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しがみつく

東洋医学によると、女性は七の倍数で体が変化し老いていくらしい。

三十五になった時、体に何も変化を感じなかった。
私は体が若いのかも。と頭の中がお花畑だったが三ヶ月、一年、一年半、、と経つ内に分け目から飛び出す白髪が増え、頬の毛穴は明らかに目立つようになった。
細胞は急に変わる事はない。
三十五を迎えたその日からゆっくりと変化していたのである。

少し前、大型スーパーに久々に行った。
カートとカゴをセットし回ろうとした時にスマホのような端末がずらっと並んでいた。
レジの混雑を防ぐ為、買う商品をあらかじめその端末でバーコードを読み取るのだ。
最後にレジに行き、端末を読み取れば合計がすぐに出るしくみだった。

人間は初めて触れるものには抵抗感がある。
使わなくても普通にレジに行こうと思ったが、昨今の人手不足で飲食店に注文タブレットが置かれるが、高齢者は使う事が出来ずに店員を呼び、少ない人員しか配置していない店が混雑してしまう。
のニュースを思い出した。
時代にはしがみつかないと振り落とされる一方と思い直し、端末でレジを終えた。

管理栄養士時代、科長は私の母親より年上で泉ピン子と同い年だった。
ネットに繋がったパソコンが部屋にあったが電話番号を調べるのに104の番号案内にかけていた。
四人いる管理栄養士の内、科長、私だけ昭和生まれである。
二十代、平成生まれの二人は何をしているか分からず、そんな仕組みが存在している事にただびっくりしていた。

短大時代のバイト先は某レンタルビデオ店だった。
駅にはその名前を冠した家電店があるが、本と家電が置かれていてレンタルは扱っていないらしい。
ビデオ(VHS)も当時は下火になってきていたのになぜかレンタルビデオ店との認識がなされていた。(下の世代はレンタルDVD店かもしれない)
Amazonプライムやネットフリックスが台頭して来た今は、レンタルする。という行為が信じられない。
その証拠に近所のレンタルビデオ店はほとんど無くなってしまった。

何かの話で見たが、昔の街灯はガス燈で、専属の人夫が一つ一つ付けて回っていたらしい。
時代が流れ、ガス燈から電気になり、ガス燈人夫は仕事を失うのだが、人夫自身も電気街灯のあまりの明るさに、自分の仕事が無くなった事に諦めが付いたとの内容だった。
私のアルバイト話も、いつか番号案内やガス燈人夫と一括りでびっくりされる日が来るだろう。

今現在、ラインは使えて、noteに投稿は出来ている。パソコンも使用出来ているが、さすがにTikTokに投稿は出来ない。
しがみついても無理な事、出来ない事が第二、第三と増えていくだろうなと思う。


余談だが初めて買ってもらったVHSはディズニーのわんわん物語だ。
¥6.300との印字されており、孫に物を買う時に渋った事が一度もない祖父が後で高かったとこぼしていた。と母から聞いた。
当時は¥6.300でわんわん物語しか見られないが、今はディズニープラス月額990円で全てのディズニー映画が見られる。
そう考えたらいい時代である。


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