
テレクラ嬢日記①『テレフォンレディって何?』
介護の仕事で正社員をしていた私は、お金欲しさに何かアルバイトをしたいと思っていた。
飲食店で働く事も考えたが、ただでさえ介護の職場で人間関係に疲れているのに新たな人間関係を築くのがおっくうに感じていた。
そんな時、ネットサーフィンで色んな副業を探していたら、自分の隙間時間で稼げる職業として目に入ったのはチャットレディとテレフォンレディ。
チャットレディはパソコン上の画面で男性に顔を見られ、会話をするらしい。
私は容姿に自信が無いので稼げないと判断して、テレフォンレディの説明欄を開いた。
『電話で男性と会話して、お金を稼ぐ仕事。』
これなら、できるかもしれない。
私はすぐにネットサーフィンをして、テレフォンレディの大手の老舗の営業所を見つけた。
沢山の口コミを見て、安全だと判断したテレフォンレディの営業所。
チャットレディがメインらしいが、テレフォンレディも扱っているとの事。
私はすぐに専用のホームページにて、登録をした。
営業所にて面接の日取りが決まり、私は大阪の大都会まで電車で足んだ。
営業所は大通りから一本道を外れたビルの3階だった。
周りのビルにはキャバクラやらホストクラブがあり、道を歩いているのはスーツの男前か、ヒールの高い靴を履いた美女。
メガネに運動靴の私はその通りで明らかに浮いており、いつも以上の早足でそのビルのエレベーターを押した。
着いたフロアは白く清潔なフロアで、カラオケ屋かファミレスに置いてありそうなドリンクバーが備えつけられていた。
このビルの5階にはチャットレディやテレフォンレディが働く専用フロアがあり、おそらく働くレディ達は飲み放題なのだろう。
スタッフは若いスタッフが3人、おじさんのスタッフが2人。女性スタッフが3人程見えた。
名前を伝えるとカウンターにてジュースを提供され、事務的な手続きが慣れた手つきで30分程度で終わり、帰ろうとする私に女性スタッフが『登録終わりましたんで、今から働けますがどうしますか?』と聞かれた。
私は二つ返事で『今からやらせてください』と答えたのだ。
テレフォンレディってどんな仕事なんだろう?
少し悪い事をしているような気分に胸の鼓動が高鳴る。
普段は真面目な介護士である私が踏み入れた、未知の世界が手招きをしているように感じた。
『②へ続く』