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菊とバットと闇バイト

大谷の話題はもういいよと思っていたのだが、彼と縁もゆかりもない、ご当地埼玉のスーパーで感謝セール開催、というニュースには笑ってしまった。
そういえば、ちょっと前まではこの時期、優勝しようが負けようがダイエーが感謝セールをやっていたものだが、ソフトバンクになったのはいつからだと思って調べたら、もう20年も前だった。
あらあら。

まぁ市井のスーパーが、なんとなく便乗してしまおうと思うくらい、大谷は偉大だし素晴らしいとも言えよう。
今この日本で、彼の成し遂げた成績や、日頃のストイックな生き方に、あえて異を唱える人は稀だと思う。

しかし、スポーツにせよ何にせよ、世界的な名声を手にした日本人は今まで数知れないけれど、彼ほど全方位的にツッコミどころのない人物というのはなかなか稀有ではなかろうか?
別の言い方をすれば、どこにもフックがないというか、つるっとしていてつかみどころがない。

例えば野球に限るならば、本当の意味で大リーグで「スター」になれた日本人は、野茂英雄、鈴木一朗、そして大谷翔平の3人だけだと思うのだが、前者2名に比べて、大谷は突出して「野球以外の」個性を感じさせない人物だろう。

野茂もイチローも、野球以外で付き合ったら、どんな人物であろうか、ということがなんとなく想像できるのだが、大谷にはそれがない。
彼が普段何を考え、何を好み、どんな私生活を送っているのか、わたしには皆目見当がつかないのだ。

それが、本人が意図的に露出を避けているためか、それとも本当に野球以外何もない人だからなのかはわからない。

もちろん、そこで彼が私生活を公開する必要もないし、周囲の様子から察するに、たぶんそれなりにナイスガイなのだろうけれど、まぁつまらないといえばつまらないなと、これはあくまでわたしの感想である。

                        

さて、「最近の若者は」なんて手垢のついた言い草をしてしまうのだが、とにかく初手から妙に老成していて、そつなくスマートに、結構な高みに至ってしまうという、「人生何回目?」パターンの逸材が目立つ。
おじさんの若い頃のスターだの、有名人だのは、もっと天狗だったり破綻していたりしたものだが、いったいどういうふうに育つと、あんなに礼儀正しくてキラキラした若者に育つものだか、全く感心してしまう。

一方、闇バイトだのなんだの、どこの誰ともわからん相手に操られて、いとも簡単に人を殺めてしまうのも、また今の若い人たちだ。

もしかしたら日本人そのものが、大きく二極化しているのかも知れない。
単純に「持つ者と持たざる者」の二極化であれば、すでに大きくこの国を蝕んでいるのだから。

                        

ところで余談
若者に「タグチさんが今まで一番ワリのいいと思った仕事はなんですか?」と聞かれて、「現金の輸送」と答えたら、「えっ闇バイトですか」と言われたのだけれど、そんなわけはない。
正真正銘警備会社で現金輸送をしていたのである。
なんでも、万一襲われた時に、社員に代わって刺されたりするためのバイトだったらしい。

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