猫と和解せよ(3)
意地悪な性格なので、今日はにゃん吉の待ち構えている時間を避けて、こそっと餌を置いてみる。
しばらく見ていると、これ幸いとカラスが飛んできて、キャットフードを啄んだりしている。
不思議なもので、それはそれで、なんか癪なのだ。
ほら、お前たちの食い物がなくなっちまうぞ。
隠れてないで、はやく出てこいよ、などと思ってしまう。
男女の間なら、ツンデレというのかしらん。
気味の悪いおじさんである。
人は猫を飼うのではなく、飼われるのだという。
けだし名言である。
3日目にして、奴らに翻弄されている自分の、なんとちょろい事か。
猫の魅力は、おそらくその勝手気ままに見える、奴らの振る舞いにあるのだろう。
奴らは奴らで、ただ生きているだけなのだろうに、人間の方が過剰に思い入れてしまう、そうさせる何か思わせぶりなものが猫にはあるのだな。
たぶん。
そのあたりの機微というか、まさに猫を猫たらしめているものに、のめり込めなかったわたしは、結局猫を作り続けることに自縛的になってしまったのだと思う。
これは作家性の問題で、猫が悪いわけではなく、もちろんわたしが悪いわけでもない。
そういうものだったのだ。
ただ、人生の一時期、奴らに少し心を軽くしてもらったのは紛れもない事実だ。
だから遅ればせながら、奴らと仲良くしてみるのは、決して悪いことではない。
現に3日目にしてこんなに心乱されているのだ。
意外と素質があるのではないか。
わたしは猫に恩義がある。