見出し画像

moment作品紹介其の6 浅田トモシゲ エリトリア 

エチオピアとの30年にもおよぶ戦いの後、93年春に独立したアフリカの小国エリトリア。その後も2018年の和平成立まで国境紛争の続く中、
2006年の夏、私はエリトリアの地に降り立った。
イタリアの植民地でもあったエリトリアの街並みは古き良きヨーロッパを思わせていて、独特の淹れ方をするエスプレッソをポップコーンとともに振る舞うのが客人に対する一番のおもてなしだということだった。乾いた大地のあちこちには、かつてこの地に移住してきたイタリア人によって植えられたサボテンが現在も植生していて子供たちはその実を収穫し、道端などで売って家計を助けている。
「インジャラ」と呼ばれるエリトリアや周辺の国々の主食は酸味の強いピザ生地のようなものを、スパイスのきいた羊のモツや野菜などをつけあわせに食すのだが、癖が強くて私の口には合わなかった。植民地時代の面影と、アフリカの大陸的な風景が共存し、長い紛争から復興途上のけっして裕福とはいえない生活のなかで
子どもたちの瞳は、希望と平和な未来に向けて輝いていた。

以上著者ステートメントより。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?