ウイスキー製造(発酵について)
あけましておめでとうございます!
2024年一発目の投稿です。
このブログではウイスキー検定、コニサーを受験される方に少しでも役に立つ情報をお届けできるよう微力ながら発信していきます!
発酵で使用する用語
ウォッシュ
発酵モロミのこと
ウォッシュバック
発酵槽。木製、鉄、ステンレス製のものがある
アメリカではファーメンターと呼ぶ
酵母
イースト菌
ウイスキーではディスティラリー酵母がよく使われる
アミノ酸
タンパク質を分解したもの
アミノ酸が多いと軽い酒質になる
上面発酵
15℃~20℃で発酵し酵母が麦汁の上に浮き出てきます
フルーティで芳醇な味わいになる
下面発酵
4℃から9℃で発酵し酵母は下に沈みます
香り成分が少なくすっきりした味わい
発酵工程
・麦汁(ウォート)を冷却した後、発酵槽というウォッシュバックに移しアルコール7~9%のモロミに変える
なぜ冷却するのか?
20℃前後に冷却することにより酵母が活性化します
・ウイスキーの場合は酵母という微生物によってアルコールに分解されたものを言います
・糖化によってできた糖分、アミノ酸を酵母が食べアルコールと炭酸ガスに分解されます
※糖化編でお話しましたが糖には単糖類と多糖類があり、デンプン(多糖類)は分子量が大きく酵母が食べることができません。
単糖類は発酵性糖類
多糖類は非発酵性糖類
多糖類から単糖類に分解させることにより酵母がたべることができます
タンパク質からアミノ酸に分解することで酵母が食べ発酵します
2~4日かけて発酵させる
時間の経過とともに酵母増殖期→発酵最盛期→モロミ熟成期の順で進行していきます
酵母増殖期
酵母が糖、アミノ酸を食べて増殖する
アミノ酸糖は減少する
発酵最盛期
糖は減少し、炭酸ガス、エタノールが増加する
アミノ酸の減少とともに酵母の増殖も止まる
モロミ熟成期
非発酵性糖類を栄養源とし乳酸菌が増える
死滅した酵母菌体内からアミノ酸が流出し乳酸菌の栄養源となる
発酵槽(ウォッシュバック)
木桶タイプ
伝統的な木製タイプの発酵槽には様々な微生物が棲んでいるため複雑な風味が得られます
保温性に優れている
材質はオレゴンパイン、ダグラスファー、ミズナラ
ステンレスタイプ
近年増えているステンレスの発酵槽には清掃しやすいため微生物管理が容易というメリットがあります
ビールとウイスキー製造過程の違い
・ビールよりも多量の酵母を投入する
腐敗防止のため
酵母が優位な状態で発酵を行うため
・麦汁の煮沸を行わない
発酵中も糖化酵素が働くため酵母以外の微生物も活動する
・ビールに比べマッシュレイシオは薄め
(マッシュレイシオとは麦芽と仕込水の比率)
原料麦芽1:仕込み水4の割合で混ぜる
・糖化ではインフュージョン法を用いる
インフュージョン法とデコクション法
糖化工程でインフュージョン法とデコクション法という糖化方法があるのですが発酵にも大きな関りがあります
インフュージョン法
ウイスキーはインフュージョン法
一つの糖化槽で糖化、ろ過を行う方法
デコクション法
ビールはデコクション法
マッシュの一部を取り出して煮沸し、再度もとのマッシュに戻す手法です
これだけではわかりにくいのでもっと詳しく説明します
糖化酵素が最も働くのは65℃なのですがタンパク質分解酵素が最も働く温度は40℃~55℃です。
酵母は発酵性糖類である糖とアミノ酸を食べて発酵します。
65℃で糖化させるため糖化酵素は活性化されるがアミノ酸は少なくなって
しまい重いフルボディの酒質になる
タンパク質の分解は40℃~55℃なため酵母の栄養となるアミノ酸は失われ非発酵性糖類が残る
マッシュの一部を取り出して煮沸を行いもとのマッシュに戻すやり方です
50℃、65℃、75℃と段階的に温度を上げていきます
要するにアミノ酸と発酵性糖類が多いと軽いライトボディの酒質になります。
非発酵性糖類が多いと重くフルボディの酒質になります
おわりに
ウイスキー検定を受験される方は今回の説明を全て覚える必要はありません。特に2級と3級は全て選択問題のため、うろ覚えでもいいかもしれません。問題集を解いてわからないことがあれば参考にしていただく程度で構いません。
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