夏は熱中症の季節。新型コロナウイルス感染症に気をつけながら熱中症も予防するポイントとは
新型コロナウイルス感染症の拡大で、ソーシャルディスタンスの確保、マスクの着用、手洗いの徹底など、私たちの生活は大きく変化しています。
そのような中、今年2022年も夏が来ました。夏は熱中症が大幅に増加する季節です。
とくにお年寄りや子供などは熱中症にかかりやすいので要注意です。
しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大予防のため、夏になってもマスクは着け続けなければいけません。
そんな新たな生活様式の中、新型コロナ感染症の予防を続けながら、どのように熱中症を予防していけば良いのでしょうか。そのポイントを紹介します。
熱中症は放っておくと命にかかわることもある健康障害
熱中症はどんな病気で、どんな危険があるのでしょうか。熱中症の原因、症状、対策についての正しい知識を得ることが、新型コロナ禍の中、自分自身と家族の健康を守るために必要です。
高温多湿の環境に体が適応できずに起こる熱中症とは
日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2015で熱中症は、以下のように定義されています。
「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称(中略)暑熱による諸症状を呈するもののうちで、他の原因疾患を除外したものを熱中症と診断する」
人間は高温多湿の環境や身体活動などで体温が上昇すると、汗をかいて、熱を体外に放出します。
しかし、高温多湿の環境に適応できず、体温調整機能が崩れてしまうと、体内に熱が溜まってしまい、熱中症の原因となります。
熱中症は屋外の作業や運動だけで発症することが多いと思われがちですが、高温多湿の状態であれば屋内でも発症します。
熱中症の症状は重症度によってI度からIII度の3つに分かれます。
・I度(熱失神、熱けいれん):めまい、大量の汗、筋肉痛、こむら返り
・II度(熱疲労):頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力・判断力低下
・III度(熱射病): 意識障害、けいれん発作
I度は軽症、II度は中等症、III度は重症として分類されています。
早期発見早期治療で命にかかわる重症化を防ぐ
重症度のI度以外は医療機関の受診が必要で、III度は入院が必要な状態です。熱中症が重症化すると、意識障害、異常行動、全身けいれん、嚥下障害などが起こり、命に関わることもあります。
意識障害、体温、発汗の程度は短時間に変化するので、熱中症を重症化させないためには、早期発見、早期治療、そして継続的な観察が必要です。
新しい生活様式での熱中症予防
新型コロナ禍では、夏の間でもマスク着用など、熱中症への対策が必要です。
新しい生活様式の中で、新型コロナウイルス感染症を予防しながら熱中症も予防するために以下の3項目を意識しましょう。
マスクの賢い着用方法
新型コロナウイルス感染症の予防のために、マスク着用は必須です。
しかし、高温多湿の中でマスクを着用すると、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇し、熱中症のリスクが高くなります。
ソーシャルディスタンスが確保されている状態ではマスクをはずしましょう。
マスクを着用しなければならない場合は、炎天下の作業、負荷の高い作業や運動はなるべく避けることで熱中症を予防しましょう。
熱中症予防に有効な水分の摂り方
のどの渇きは脱水が起きているサインです。
しかし、のどが渇いたときに、一気に大量の水分を取ると、血中の塩分濃度が下がり、逆に脱水になることもあります。
水分はのどが渇く前に、こまめに補給することを心がけましょう。
大量の汗をかいたときは、水分と同時に塩分も補給する必要があります。
アルコールやカフェインは、利尿作用により、摂取した水分を尿として排泄してしまうので、熱中症予防の水分補給には不向きです。
水や麦茶などカフェインが含まれていない飲み物を摂る取ることをおすすめします。
また、スポーツドリンクなど糖質が多い飲みものは、血糖値の急上昇と急降下をもたらすことで、頭痛や身体のだるさなどを起こすため、熱中症予防には適していないといえます。
毎朝の体温測定で熱中症を早期発見
熱中症が発生した場合には、体の状態や症状をみて、対処しなければなりません。
熱中症になった場合は、重症化を防ぐため、早期に対処する必要があります。
体温はすぐにチェックできるので、熱中症のサインとして有効です。
体温は朝もっとも低く夕方にかけて自然に上昇しますが、身体活動によっても都度変化します。
※身体活動とは、安静にしている状態よりエネルギーを消費する動きのことです。
身体活動の影響が少ない朝、定期的に体温を測り、平熱を把握しておくことで、体温の変化に早く気づくことができます。
屋内にいても熱中症になる可能性がありことがあるがありますし、新型コロナウイルス感染症と症状も似ているものが多いので、区別は難しいでしょう。
しかし、体温の変化には、大きな違いがあります。
新型コロナ感染症や風邪のようなウイルス感染の際、ウイルスを攻撃するために発熱し、攻撃し終わると、発汗して体温を下げる仕組みになっています。
一方、熱中症の場合、重症化すると発汗できないために体温が下がらないことがあります。
また、人間の身体は内部温度を一定の範囲内で保っており、ウイルス感染でも42度を超えることは通常ありません。
しかし、体温調節機能が失われる重症の熱中症では42度を超える高熱が出ることがあります。
新型コロナウイルスに感染しているかどうかは、症状だけでは判断できませんが、発熱の仕組みを知っておくと役に立つでしょう。
新型コロナウイルス感染症の対策をしながら熱中症にも気をつけよう!
熱中症は命にかかわることもある病気です。
熱中症のリスクが増す夏ですが、新たな生活様式の中で、マスク、水分補給、体温測定のポイントを押さえて、新型コロナウイルス感染症を予防しながら、熱中症も予防していただければと思います。
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