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中国・ロシアがグローバルサウスの信頼を得る

 今回は脱炭素の話ではないのだが、最近気になっていることを書き留めておこうと思う。

 中東・アフリカでの中国の存在感がこれまでにないほど高まっている、ということだ。ついこの数日でも下記のようにいくつもの話題が上がっている。

・サウジアラムコと栄勝石油化学、サウジアラムコ・ジュバイル製油所(SASREF)拡張で枠組み合意
https://www.offshore-technology.com/news/aramco-rongsheng-petrochemical-framework-agreement-sasref/
(写真は北京で行われた、たアラムコと栄勝石油化学の開発契約調印式)

・中国企業、イラクに廃棄物処理施設の建設を提案
https://www.zawya.com/en/projects/industry/chinese-firm-offers-to-build-waste-treatment-plant-in-iraq-qrmx4yly

・中国企業がモロッコの鉄道契約でフランス企業に勝利
https://www.zawya.com/en/projects/construction/chinese-firm-beats-french-bidder-for-morocco-rail-deal-p0pbb80m

さらにサウジアラムコは中国での石油精製・石油化学統合コンプレックス計画で、建設を開始した。
https://www.zawya.com/en/business/energy/sinopec-saudi-aramco-start-building-petrochemical-complex-in-chinas-fujian-cwg1iw84

 今になって急速に中国の足跡が中東・アフリカで目立ってきたわけではない。淡水化設備や、各種エネルギー設備、都市開発、交通などあらゆるプロジェクトで中国は投資を行ってきた。
 また、カタールとはLNGの長期契約も交わしているなど、中国と中東・アフリカの関連は深まるばかり。

 振り返って日本は「グローバルサウス」を取り込むなど、口先では必死に言っているものの、実際の行動は東南アジア程度にとどまっており、中東・アフリカでの活動は乏しい。
 グローバルサウスは中国が席巻しつつある、という認識が必要だ。

  米国でトランプ政権が再び動き出すと、イスラエルを止める力が西側にはまったく無くなる。これによってグローバルサウスはより中国やロシア側に寄っていくことになる。世界は西側社会より、中国・ロシアが主導する社会へと進み、それが大勢となる可能性が高い。

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立は、融資額としてはアジア開発銀行には及ばないが、グローバルサウスにとって重要な意味を持つ。ADBでは融資対象とならない国や案件でも融資が可能であり、それはグローバルサウスのニーズに沿ったもの。AIIBに参加しなかったのは、米国への忠義ではあるが、グローバルサウスを取り込むという点では失策だったと言える。

 現状のまま進めば、世界は中国・ロシアが中枢となっていくのではないか。そういう感覚が最近、ますます強くなっている。

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