ほぼ皆さんにはどうでもいい話
40過ぎくらいから白毛が出てきた。
理容師のお姉さんに「一度染めると一生染めなきゃなんないですよ」と言われたにもかかわらず、ヘアカラーに手を出したのが50歳手前。
風呂場で自分で染めていたのだが、これはわりと上手に仕上がって、見た目はぐっとマシになった。
ここで一応わたしの白髪対策は落ち着いて、その後10年過ぎるうちには、月一回が二回になり、やがて二週に一回くらいの頻度で染めるようにはなってはいたが、まぁ今日まで常に黒々した頭だったといえよう。
しかし、還暦を過ぎて考えた。
いつまでも真っ黒な頭髪というのもちょっと不自然ではないだろうか?
何しろ顔がだいぶお爺さんになってきた。
白髪の一本もないというのは、逆におかしい。
染める頻度もだいぶ増えてきたわけだし、今決断しないと、70、80と、どんどん「染めている感」が強くなる一方だろう。
そろそろ本来の自然な姿に戻る時ではなかろうか。
そういうわけで、春先からヘアカラーを離脱した。
ただそのままでは、新たに生えてきた白毛が目立って、いかにも具合が悪い。
どうも知らぬ間にわたしの頭髪は、ほぼ白髪になっていたらしい。
男なので一度丸刈りにしてしまえば全て解決だが、周囲に「あいつは何をやらかしたのだ?」みたいに噂されるのではないかと、勝手に想像して、どうも踏み切れない。
いろいろ検討した結果、カラートリートメントというものにたどり着いた。
これはいわゆる白髪染めと違って、髪の表面に色素がのっているだけなので、放っておけば色落ちしてくる。
これで根元の白い部分をカバーして、ヘアカラーでがっつり染めた部分が全てカットされるまでつないでいけば、あとは徐々に白髪に戻せるのではないか。
我ながらよい考えだと思い、以降これを数ヶ月続けている。
ところがところがである。
わたしの髪質の問題か、ヘアトリートメントの品質か、とにかく、黒く染めたいのに、なぜか赤茶色に仕上がるのだ。
それも茶色より赤味が勝つ、なんというか昔のヤンキーみたいな色だ。
特に色が落ちてくると目立ってきて、どうにも還暦デビューした不良のようで、よろしくない。
そこは美術家らしく、「赤を黒く見せるには反対色の緑だ」と、青緑系の色素の入ったアッシュブラックなども試してみたのだが、全然効果がないのである。
本当は落ち着いたシルバーカラーなどに憧れているのだが、このままだと、かなり軽薄な赤髪のおじいさんになってしまう。
本当に、自分以外にはどうでもいい文章になってしまった。
結論。ロマンスグレーへの道は長く険しい。
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