わたしは小学校教諭をしています。
未来のためにできることとは?
という問いに、
子どものために勉強を教えることです。
とか、
子どもの成長を支えることです。
とか、そういう答えが出てきそうですが、
そんな単純なことではなさそうなので、
私自身、仕事で大事にしていることを改めて考えてみると未来のためにしていることがわかるかもと思いました。
やはり、改めて考えてみるとわかりました。笑
それは出会いを大切にすることです。
子供との出会い。
保護者との出会い。
地域の人との出会い。
そして、職場の人との出会いです。
「出会い」「一期一会」よく聞く言葉です。
人と人とがある場所で会う。一緒の教室にいる。
これも出会いです。
でも私の場合、こういう普通の物理的な出会いとはちょっと違う出会いです。
話がちょっと変わりますが、実は、私は仕事で何を大事にしてきたのか、はっきりとわかりませんでした。
しかし、ある書籍のおかげで言葉になりました。
書籍は東井義雄さんの「子どもの心に光を灯す」という書籍です。
この本の中に”粗末な出会い”という文章があります。
この文章を読んでいると、
「ああ、私は仕事で出会いを大事にしようと意識してきたのだなあ」
と気付かされたのでした。
それでは、粗末な出会い、の文章を紹介します。
出会いからの、茶碗の話?と思われたかもしれません。ただ、面白い質問だなあと読み進めていました。自分の茶碗の模様が分からず、東井先生は家に帰って家族に茶碗の模様はどんなか尋ねます。しかし、家族も「さあ・・・。」という答えしか返ってきません。
ボンヤリとか、キスとか、なんだか面白い表現を使われる方です笑。自分の茶碗の模様はざっくりと言えるかもしれないけど、色までは言えない。自分が使っている箸の形は言えない。持っているシャツの柄は言えない。妻の服や持ち物なんて、言えないものが多いと思いました。家具もそう。乗っている車も。細かなところまでみていない。自分もボンヤリと目の前にあるものを流してみていっているんだ、と気付かされました。物との出会い。そういう流し見が粗末だということなんでしょうか。
続けます。
ダメにするということはこの段階ではまだはっきりとは分からないけれど、子どもはこんな親の言動から、肚のうちを見ようとしている。お父さんはお母さんのことを思っているのだろうか?お母さんはお父さんのことを思っているのだろうか?そこには、子どもの願いのようなものも感じました。私のお父さん(お母さん)が流し見の人でありませんように。しっかりと思いやってくれていますように。そんあことを感じさせてくれた詩でした。思い合う二人だから、見えるもの以外にも思いがいく。心と心の思い合いを子どもは確認しているのだろうと思いました。
では、東井先生自身は粗末な出会いはされていないのか?笑
いいことはどれだけでも言えるけど、為すということの難しさ、これはどうなのだろうと。笑
少し期待したけど、まさかのお粗末な出会いの方でした笑。こうやって自分のことを曝け出せるということも、人間味であり、魅力であるなあと。こんな文章を書きたいものです。
教師としてたくさんの人と面と出会います。それが顔と顔との出会いばかりだった頃と、顔の奥のその人の背景、その人のこれまでなんてものを、思い馳せることをし出した頃と、仕事の充実感が変わったことを思い出しました。(もちろんプライベートでもそうでした。)
人の表面は同じでも、本当に多様な内面がありました。
子どもの抱えている思い、思い込み、家庭背景、
保護者の苦しみや悩み、
同僚も同じく、
人の内面は表面に相反することしばしば。多様で、自分の想像を遥かに超えるものが多い。
そういうものに触れると、自分の教師としての立場からの思い上がりに気付かされ、全てわかったつもり、お見通しだなんて思うこと自体、自分何様なんだって戒められました。そして、その人がより一層浮かび上がって来て、これはテキトーなことを言えないぞ、となるのです。向き合おうという感情が滾ってきます。
こういう滾る感情からの行動はどんな形であれ、自分にとっては大事なものです。相手もそれを感じ取ってくれるようです。
だから、私は人と出会う時、その人の背景を洞察することにしています。
これが出会いを大切にすることです。
時には、その人の血液型、その人の星座、その人の様々な個性というものを分析することもあります。
どんなにやんちゃな子でも、その子の人生は歩んだことがないです。
どんなに話の合わない保護者がいたとしても、
どんなに理解ができなくても、その人には測り知れない人生がある。そこへの尊敬と感動はわすれません。そこまでたどり着いたら、東井先生は「本気で手を合わせて」おられたけど、私ができたことは、労うことでした。そして、湧き出る励ましの気持ちで何かしました。
こういう心で関わると、相手とより一層つながりを感じられ、相手のことが彩り豊かに見えて来ます。仕事の内容も気づいたら質の高いものになっていることが多かったと思います。
教師という仕事のやりがいは子どもの成長にフォーカスがいくことも多いですが、その子や保護者のこれまで歩んできた人生の地図を拝見させてもらうことの感動もやりがいの一つだと思います。そうして興味をもってみてくれた人を嫌うでしょうか?人は人に興味をもってみてくれる。そして、後押ししてくれる人がいた。そんな種は、きっと周りに広がっていくだろうし、人と人とのつながりが彩りを持って来ると思います。
自分のお茶碗の模様がわかるように、今、関わらせてもらえている人たちの”模様”をみようとしているか、”模様”を認めているか、これからも自分が大事にしていくことだと思いました。
そういう積み重ねが、人と人とがつながれる未来に繋がっていくと思いました。
#未来のためにできること