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感応式信号

家の近所には感応式信号が設置されている交差点が2箇所ある。

感応式は、交通量が多くない交差点で車両が停止線辺りに止まったとき、その上にあるセンサーが反応して信号が青に変わるというもの。

クルマの場合は問題ないが、問題なのは原付バイクである。先頭に原付バイクが止まっている場合、センサーが反応しないことが多い。そのために信号機の手前にバイク用のボタンが設置されているのだが、それを押していないバイク乗りに結構な頻度で遭遇する。

その場合、信号は当然変わらない。バイク乗りはボーッと待ってる。いやいや、いくら待っても信号は変わらないのに。彼らは普段この交差点をちゃんと利用できているのか疑問に思う。

こちらのクルマをセンサーの下まで進めてもいいのだが、それだとバイクとの車間距離が圧倒的に狭くなり、こちらが煽っている感じに受け止められても嫌である。

仕方がないので私はクルマから降りて「ボタンを押さないと変わりませんよ」とバイク乗りに声をかけてボタンを押している。エンジン音でちゃんと聞こえているのか、理解できているのか不明ではあるが…

ある日、土砂降り雨の中その交差点に差し掛かると先頭に原付バイク。私は嫌な予感がしたが、しばらく待つ。信号は変わらない。

さすがに雨の中、ボタンを押すために車外に出たくないので、仕方なくクラクションを軽く鳴らした。

バイク乗りはバイクを前に進める。

いやいや、センサーから更に離れられても…

もう1回クラクションを軽く鳴らした。バイク乗りはバイクを更に前へ。

いやいや、あなたの左後ろにあるボタンを押してほしいだけなのです。

全く状況を理解してもらえないことに悲しくなった。

このままでは埒があかないので私は傘を持ってクルマから降りた。

すると、何を思ったのかバイク乗りは赤信号のまま交差点を左折していった。

予想外のバイク乗りの反応に私は驚いた。私はクルマに戻りクルマを停止線まで動かした。信号が直ぐに青に変わった。私も交差点を左折すると、赤信号のまま左折したバイクが走っていた。それも土砂降り雨の中を結構なスピードで。

私が想像するに、バイク乗りの立場からすれば、意味不明にクラクションを2回も鳴らされて傘を持った男がクルマから降りてきたわけで恐怖を感じた、ということだったのだろうか。

「殴られるとでも思ったのかな?」

と考えてしまった。あのバイク乗りはオバチャンぽかったが、これが血気盛んなお兄ちゃんなら一騒動になったかもと考えると、人に注意をすることの難しさを改めて思った。その日は天気と同様に気分もスッキリしない日になった。

あのオバチャンのバイク乗り、今でもあの交差点でボーッと待ってるのだろうか?それともボタンを押すことを覚えてくれたのであろうか?

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