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エリザベス・キュブラー・ロス「死ぬ瞬間」を読む

こんにちは!
ナース•マヤです。

エリザベス・キュブラー・ロス?
あぁ、あの死を受容するまでの5段階を説いた人よね?
と思ったあなた!

看護師さんですか?
看護学生さんですか?
え?どちらでもない?

・・・いずれにせよ、大正解です!

エリザベス・キュブラー・ロスは、

看護学校で必ず習い、

看護師国家試験でも頻出問題として挙げられる、

死にゆく人の心理過程を

①否認
②怒り
③取引
④抑うつ
⑤受容

の5段階モデルを示したことで有名なスイスの女医さんです。

エリザベスキュブラーロス

この5段階モデルは有名なので、ご存知の方も多いかと思いますが、
実際に彼女の書いた「死ぬ瞬間」を読んだ、という方は少数派ではないでしょうか?

私も読んでいませんでした。
たまたま今回、ブックオフで見つけたので、買って読んでみました。

読む前は、

国試頻出の人の本だし、なんか、むつかしそーー
と思ってましたが、

素晴らしい言葉がたくさん散りばめられていました。

まず「死」について、彼女は冒頭でこう言っています。

だれもがこの問題を避けたいと思っている。しかしいずれは直面しなければならないのだ。すべての人が、いずれは自分も死ぬのだということをじっくり考えるようになれば、さまざまな面で変化が起こるはずだ。

確かに、私、自分の死についてじっくり考えてみることってほとんどありません。
でも100%の確率で私はいつか死にます。
これを読んでいるあなたも、100%いつか死にます。
生きているものは、必ず死を迎えます。
それが自然です。

他でもない、自分自身の死についてとことん考えてみることは、
悲観することでも、絶望することでもなく、
実は、その瞬間まで一生懸命生きることにつながっていきます。

より多くの人が、死とその過程を人生の本質的な過程のひとつと考え、妊娠•出産について話すのと同様に何のためらいもなく語り合うことができればいいのかもしれない。


以前、妊娠、出産の本を電車の中で読んでいると、
隣に座っていたおばちゃんが「あら?赤ちゃんがいるのね?うふふ」
と話しかけられましたが、

今回、「死ぬ瞬間」を電車の中で読んでいると、
隣のサラリーマンが「こいつ、大丈夫かよ・・・?」という目で
チラチラ見てきました。

「誕生」は素晴らしいけれど、「死」は忌み嫌われるもの、というバイアスを持ってしまっている人が多いですね。私も含めて。

多くの患者は、死とか死の過程という言葉はけっして使おうとしない。
使わなくても、話の中身はいつも死のことである。

「残念ですが、あなたはガンです。
最悪のステージで、治療は困難です」
もしそんなことでも言われたら・・・。
もう「死」というものが片時も頭から離れなくなってしまうのでは・・・?

死というものを突きつけられた時に初めて
「自分が死ぬ」ということを考えるのではなく、
元気で生きている今から、時間は有限であること、いつかは必ず死ぬことを意識し、そのために今を精一杯生きぬくことの大切さ。
それを、エリザベス・キュブラー・ロスはこの「死ぬ瞬間」で言いたかったのでしょう。

最後に、静かに、厳かな気持ちで以下を読みました。

言葉をこえる沈黙

患者の命が尽きる時がやってくる。痛みは消え、意識は遠のく。ほとんど何も食べなくなり、周囲のことも闇同然でわからなくなる。
そういうとき患者の近親は、病室の廊下を行ったり来たりして、その場を去って自分の生活に戻るべきか臨終にそなえて控えているべきか迷いながら、死を待つ苦しみに耐えている。(略)

「言葉をこえる沈黙」の中で臨死患者を看取るだけの強さと愛情をもった人は、死の瞬間とは恐ろしいものでも苦痛に満ちたものでもなく、身体機能の穏やかな停止であることわかるだろう。
人間の穏やかな死は、流れ星を思わせる。
広大な空に瞬く百万もの光の中のひとつが、一瞬明るく輝いたかと思うと無限の空に消えていく。

命というものについて、とことん考えさせられる名著でした。

以前「エリザベス・キュブラー・ロス?古い時代の人じゃん?」とバカな医学生が言っていたのを聞いたことがありますが、

内容は決して古びていません。古びるはずがないです。
たとえ時代が変わり、科学技術がいくら進歩しても、私たちは死からは決して逃れられません。

死を間近に控えた患者たちにとことん向かい合い、
死についてとことん考え、感じ尽くした人の言葉は重く、含蓄に富んでいます。

今、この瞬間を力強く生きるために、医療職の方々はもちろん、すべての方々が読んでおくべき名著だと思います。

本日も読んでくださってありがとうございます。
幸せのタネをおすそわけ致します!
たくさん素敵なお花が咲きますように!

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