は、傭兵国家ゼムをハーン大虎帝国ゼム地方として取り込む。ルナリア正教皇国は、フウガ支持派の分裂騒動によって大虎帝国に直接支配されることとなった。
その後、フウガの魔王領完全解放の協力要請により、ソーマ達海洋同盟は魔族に関する情報収集をする。
大陸暦1553年11月、魔王領解放戦争が勃発し、大虎帝国軍は陸地から魔王領の奥地へと向かって進軍を開始するも、巨大キノコ型兵器による被害を受ける。その途中、星竜連峰からの要請で援軍に来たノートゥン竜騎士王国軍と共に大虎帝国軍は兵器を撃破する。
一方海洋同盟もフリードニア王国と九頭龍諸島王国の連合艦隊で、海路から北の果てを目指し、ジャンガル兵器と遭遇する。言葉が通じないことの弊害、九頭龍諸島の艦が緊張状態に耐えられずに動いたことにより、被害を受ける。しかし、その場に現れた聖母竜ティアマトと黒い立方体により、戦闘中止となる。
ティアマトによってソーマらは魔族の都市ハーザルに転送され、黒い立方体の正体にして、魔族を率いる電脳の歌姫(ディーバロイド)MAO(マオ)、コボルトのガロガロ、ジルコマと同じ民族のポコ、バンピールのラビン・ゴア、リザードマンのククドラと対面する。
魔族とは、北の海にある様々な島に住んでいる海の民シーディアンであった。しかし、北で不具合を起こしていたダンジョンが魔物を吐き出し続け、一つの島まで追い詰められて、超大陸ランディアへと転移してきた。
世界の成り立ちを知り、ソーマの血筋により魔物が出てくる転移ゲートを閉じた。これで北半球から魔物が入ってくることを防ぐことができ、魔浪も起きなくなった。
トモエは昔会った老コボルトのガルルン・バートルと再会し、フリードニア王国陣営とシーディアン陣営で親睦を深める。
一方ソーマは、フウガ、MAOと共に、海洋同盟・大虎帝国・シーディアンとの間で停戦内容をまとめる。交渉終了後、北の世界に興味を持ったフウガは、南をまとめて北の世界に乗り出すと語る。それは大虎帝国と海洋同盟との対決することを示唆していた。フウガ派の侵攻に備える為、ソーマ達はシーディアン達と別れ、フリードニア王国に帰還する。