2nd step #5 青春の光と影
前回、下半期の目標を見つけたことについて書いた。
あれから、ちょくちょくこの先生のレッスンを受けている。
知的で優しいその先生は、マハーシャラ・アリのように礼儀正しい人で、レッスンの最後にはいつも受講のお礼を言ってくれる。
そして、レッスンの冒頭でTOEICが30点も下がってしまったと話せば、「それはとっても残念です」と沢山のお悔やみの言葉とともに、的確なアドバイスをくれる非常にスマートな先生だ。
その先生が先日、無事卒業論文を出し終えたそうで、その時撮った記念写真をレッスンの冒頭で見せてくれた。
カジュアルだけれどシワ1つないスーツを着て、手に卒論を持って写っている写真だった。
それ以外にもお友達や妹、彼女など沢山の人達と記念写真を撮ったそうで、その後もいくつか写真を見せてくれた。
写っている誰もが屈託のない笑顔に包まれていて、見ているこちらも顔がほころんでしまうくらい素敵な写真だった。
アフリカの雄大な大地を背景にしたキャンパスの中で、写真の中の彼らはとても生き生きとしていた。
私が彼らの年齢の時、こんなに幸せな顔はしていなかっただろう。
レッスンが終わった後、しばらく感傷に浸ってしまった。
私とは光と影ほど違うなと思った。
私は大学の単位だけを取って卒業式には出なかった。
自分の大学生活を自分で居心地の良いものに出来なかったから。
自身の考え方や価値観に固執してしまって、生まれ育った場所も風習も違う、様々な環境で育ってきた人たちに対し、自ら歩み寄ることが出来なかったのだ。
一度レッスン中に「相手を不快にさせないように【No】を伝える方法を教えてください」と聞いたことがある。
NOと言うことが上手ではない私にとって、礼儀正しいこの先生はどのようにして伝えているのか聞いてみたかったからだ。
先生は「境界線を作るといいですよ」と教えてくれた。
自分の【好きな事】と【嫌いな事】の間に境界線を引けば、嫌いな事のエリアに足を踏み入れる前に境界線が相手に【NO】を伝える事を手助けしてくれる。
そして、必ず自分と相手がお互いにリスペクトを保っていることが大事
だと。
自分と他人との間に境界線を引き続けてきた私にとって、新たな視点に気づくアドバイスだった。
20歳も年下の若者に教えてもらっていること自体とても情けないのだが、この際恥を忍んで、英語以外にも彼の人となりから学べることを沢山吸収していきたいと思っている。
この先彼らにも人生を進めていくうちに色々なことが起こるだろう。
でも彼らはどんな困難にも、戦わずに乗り越えて行けるのではないだろうか。
写真の中の笑顔のようにしなやかに。
彼らの表情を思い出しながら、頭の中で、ジョニ・ミッチェルがオーケストラをバックに歌う【青春の光と影】が流れた。
彼らの未来が明るいものであってほしいと心から願っている。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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