2nd step #11 先生は突然、画面越しにミノムシになった
オンライン英会話のレッスンをこの1年3ヶ月受講してきて、最近実感しているのが、感情や思考は国や人種を超えて共有出来るということ。
当たり前と言えば当たり前なのだけれど、最近それをとても面白いと思っている。
この半年で受講数最多の先生。
受講数最多にして、今でも一番緊張する先生だ。
何故かと言えば、多分隙がなさそうに見えるからかもしれない。
大体の先生が、レッスンを進めるうちに打ち解けて、友達の様な感覚になっていくのだけれど、この先生はずっと私の中で先生のままだ。
良い意味でレッスンの型を決めて忠実に進めて行ってくれる。
勿論朗らかで優しい先生なのだけれど、雑談が少ない分
【授業を受けている】
という緊張感をもってレッスンに望むことができるので、自然とこちらの姿勢も変わってくるのだ。
そんな先生と先日、レッスンで車に関するNewsの記事を取り上げた日。
ディスカッションで、
【快適じゃなかった車】
について討論した時の事。
いつも車高の低い車に乗っている私は、旅先で初めて車高の高い車を借りた時のことを思い出して、
「車高の高い車は高速道路で風の影響をより受けやすいのだと感じました」
と伝えた。
この先生はいつも私の意見を聞くと、
「あー、分かります。分かります。」
と言った感じで同意した後、私の作った英文の訂正箇所を丁寧に解説してくれる。
なので今回もその流れかと思っていたのだが、
「私が好きじゃない車はですね…」
と予想外の言葉が出てきたのだ。
私は先生から否定的な表現が出てきたことにとても驚き、苦笑いした。
先生は、
「 私が好きじゃない車は…えーっと、これなんです。メルセデスのスプリンター。」
と言いながら、車の写真を見せてくれた。
それは、マット・デイモンやリーアム・ニーソンが主演するアクション映画の中で、悪党集団が後方扉から出てきそうな、大きなバンだった。
「あー、バスみたいですね。」
と私が相槌を打つと、
「この車は公共のバスとしては使われていません。どこかの会社がタクシーのような感じで使っています。」
と言い、今度は社内の写真を見せてくれた。
運転席の後ろには、2席のシートが3列並んでいた。
丁度私の住む街でも走っているような、ミニバスに似た感じがした。
すると先生は、写真を見ながらシートとシートの隙間を指して言った。
「ここ、ここを見てください。この隙間がとんでもなく狭くてですね……うーん、一言でいうと…こんな感じなんです。」
そう言うと先生は、画面から遠ざかり、キャスター付きの椅子の上で縮こまってミノムシのようになっていた。
レッスンを受け始めて半年、初めて目にする先生の体当たりな表現を見ながら、【海外でスプリンターのバスを見ても乗らない方が良い】という先生のアドバイスを脳内に刻んだ。
オンライン英会話を小さな国際交流だと思って、日々楽しんでいる私にとって、外国の先生と感情や思考を共有する瞬間は、同時に自分の世界が広がっていくのを感じる瞬間でもある。
それが楽しくて英語の勉強を続けられている。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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